アニメ『チ。－地球の運動について－』第16話 行動を開始する 感想と考察 25年後のシュミット登場！持ってる兄と持たざる弟

アニメ『チ。－地球の運動について－』の感想と考察。今回は第16話『行動を開始する』となります。

25年後の君へ

いきなり25年経過……だと……！？
ヨレンタは……ヨレンタは逃げ切れましたか……？

アニメ チ。－地球の運動について－ 第16話 行動を開始する

いきなり『●年後』とかになるかなー、と予想はしてたけど、思ってたより経過したな！　時間！
OPもガラッと変わった。NEW主人公は女性？
オクジーくんと空を見上げるヨレンタが消え、バデーニくんはそのまま……と思いきや、眼帯が消えて首に縄が……（涙）

生きてりゃ、ラファウは12歳→22歳→47歳で、ヨレンタは14歳→39歳か。大きい子供いてもおかしくない年齢。
ヨレンタ、逃げ切った先で幸せになってりゃいいんだけど。OPにそれっぽい三つ編みの後ろ姿がいるんだよなぁ……39歳にしては若く見えるし娘？
ノヴァクはどうなったんだろ。ヨレンタの生存を知らぬまま生きてるのか、どっかのタイミングで真相を知ったのか……あれで退場とは思えんので、また登場するんだろうけど、最初からずーっと登場って、それもう主人公やん。　
レフくんも、あのまま審問官続けたんかね？

なんにせよ、教会はあの後アントニの思惑通りになり、より腐った世界になった模様……
てゆーか、25年前の時点で民にぶちキレられて十字架燃やされてたわけでしょ？
アントニが教会内部の腐敗をきちんと正せる聖人でもない限り、異端者の1人や2人取り逃したところで、『異端解放戦線』みたいな組織が出来ちゃう未来は変わらんかったんや……

シュミット登場

今回から、新キャラ・シュミット氏が登場。

アニメ チ。－地球の運動について－ 第16話 行動を開始する

なんかもう初っぱなからうさんくせぇなぁ……しゃべり方が自分に酔っ払ってる感じ？
フライ、レヴァンドロフスキはまだ愛嬌あるんだけど。

今回のシュミット氏の主義主張をまとめると、

• 人倫に汚された神を復活させたい
• 教会正統派を弱体化してやんよ
• 派閥を問わず、すべての教会の教えを否定している。つか、むしろすべての宗教を廃絶したい
• 人の作ったものに興味がない自然主義者
• 人工の神などもってのほか。神は理性の外、自然にこそ宿る
• 『勘違い』という言葉が嫌い
• いかなる運命も、快く受け入れる
• 解放戦線の理念と私の理念は違う
• 破壊だけが必要。大自然の中で慎ましく生きようZE☆
• 人間に『知性』を適切に扱う実力などない
• 自然な悲劇は受け入れるが、人が引き起こす不自然な悲劇はあってはならない

『無宗教』と言いつつクリスマスを祝い、正月は神社仏閣に参拝する日本人的にはシュミット氏の『自然主義』は理解できる。
出来るけど……なんだろう。『言ってることには賛同出来るが、言ってるお前が気にくわねぇ』的なモヤモヤ感……（※個人の感想です）

この人、なんか気にくわない

教会のやってきたことを見てきた視聴者的には、ようやくそれと真っ向から戦うキャラが出てきた感あるんだけど、なんか気にくわないんだよねこの人。
一見、『自然を大切に☆』と語ってる『いい人』に見えるけど、『善行』を免罪符に自分を肯定化する『環境テロリスト』みたいな……

『仲間になりたい』という人達に踏み絵強要したりさ……いや、そーいうのは本人が経験と熟考の末に『もう必要ない』と判断して初めて意味があることであって、『仲間になりたきゃこれやれや』って『脅し』とか『交換条件』みたいに要求するもんじゃねぇと思うんだわ……

アニメ チ。－地球の運動について－ 第16話 行動を開始する

シュミットと比べると、オクジーくんを一切否定せず、我が身を賭けて本人に気づかせようとしたグラスさんのほうがよっぽど聖人だった。

たしかに、最終的に『出来ない』と言った相手を『尊重する』とは言ったけどさぁ……言った直後に『いずれ●し合うかも』とか、あんた、自分の時代が来たら聖書捨てられなかった人は全員排除するおつもりで……？　でなきゃ、そんなこと言う必要ないよね？

『破壊だけが必要』なんて言ってたのも気にくわない。
オクジーくんが夢に見た塔には『人類の可能性』を感じたけど、この人は『そういうの』を否定してるよね？（『創る』ことは不要？）

自然主義をこじらせて、『知』を否定するようなことを言っとるのも気にくわない。
それは『世界を変えるのに必要なのは『知』』と語ったバデーニくんの否定。『人類は知性のない獣に戻れ』と言ってるみたい。

そもそも、『自分は自然主義者』って言うなら、だったらどっかの山奥で、ひっそり静かに暮らせばいいじゃないですかー……
なんで『異端解放戦線』なんて組織に所属してテロやってんの？　人の世にしゃしゃり出て、それこそ『不自然』じゃないの？
なんか結局、『自分の正しさ』主張して、賛同を得ようとしてない？
それって『宗教』じゃん。
あなた、『すべての宗教なくしたい』って言ってませんでした……？

うーん、まだ登場したばっかの現時点ではわからんけど、この人の『動機』が『自然を人類の魔の手から守りたい！』とかいう『自分の独善』のためだとすると、それはもう立派な環境テロリストです本当にありがとうございますということになるけど、果たして。

オクジーくんのあの本は

さて、奪った書の話になり。シュミット氏、なぜかオクジー＆バデーニを知っている？（直接の知り合いというより、どこかで存在を知って情報を探してる？）
ということは、奪った本は、クラボフスキさんが転記したオクジーくんの本？

アニメ チ。－地球の運動について－ 第16話 行動を開始する

2人の名を気にしてるのはなんでだろな。『名前を利用するため』か『シンプルに2人のことを知りたい』なのか……でもこの人『人工物に興味ない』って……
2人のことを誰かから聞いたとすれば、ヨレンタかクラボフスキさん、はたまたノヴァクか……でもクラボフスキさんが反教会組織と関係してるとは思えんし、ヨレンタは関わってて欲しくないなぁ……

そもそも、この本を求めているのは組織長なんだよね。
つまり『教会やっつける』ために『地動説』を利用しようとしてるってことじゃないの……？
教会潰したくてなおかつ地動説の存在知ってるとなると、ノヴァク関係してる？？？
もしノヴァクが絡んでるなら、従順なドーベルマンから『ヒャッハー！』出来るチワワになったということになるが果たして。

ノヴァク「ドーベルマンからチワワじゃ弱くなってるじゃん……」

『地動説』という教会キラー

まあ、たしかに教会ぶっ壊すのに、『地動説』は強力なカードではあるよね。証明されてしまえば、『教会は神を利用して人々をだまし、無実の人を●しまくった悪の組織です』ってなっちゃうんだもん。
そりゃー清貧強要されてた市民、暴徒化待ったなし……！
教会も必死になるよ！

でもラファウや、それに続いたオクジーくん達は、『感動』と『研究者としての好奇心』のためにやったわけでしょ？　別に教会やっつけるためじゃない。

ラファウやオクジーくん達の『血』を贄として捧げて『世界を変えない』ようにしたのが教会だった。
今度は彼らの『知』を贄として捧げて『世界を変えよう』としてるのが異端解放戦線だとすれば、結局、教会と同じということになるじゃん……
だってこのおっさん達も『暴力』使ってるでしょ？　その点に関しては教会と同じ。
この人達の言う『世界を変える』が、『わるい連中やっつけて、オレらが世界を正してやんよ☆』だとすると、それもまた『頭が変わる』だけにならない？　大丈夫？

どっちにせよオクジーくんの本、大変なことになってる……？
かつてオクジーくんは、『託すと言えば聞こえはいいが、他人が自分の思い通りに受け継ぐかなんてわからないし思いもよらない反論されることもある』『そんなの不安で希望とは思えない』と危惧してた。
でも同時に、『それこそが託すことの本質』『他者が引き起こすねじれが現状を前に向かわせる希望』とも言っていた。

アニメ チ。－地球の運動について－ 第12話 俺は、地動説を信仰してる

その通りになりそうな予感……！
天国でバデーニくんと一緒に『ヒャッハー！』しながら見守ってて……！

オクジー「『ヒャッハー』しなきゃダメですか……？」

そして廃村で教会に見つかり、本を隠して一旦立ち去ったシュミット氏。判断が早い！
このパターンは……！　回収しに行ったらなくなってるパターン！？

25年前の君から

そしてNEW主人公がまだ登場しねぇ……！
もしかして25年前の子供？　でも叔父さんに『ボウズ』って言われてたし、同一人物なら今アラサーだし……

アニメ チ。－地球の運動について－ 第16話 行動を開始する

この子、悲惨な経験をしてしまったなぁ……

『勘違い』の話が出ていたけど、この場合、『勘違い』してるのは弟のほうなんよ……貧しさに追い詰められて、贅沢してる教会に憎しみを募らせる気持ちはわかるけど、意見が異なるからという理由で自分の兄貴を●して、さらには兄貴が今わの際で命乞いした子供を真っ先に狙うとか、そんなの『信念』に基づいた行動じゃねぇよ！　完全に腹いせじゃん！
お兄ちゃんに『神様捨てた自分』を肯定して欲しかったのかもしれんけど、『暴力』で脅して人を変えようとしてちゃ、教会と同じなんだわ。

そもそも『自分の間違いを認めないために異なる意見の相手を排除した』のが教会でしょ？（なお、『他人を排除しすぎると間違いに気づけなくなる』『第三者による反論が許されないならそれは信仰』と語ったのがオクジーくん）
『自分の間違いを認めないために異なる意見の兄貴排除する』とか、それもうむしろ教会好きだろ。

持ってた兄と持たざる弟

うーん、この弟が『暴力』に走ったのは『持たざる者』だからだろうか。
問題が発生したとき、お金持ちはお金で解決するけど、それすら持たない者は暴力に頼る。それがこの弟。

アニメ チ。－地球の運動について－ 第16話 行動を開始する

なお、『お金持ってるけど自分の欲満たすためにしか使いたくありません』というドケチも暴力に頼る。それが教会。

でも、お金なくたって暴力に逃げない人もいる。それが●されたお兄ちゃん。

この二人の違いは、弟は『感情』に走ったけど、兄には『知性』があった。
『感情』は時に正しい・正しくない関係なしに周囲の状況に流されてしまうことがあるけど、『知性』は自らの頭で考えることで、『選択』する自由を得られる。
弟に『知性』があって、『選択』した上で十字架燃やした覚悟ガンギマリ野郎だったなら、腹立てる必要も兄貴●す必要もなかったはずやん……ましてや子供まで狙うなんて。
この弟、ホントは不安で迷いがあったんじゃないの？　だから兄貴に確認して『安心』したかった。『自分の正しさ』を。
だけど期待した回答が来なかったんで、感情のままブチギレた。

つまり弟は、怒りの感情に溺れ、みんなと同じ方角に流れてるだけ。
一方、兄は家族を連れて逃げる『選択』をした。

兄には『家族』がいたってのも大きいかもな……今わの際の『子供は見逃せ』ってのは、『我が子自身』はもちろんだけど、その子が生まれた時の自分の『感動』を守るためでしょ？
『暴力』に走るってのは、人が持つ『知』をも放棄したってことになるんだよなぁ……そういう意味では、このお兄ちゃんは『持ってる人』だった。

シュミット氏が『人間が起こす悲劇は余計な知性を持ってるせい』『人も獣のように生きるのが自然だ』みたいなことえらそーに語った後で、『知性のない獣と化した人間』によって起こされる悲劇をお出しになってくんの、ホンマ皮肉が効いとる……

それでは今回はこの辺で。
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