なのに、シモンくんのその『生き方』の結末は、『善良だったが故に早死にする』という、なんとも報われない結末になってしまった……
だけどこれ以上、『人を傷つけずに済んだ』とも言えるし……そういう意味では彼なりに『人を救った』んだよね。
『自分』がやらないだけで『他の人』がやることになるだけなんだけどさ……

アントニの信仰

アントニからすれば、シモンくんは『バカなヤツ』なんだろうね。
たしかにアントニがシモンくんに語ったことは『正しい』んだと思うよ。『人類のためなんだよ！』だのなんだの。

まあ、『異端者の1人や2人逃がした程度でどうこうなるほどしょぼい世界ならむしろ滅びていーんじゃね？』とは思ったけど。（※悪魔崇拝者の感想）

アントニさん、あなたの言ってる『人類』だの『世界』だのって、『自分ら』と『自分らが私腹肥やせるチンケな世界』のことですよね？
それがお前の『信仰』か！（まさに『信仰』とは『生き方』……）

シモンくんがやったことは『若さゆえの過ち』とも言えるけど、それでもシモンくんは、ボコボコにされながらも『汝の敵を愛せ』という、『己の信仰心』と『己の信念』を曲げなかった。
彼にとってアントニの『正しさ』は『クソ』であり、シモンくんは『クソ』に屈しなかった。
シモン……！　お前は、クソなご主人相手に『ヒャッハー！』出来る勇敢なチワワだったぞ……！　結末は残念だったけど！

チワワとドーベルマンのクソな末路

『勇敢なチワワ』として、ご主人狩りに行ける漢の中の漢だったシモンくんと対比になってるのがノヴァクだと思う。
『善良』だったが故に早死にしたのがシモンくんだけど、ノヴァクは『邪悪』……と言うとちょっと語弊があるけど、『ご主人様』のために己の『善良な心』を殺した結果が今でしょ？
おかげで出世もしたし、人を痛めつけることにためらいも何も感じなくなって、とても『仕事が出来る男』になった。
シモンくんの末路を見たレフくんは、たぶんこれからノヴァクみたいになっていくんだろうけど、そのノヴァクの末路は『最愛の娘を異端者として処刑される』だった。

アニメチ。－地球の運動について－第15話私の、番なのか？

勇敢なチワワと従順なドーベルマン。どっちになっても末路がクソ。早いか遅いかの違いがあるだけで。
なぜならどちらも『人に飼われた犬』だったから。

『飼われた犬』である以上、主人に噛みついたら保健所行きなんよ……
従順であっても、主人の機嫌によっては扱いも変わるんよ……

この『ふたつの末路』を目の当たりにしたレフくんの今後やいかに。

仕事の早いアントニ

それにしても仕事が早いアントニ氏。ヨレンタ（本物）捕まえて処刑するより、ノヴァクの心を折るのを優先したんだな……しかも、

「ボクは反対したよ？」
↓
他の連中がやったんであってワイがやったんちゃうで？

「キミの仕事、壮絶だね☆」
↓
これがお前の『仕事』や。せやから恨むんちゃうで？

「ホントはダメなんだけど、特別☆」
↓
キミのためにいけないことしちゃうボク、いい人……！

と、『仕事に理解』を示しつつも釘を刺し、奪った手袋有効活用して『いい人』にまでなっとる……！（サイコパスかな？）

アニメチ。－地球の運動について－第15話私の、番なのか？

こいつ、息するように嘘吐けるんやね。教会的には、『嘘はいけないこと』じゃなかったの？　だから異端者に『正直者になれよ』と拷問出来るわけで。
なのに自分は、『嘘』でノヴァクを陥れる。主犯、おまえのクセに！
他人を利用しよう、陥れようとするクソ野郎ほど、善人面で寄ってくるんだよ……

今の教会のトップも大概クソだが、アントニが教会のトップに立ってもクソ確定やん……
自分の親父に媚びを売るノヴァクを嫌ってたけど、今度は自分が『自分に媚びを売る人』を優遇して、逆に『都合の悪い子』は陥れて排除するんでしょ？　シモンくんみたいに。
『嫌ってる親父』そのものじゃん……

ノヴァクもノヴァクで、終始無言で、おうちに帰って寝ちゃうし……
ついさっき、娘を守るために『不届きな異端者』を処刑したというのに、すぐ近くで、『自分の娘が異端者として処刑されてました』とか、皮肉が効きすぎて現実逃避するしかねーわ……

ノヴァクのブーメラン

さて、話は10年前にさかのぼり。
手袋はホントに寒さ対策だった模様。あ、つまり自分がやってることは本気で『いいこと』だと思ってましたか……『異端者』は『人』じゃねぇ、と。
というかノヴァク、十年前は袖真っ赤っかな血塗られた服着てたけど、さすがに娘の元に帰る時は着替えてた。
にしても、お母さんがいないんだよね……お亡くなりになったの？
ということは、ヨレンタを失えば完全に独りぼっちじゃん。ノヴァク。

アニメチ。－地球の運動について－第15話私の、番なのか？

幼いヨレンタの手紙が、今となっては悲しいなぁ……『みんなと神様のためにお仕事ありがとうございます』って、その応援してた『お仕事』によってヨレンタは●されるという……

そして手袋を注文してくれたパパに感謝するヨレンタに、『感謝は神様に』『神様がお前にそういう運命を与えてくださったんだ』というノヴァクの教えもさ……『娘が異端になったのも娘を失うのもお前の運命だから神様に感謝せぇよ』という、特大ブーメランが美しい弧を描いて返ってきた……！

八方ふさがりのノヴァク

それにしても、ヨレンタの手袋って十年も使ってたのか。長持ちしてんな。
ちびヨレンタ、サイズぶかぶかで泣いてたけど、まあ、結果として長く使えたから……

いやー、ぶっちゃけ、信仰心ゼロの私の感覚では、プレゼントした自分をすっ飛ばして『神様』にお礼されちゃったら『なんやこのガキ』って思っちゃうわ。『神様のおかげ』『神様がこういう運命を与えた』と教えた以上は『神様のせい』になっちゃうのもしゃーないと思うんだけどなぁ。
だけどノヴァクは、とにかく『神様ファースト』なんだな……
ポトツキさんもそうだったけど、それはもはや『恐怖による支配』……！

アニメチ。－地球の運動について－第15話私の、番なのか？

ノヴァク、神様のことでキツく叱ってしまった自分を責め、『泣いている子供に寄り添う以上に優先されることなんて！』って思い直すの、間違いなくいいパパなんだけどなぁ……
でも、ラファウは見過ごしたんだよねこのおっさん。『泣いてる子供は見過ごせない』なんて言っといて。なんだ、口だけじゃん。
そんなんだから、『神様のせいにしてごめんなさい』と謝ったヨレンタ（4）に甘えちゃうんだよ……！

で、甘えたその十年後の現在。

神様のせいにする
↓
『神様のせいにしてごめんなさい』と謝ったヨレンタの否定

自分の仕事のせいにする
↓
これまでの自分と『みんなのための大事なお仕事がんばって☆』と応援してくれたヨレンタの否定

教会のせいにする
↓
これまでの自分とやっぱり応援してくれたヨレンタの否定

異端者（オクジー＆バデーニ）のせいにする
↓
ついさっき処刑しちゃいました

ヨレンタの無実を信じる
↓
お前の同業がそんないい加減な仕事で処刑してるとでも？

ヨレンタの自業自得にする
↓
そんなん出来るかボケェ！

なにもののせいにも出来ない八方ふさがり状態……！（自分で自分の逃げ道を徹底的に断つスタイル）
しかもヨレンタにそう教えたのが『自分』だからなぁ……

仮にこの時ヨレンタがまだ生きて牢屋にいたとして、『ヨレンタの無実』を晴らそうにも、証言出来るオクジーくん達は自らの手でやっちまったしね……まあ、どのみちクロなんですが。（白目）
ノヴァクが今さら覚醒したところで、10年遅いとしか……（ラファウを見過ごした罪が効いてんな……）

ノヴァクの明日は

ヨレンタの一件は、これまでノヴァクがしてきたことがそのまま返ってきただけだよね。ノヴァクが痛めつけ、焼いてきたのは、間違いなく『誰かの子供』や『誰かの家族』だった。その結果、『自分の子供』を焼かれた。

だけど、同じ異端者でも『自分の娘にされたら怒る』とか『見逃す』なんてことをしたら、『これまでの自分』を否定することになる。
そんなことをしたら、これまで自分がしてきたのは、ただただ、人を痛めつけ、●しただけと認めることになる。それってただの『罪人』。『正義』でもなんでもない。
ヨレンタ（に偽装されたシモンくん）が焼かれてる時、不気味なくらい静かだったのは、その辺も理由なのかな……

一方で、ノヴァクは『すべては娘の平穏な暮らしのため』と信じてやってきたのも事実。
ところがここに来て、『娘のため』と信じてやってきたことによって『娘を失う』という矛盾が発生した。
さて、ノヴァクはこっからどうなるかな……真相を知って、凶暴なチワワになってご主人相手に『ヒャッハー！』しに行くか、『ヨレンタが生きてる』と知って、『ヨレンタのパパ』として『罪人』になることを受け入れるか、『異端審問官のノヴァク』として『神様の奴隷』を続けるか、はたまた廃人になって現実逃避か……ノヴァクの明日はどっちだ！？

回ってきたバトン

そして地動説のバトンは、まさかのクラボフスキさんへ。
あー、やっぱ通報者はこの人だったか……本人は何も知らぬまま、お坊さんとしての使命感と善意でやった、と。
なのにその後、何故かバデーニくんがとっ捕まって速攻処刑。これは『まさか？』と思っちゃうし、心臓バックバックするわ……
ピャスト伯も、余計なこと書いちゃったなぁ。誰も悪気はなかったんだろうけど、これこそ神（作者）の与えた運命……！？

さて、バデーニくんの手紙の宛先はクラボフスキさんだったようで。ヨレンタの可能性も考えてたけど、ホントにこれ以上は巻き込む気がなかったんだな。最初は『いざとなったら罪被せたろ』なんて言ってたくせに。
ホント、あなたって口ばっかりねバデーニくん……！（；ω；）

アニメチ。－地球の運動について－第15話私の、番なのか？

クラボフスキさん、こんな手紙残されてるなんて、あなためっちゃ信頼されてたってことじゃん……
バデーニくん、なんだかんだ言って、クラボフスキさんのことは好きだったんだね。思慮深い人だし、『バデーニくん自身』を案じて言葉をかけてくれた数少ない人だし。かつて、自分の保身のためにバデーニくんを説教して罠にはめて目を焼いたヤツとは違う。
クラボフスキさんにしてみれば、自分のせいで死んじゃった（かもしれないと思った）相手からこんな手紙託されるとか、善良であればあるほどお辛い……！

口ばっかりのバデーニ

そして、バデーニくんが残した『仕掛け』が作動した……！
『復元ったってどーやって？』と思いきや、なんちゅーとこに隠したんだよ！　いくらパンが欲しかったとはいえ、痛い思いしながら彫らせてくれたほうもすげぇけど！（やっぱごはんは最強）

アニメチ。－地球の運動について－第15話私の、番なのか？

オクジーくん、知らん間に仕掛けに協力してたってことやね。これはオクジー＆バデーニの合わせ技……！

そして頭に彫られてるのはオクジーくんの本か。
バデーニくんが自分の研究書を残したとすると、バデーニくんのことは残っても、オクジーくんのことは何も残らない。
だけどオクジーくんの書なら、オクジーくんはもちろん、バデーニくんや、関わった人達のことが残る。
バデーニくんは、オクジーくんの本を『学術的価値はない』と言っていたけど、『自分達が生きた証』としての『価値』はあった。
オクジーくんもバデーニくんも灰になってしまったけど、これが復元されれば、二人は本として生き返ることになる。
口ではなんだかんだ言ったって、『自分の偉大さ』よりも『自分達が生きた証』を選んだか、バデーニよ……このツンデレめ。

クラボフスキさん、一度は『いや、異端の書なんて残しちゃダメ！』とは言っていたけど、あの孤高で人を寄せ付けないバデーニくんが、初めてクラボフスキさんを頼った上に、ここまでして残したかった『特別な本』だよ？　もうその時点で『感動』ものだよ……！（頭彫られた人はちょっとかわいそうだけど）
バデーニくんの存在がどこにも残らないことに心を痛めていたクラボフスキさんは、確かに託すには『ふさわしい』人だ……『ルクレティウス読みたさ（感動）』のために僧侶になっちゃった人だもんな。

アニメチ。－地球の運動について－第15話私の、番なのか？

しかも、協力してもらった貧民達（バデーニ的には『利用したんだよ！』とか言うんだろうけど）に『教育を施してほしい』とか、あなた、『知識なんて選ばれし者だけが持ってりゃいいんだよ』とか『貧乏人は文字なんて読めなくていいんだよ』とか言ってたじゃん……
ホント、口ばっかりねあんたって子は……！（つД`）

バデーニくんを『口だけの男』にしたオクジーくん、なかなか罪なことをする。
『非道徳的な世界を変えるのに必要なのは『知』だ』と語り、クラボフスキさんに『貧民達に『知』を与えてこの世界を変えろ』と導いたバデーニくんも、罪作りなヤツやでぇ……この世界に生まれた者は、みんな『神に選ばれし者』だよ……
人の心を動かすのは、やっぱ感動。

それでは今回はこの辺で。
おもろかったら下にあるイイネボタン押してもらえると元気とやる気が出ます。

前回の考察はコチラ

アニメ『チ。－地球の運動について－』第14話今日のこの空は感想と考察守り抜いたバデーニとシモンの独善

明日から本気出す

アニメ『チ。－地球の運動について－』第15話私の、番なのか？感想と考察信仰とは生き方だ！はめられたノヴァクと託されたクラボフスキ