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【鬼滅の刃】実弥の空回りの善意・後編 スパルタカナエと甘やかしの実弥【考察】

鬼滅の刃 アイキャッチ

『鬼滅の刃』の不死川兄弟の結末などの原作考察。
後編の今回は、比較対象として時透兄弟や胡蝶姉妹も併せて考察しとります。

前編はコチラ

【鬼滅の刃】実弥の空回りの善意・前編 恩恵を拒否した赤鬼玄弥【考察】

  • 『劇場版「鬼滅の刃」』の、第二章以降の原作ネタバレを含みます。ネタバレが困るアニメ勢はご注意を
  • 個人の感想です。需要と供給のバランスなんぞ知ったこっちゃありません

きょうだいとの付き合い方

きょうだいとの付き合い方に関しては、不死川兄弟は、胡蝶姉妹や竈門兄妹と逆だったなぁ。胡蝶姉妹は『不幸な人を減らすために力を合わせてがんばろう』だった。

竈門兄妹も、『兄妹、力を合わせてがんばろう』だった。
まあ、この二人の目的は『妹を人間に戻す』だから、ちょっと他とは事情が違うかもしれんけど……なんなら兄貴が妹に守ってもらってすらいたし…… (禰󠄀豆子が鬼になってなかったら、鬼殺隊に入らないルートもあった???)
それに妹置いてった結果、妹が伊之助に●されかけるというガチもんのピンチ迎えちゃったこともあるから、『おちおち置いてもいけねぇ』っていうね!(何気に、竈門兄妹最大のピンチが伊之助……
……あの場に善逸おらんかったら、『鬼滅の刃』終了してたんだな……(白目)

だけど不死川兄弟は、『力を合わせてがんばろう』と思っていたのは弟だけで、兄貴は『危険だからお前はダメ』だった。
お兄ちゃん、一人で背負いすぎなんだよ……

空回りの善意

『力を合わせてがんばろう』で姉妹共に散った胡蝶姉妹を思うと、実弥はふつーに『正しい選択』してる。両方死ぬより、片方だけでも生き残って欲しいと願うのはおかしなことじゃないし。(ただし、生き残るのが相手側とは限らないという罠があるだけで)
でもそれが『悔いなき選択だったか?』となると……
『正しい選択』は『悔いなき選択』とイコールじゃないってのは、どこぞの兵長もおっしゃっててだな……

不死川兄弟と似てたのは、時透兄弟だった。
実弥と同じことやってた時透さんちの有一郎兄さんは『後悔』してたよね。『もっとやさしくしときゃよかった』って。
現に、有一郎の『独善』によって、無一郎の『兄と二人きりで過ごした時間』は『辛い思い出』になってしまったわけだし。
有一郎、それに対する『申し訳なさ』はあったわけで。

鬼滅の刃 第118話 六一郎の無[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第118話 六一郎の無[吾峠呼世晴 / 集英社]

ただその『後悔』は、まさか『いきなり鬼が来て自分が死ぬ』なんて予想してなかったからなんだけどね……それさえなけりゃあ、いつか和解出来たかもしれないけど、そのためには『話し合い』がちゃんと出来なきゃいけないわけで。

『鬼に襲われる』未来は変わらなかったとしても、『兄弟で仲良く暮らす』ことが出来なかったのは、有一郎が自分の『独善』のために、『無一郎との話し合い』を拒み続けた結果だよね。おかげで『後悔』が残った。
しかも弟は記憶喪失になって、結局『鬼殺隊に入る』以外の選択肢がなくなっちゃうし。

あまね様、予知夢見る能力があるそうだけど、二人の末路を見ちゃったんかね?
二人を勧誘に来たのは、不幸を回避したいという『ガチ善意』の口実だったのかもしれないけど、逆に有一郎の過保護を刺激して、意固地にさせちゃったのは失態だったな……意外と不器用?
『親のいない子供』に初対面で『鬼殺隊に入って鬼と戦ってよ!』とかどこぞのキ●ゥべえみたいな胡散臭さしかねぇ!(素直に信じる無一郎がむしろ心配になるレベル)

あまね「私と契約して鬼殺隊士になってよ☆」

『独善』は実を結ぶより、空回りすることのほうが多い。

正しい選択の実弥、悔いなき選択をした玄弥

実弥や有一郎は、『弟を危険から遠ざけたい』一心で弟に辛く当たったわけだけど、弟的にはそれってどーなん?

実弥的には、自分が死んでも弟が生き残れば、それは『正しい選択』だったろうと思う。
だけど玄弥にとってそれは『兄貴の身勝手』でしかない。『自分のために兄貴が悪者になること』なんて望んでないから。

実弥の『正しさ』を受け入れるってことは、玄弥にしてみれば、謝罪も許されず、共に戦うことも許されず、『家族のためになにも出来ない無力な自分になれ』ってことじゃん。
玄弥は『無力な自分』に打ちひしがれ、一生、『心から笑えない子』になるかもよ? たとえ人並みの幸せが手に入ったとしても。
なのに実弥は、自分だけが『満足』して、玄弥の前から去るって?
それって、『自分の自己満足』のために、玄弥を犠牲にしてない?

実弥の身勝手の代償

玄弥がお亡くなりになったのって、実弥の『身勝手の代償』だったのかもね。
実弥って、『自分は犠牲になる』前提の選択してるから。そしてそのためには、玄弥には『弱い子』でいて欲しいと思ってる。

玄弥が『弱い子』だったら、嫌でも『恩恵』を受け取らざるを得なかっただろうから。

だけど玄弥は『強い子』だった。
『弱い自分』が許せなくて、強くなるためならどんな手段も使った。

鬼滅の刃 第172話 弱者の可能性[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第172話 弱者の可能性[吾峠呼世晴 / 集英社]

実弥は、最後は玄弥に『恩恵』を与えて去る青鬼になるつもりだったんだろうけど、赤鬼玄弥は『強い子』だったんで全力で『受け取り拒否』し、贈られた『恩恵』は実弥に色をつけて返送した。

そして無惨戦の後、実弥は玄弥から返送された『恩恵』を、今度は母ちゃんに与えようとしたけど、父ちゃんによって『受け取り拒否』された。

その『恩恵』を受け取るべきは実弥であって、理由はどうあれ、我が子に害を成した母ちゃんが、実弥に甘えて受け取っちゃったら、それ自体が『罪』になるから。
『恩恵』も行きすぎるとむしろ『弊害』……!

実弥の『やさしさ』って、ぶっちゃけ重いわ。(与えすぎてももらいすぎてもダメ)

受け取り拒否した父ちゃん、『クソ親父』ではあったのだろうけど、『筋は通す人』だったんだな……

胡蝶姉妹のいばらの道

実弥と真逆の選択をしたのが、胡蝶さんちのカナエ姉さんだった。
カナエにも『妹を危険な目に遭わせたくない』って気持ちはあっただろうけど、それって結局、『自分の気持ちの押し付け』に過ぎないんだよね。
どんなにそれが『善意』だろうが『正しい』ことだろうが、『自分の気持ちの押し付け』である以上、『しのぶの気持ち』をないがしろにするという『身勝手』なわけでして。

『妹を危険な目に遭わせたくない』っつーんなら、『鬼狩りなんて辞めて、二人で静かに暮らしましょう』が一番正しくない? むしろそうすべき。(それをしたのが有一郎)

だけど、それも出来なかったんでしょ? しのぶもそうだけど、『カナエ自身』がそうだった。
そっちの選択は『正しい』かもしれない。だけど『苦しんでる人がいるのに笑って生きること』が出来ないカナエにとって、『我が身の保身』のために『満足出来る生き方』をあきらめる選択でしかなかった。

鬼滅の刃 第143話 怒り[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第143話 怒り[吾峠呼世晴 / 集英社]

つまりカナエは、『正しい人生』を送りたい人ではない。『後悔しない人生』を送りたい人だった。
自分が『泣き寝入り』することによって、『他の誰かの幸せ』がひとつでも多く壊されることが、カナエには耐えられなかったんで鬼殺隊に入った。

そしてしのぶにも『後悔する生き方』はして欲しくないと願っていたから、『しのぶの気持ち』も尊重し、正しくなくても『共に戦う』ことを許した。
『しのぶの人生』はしのぶのものであり、自分の思い通りに操作していいものでもなければ、『責任』を肩代わり出来るものでもないから。
その辺が、『玄弥の人生の責任』まで背負い込もうとした実弥との違い。

スパルタカナエと甘やかしの実弥

カナエと実弥の違いは、『覚悟の差』だったのかもなぁ……『悲しいお別れ』があったとしても、『鬼を滅する』という『共通の目的』のために、お互い『後悔しない生き方』をする勇気。
『後悔』しないために、『今』を大事に、共に笑って過ごした。
そして『選択』に対する『責任』も貫いた。それがどんなに厳しいことであったとしても。
カナエって、お花畑はお花畑でも、うっかり踏み込むとズタズタになるいばらのお花畑だったな……

鬼滅の刃 第142話 蟲柱・胡蝶しのぶ[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第142話 蟲柱・胡蝶しのぶ[吾峠呼世晴 / 集英社]

一方、実弥がやったのは『玄弥への甘やかし』だった。だから全部自分で背負い込もうとした。

でも、1人に出来ることなんてたかが知れてる。なのにそれをやろうとするってのは、『過信』『傲慢』ってもんでして。
しかもそのために『自分を犠牲にする』なんて、それは自分を『粗末』にしてる。
『粗末な命』で『大事な命』は守れねぇ……!

第一、玄弥は『甘やかし』なんて望んでなかった。『対等』に扱って欲しかったし、『頼れる男』として認めてもらいたかった。
だから兄貴と対等になれる『柱』を目指し、必死に追いかけちゃったんじゃないの? 結果として、『危険から遠ざける』どころか、むしろ危険に飛び込ませてしまった。

玄弥って、序盤は粗暴なところあったけど、それは単に『幼さ』と『余裕のなさ』から来るもので、反省したら謝れるし、心を開いたら協力的だし、基本的に『いい子』なんだよね。
『いい子』だったから、『大好きな兄ちゃん』を犠牲にした上で得られる幸せなんて『幸せ』じゃなかった。その辺は、胡蝶姉妹と似てるかもしれない。

実弥、『保護者』としては『正しかった』んだろうけどねー……『正しさ』だけでは、人は納得しないし救われもしないんよ。だから『ただの自己満足』『善意の押しつけ』になってしまう。
しかも玄弥にとって実弥は『兄弟(対等)』であって『保護者(上下)』じゃない。そらすれ違うわ。

結局、下の子に対してガチのスパルタで『対等』だったのは、『共に戦う』選択をしたカナエ姉さんだった。


それでは今回はこの辺で。
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【鬼滅の刃】実弥の空回りの善意・前編 恩恵を拒否した赤鬼玄弥【考察】

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