アニメ『チ。-地球の運動について-』第25話 最終回 『?』 感想と考察その1 好奇心の奴隷VS知性の奴隷 ラファウの正体

アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回はついに最終回の第25話『?』となります。
最終回だけあって考察にもボリュームが出てしまいましたんで、分割してお送りします。
今回は『ラファウが何者だったのか』について。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
それはまるでイタズラが見つかった子供のように
前回もちらっと映った、明らかに他殺されたアルベルトパパですが。
まあ、疑ってはいたんだよ。今さら新キャラ出てくるとは思えないし、強盗とかそんなんにやられたんなら、今のアルベルトになったのは『?』ってなるし。
いやいや、しかしだからと言ってラファウがそんなバナナと思っていたら、

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
やっぱお前がやらかしたんかーーーーーーーい!
小説とかで『まるでいたずらが見つかった子供のような顔で~』なんて表現あるけど、そのまんまのキレイなおツラなさってやがる……(白目)

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
まだ『もみ合いになった末の不幸な事故』とかなら多少の救いはあったけど! ナイフ自前で、しかも取り乱すこともなく平然と『こーいうことでやっちゃった☆』なんて語られちゃったらもう擁護出来ない……!
『好奇心』が暴走して、『人の心』失っとるやん!
ノヴァク「やっぱ教会は正しかったんや……」
アントニ「わかってくれたか」
ラファウよ。あなたの、『好奇心』を愛する姿勢は好きだけど、そのために人をあやめるのはアカンて!
アルベルトに現場を目撃された後も、平然とした顔で『説明』しちゃうし、あなた、いつからそんなサイコ野郎になっちゃったの?
『好奇心』を生み出すのが『人の心』のはずなのに、『人の心』を失うことで『好奇心』を満たそうという矛盾……!
それにしてもラファウが欲しがった『資料』っての、まさか、かつてノヴァクが回収したバデーニくんの研究資料じゃないだろうな……『異端の書』って、別に『焼却処分されるわけじゃない』ってのはバデーニくんの過去から判明しとるし。

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誰の本であれ、異端関係の書物だとすると、それを『独占する権限』、たしかに一般人のアルベルトパパにあるとは思えない。そういう意味じゃあ、ラファウの言い分はわかる。
だけどラファウもラファウだよ。『知識の独占』を責める気持ちはわかるけど、『裁く権利』があなたにあるの?
にもかかわらず、ラファウはアルベルトパパをやっちまった……『権利』はなくとも『ヤれる』ポジションにいたから。
『権利とはつかみ取るものだ!』って暴れた異端解放戦線と通じるものがあるな……もしこのラファウがヨレンタと出会い、タッグを組んでいたら、シュミットもドン引きする特大の秘密結社が爆誕してそー……
肯定も過ぎれば否定になる
かつて『暴力』によって排除されたラファウですが、『暴力』によって立ちはだかる壁を排除しちゃう子になっちゃいました。オラのラファウちゃんが不良になっちまっただ……!
ノヴァク「不良でもここまでしないよ……」
でもよくよく思い返してみると、ラファウって、別に『暴力による解決』を『否定はしてなかった』んだよね。
むしろ歴代主人公達、『殺人』は『肯定』してるんだよなぁ……オクジーくんもそうだし、ヨレンタにいたっては組織まで作ってドガンとファイヤー! までした。

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バデーニくんは、人をあやめた過去こそあったものの、ノヴァクの行いを『非難』したりと、別に肯定してたわけじゃないと思う。
だけど最後は、オクジーくんと共に罪を背負って処刑されることを受け入れた。
ドゥラカも、シュミット達なら『殺して解決!』してただろう場面において、『私の信念』と語ったはずの父ちゃんの形見を差し出してまで殺人を回避する子だった。ノヴァクですら諭そうとした。だけど相手が聞く耳持たずで刺されてしまい、返り討ちにした。
ぶっちゃけこの子は、『被害者』の側面のほうが強いと思うんだけど……まあ、ヨレンタ達に協力した時点で『共犯者』だから……
神の判定厳しすぎィ!(涙)
ラファウ(12)はある意味『自殺』なんだけど、殺人は殺人だよ。『他人の命』か『自分の命』かってだけで、『命』は『命』。
『誰かの暴力』によって自分が排除『される』ことを肯定したから、『自分の暴力』によって他人を排除『する』ことも肯定した。……ってこと?
『肯定』も過ぎれば、他人の『生きる権利』を『否定』してるぞ!
好奇心の奴隷
ラファウがこえーのは、『好奇心』のためなら『自分が死ぬ』ことも肯定してるってことだよね。
なにしろ石箱守るために1回死んだヤツだからな……面構えが違う!

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
ラファウは、『自分の好奇心』のために『自分を殺すこと』を肯定したから、『自分の好奇心』のために『他人を殺す』ことをも肯定した。
これによってわかったのは、アルベルトの前に現れたラファウの正体は、『好奇心の奴隷』であったということ。
それも、『ただの奴隷』じゃない。
『勤勉なガチ奴隷』だった。
『ただの奴隷』は、『ご主人様の命令』がなきゃ動かないんだよ。
ものすごく『怠惰』で、ご主人様が『右に行け』と言ったら右に行くだけで、『なぜ右なのか』は考えない。『それ』を考えるのは、あくまでご主人様。
ノヴァクはそれだった。
同じ『奴隷』でも、ラファウとノヴァクじゃ決定的に違うことがある。
『自分は奴隷である』という『自覚』の有無。
そして、『ご主人様』への『愛』の有無。
『奴隷』という『自覚』がなかったせいで、何もかも奪われ苦しく生きていたのがノヴァクだった。
彼は、自分のことを『課せられた仕事をせっせとこなす働き者』だと思っていた。しかしホントは『怠惰な奴隷』だった。
与えられた仕事が『なんのため』『誰のため』なのか一切考えない。あるのは『自分が楽したい』という『自己愛』だけ。
ラファウが愛したご主人様
一方、ラファウは自ら『奴隷』になった。
ラファウの『知性』は、『イカれた好奇心』にハートをズギュン! され(表現が古い)、『あなた(好奇心)にお仕えします!』と自らひざまずくような『イカれた知性』をしていた。『そういうのを愛とも言う』と言ったのが他ならぬラファウ。

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ラファウって、『愛』を理解出来ない『サイコ野郎』なのではない。むしろ深すぎる『愛』ゆえに、自分へ向けるべき『愛』も他人へ向けるべき『愛』もすべて『ご主人様』一本に絞って捧げてただけで。
アルベルト「そういうのをむしろサイコパスって言うんじゃないですかね……?」
本来『好奇心』ってのは『知性』に制御されるもんなんだけど、つまりラファウに関してはその上下関係が逆転しちゃって、知性も好奇心も一緒くたに『ヒャッハーーーーー!』してもーた……ってこと?
ラファウの、『好奇心』という名の『怠惰なご主人様』は、『あれ欲しい』『あれいいな』と感じるだけで、『なぜそれが欲しいのか』『どうすれば手に入れられるか』を考え、実行するのは、すべて『知性』という名の『勤勉な奴隷』だった。
ラファウの『知性』は『好奇心』という名のご主人様を心底愛していた。ご主人様が喜ぶならば、見返りも何も求めず、『欲しい』と言ったものは人をあやめてでも献上し、ご主人様が『死んで?』と言ったら喜んで死んじゃう従順で勤勉なガチ奴隷。
『自覚』がなかったせいで苦しんだのがノヴァクだったけど、『自分は好奇心の奴隷』と『自覚』した上で、何も得られずとも『ヒャッハー!』しとったのがラファウやったわ……しかも『奴隷(知性)』と『ご主人様(好奇心)』が仲良く一緒にイカれてるから始末に負えねぇ!
やはり『自覚』……! 生きる上で大切なのは『自覚』……!
『自覚』があれば、『奴隷ライフ』もエンジョイ出来る!
オクジー「まあ、ある意味俺らも奴隷エンジョイ勢でしたからね」
バデーニ「エンジョイしてたかな……」
ヨレンタ「エンジョイしてたかも……」
ドゥラカ「正気になれあんたら」
つまり『自覚』の末、『従順な奴隷はやめる!』と決めて、ようやく『イカれた常人』として『ヒャッハー!』出来たのがノヴァク。
最初から『イカれた奴隷』と『自覚』の上で『ヒャッハー!』し、アルベルトによってようやく『従順な常人』になれたのがラファウ。
なんでこう両極端なんあんたら!?(白目)
ラファウの矛盾
さて、ここからは、ラファウの行動の謎を。
『なぜアルベルトパパをあやめたのか』の『理由』については本人が語ったけど、『やったこと』に関しては疑問がある。
あまりに『野蛮』すぎる。
あなた、集会じゃあ『前時代的な差別から抜け出し、自由に、気軽に、上品に、深淵の探索を行う』ってご高説垂れてたじゃん……

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
その数時間後に『隷属的に、計画的に、野蛮に』殺人事件起こすんかーーーーーーい!
コロコロまでせんでも、せめて『こっそり盗む』とかじゃダメだったの……?(白目)
しかも相手はただの一般人だし、ましてや教え子のお父さん。殺しちゃったら、お月謝はどうなるの!?
アルパパ「そっちかぁ……」
『知性』のある人なら、そこはぐっとこらえ、これから信頼を得るよう努めるとかすりゃあ、いつか本を読ませてくれるかもしれないじゃん。まあ、その前に燃やされそうだったんで阻止したかったってのもわかるけどさぁ……
なんにせよ、『やっちまった後』のことを考えると、『損』に見える。
それとも、実際はもっとシンプルで、『好奇心の奴隷』的には『ご主人様(好奇心)』を侮辱されたことが許せずブチギレた……???
あなた、『アルベルトパパが怒ってなだめるのに苦労した』みたいなこと言ってたけど、そう思ってたのは本人だけで、実際は自分がブチギレてなだめられてたんじゃないだろな……?(疑惑の目)
好奇心の奴隷VS知性の奴隷
ラファウの『知性』は、『好奇心の奴隷』だった。
けど、アルベルトパパの『好奇心』は、『知性の奴隷』だった。
いや、『奴隷』ならまだマシで、彼の『知性』は『好奇心』を『危険なもの』として虐げ、『働かせる』どころか『出てこない』よう牢屋に放り込んでいた。もはや奴隷を通り越して『囚人』。
『好奇心』を愛し、その『知性』で『好奇心様』にお仕えするラファウにとっては、許しがたいことだった……?

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
ラファウとアルベルトパパ、両者共に教育や知識を重んじるところは同じ。
だけど根本的なところで、水と油のように相容れない存在と言える。
ラファウはアルベルトパパのことを『保身に走る俗物』と言っていたけど、アルベルトパパにはラファウが『好奇心のためなら命も惜しまぬ危険人物』に見えてたんじゃないかな……どっちもどっち……!
『好奇心』をご主人様と崇めるラファウと、『知性』がご主人様だったアルベルトパパ。この2人が激突すれば、そらラファウが勝つわ。
だって『知性』こそが、『人を殺す』なんて『蛮行』を阻止する側だもん……
そういう意味では、アルベルトパパは一見、『無害』なんだけど、『好奇心』に対する『弾圧』を行っているという意味では『教会』やノヴァクと『同じ』。
ラファウだって、弾圧されることなく、自由に気軽に上品に、自由にのびのび研究を行えるなら『無害』だったはずなんだよ……
『時代』による弾圧や異なる『思想』のぶつかり合いがこの悲劇を生んだとなると、どちらかが一方的に悪とも善とも言い切れないんだよなぁ……いや、刺しちゃった時点でラファウが『悪い』ことになるけど。
それでは今回はこの辺で。次回はラファウの行動の『なぜ?』について、もっと深堀りしていきます。
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