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『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』見てきたんで感想と考察【善逸VS獪岳 後編】

劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 アイキャッチ

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の善逸VS獪岳の感想と考察後編です。

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『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』見てきたんで感想と考察【善逸VS獪岳 前編】

  • 『劇場版「鬼滅の刃」第一章 猗窩座再来』のネタバレ含みます
  • 原作漫画は最終回まで読破済みですが、二章以降のネタバレはしていないのでアニメ勢も安心です
  • 個人の感想です。需要と供給のバランスなんぞ知ったこっちゃありません

持ってた善逸、なかった獪岳

序盤の善逸はひどかった。鬼怖さに泣きわめいて子供困らせたり。

テレビアニメ「鬼滅の刃」 / 吾峠呼世晴

テレビアニメ「鬼滅の刃」 / 吾峠呼世晴

そら獪岳が『なんであんなヤツ弟子にするんだ!』って師匠に腹立てるのもわかる。ぴーぴー泣きわめく善逸とちゃんとやってる自分が『対等』に扱われることに腹が立つのも、まあ、わかる。

でも師匠は善逸を見捨てなかったし、修行から逃げても連れ戻した。そもそも、ホントに『ダメ』なら、ひとつも型を習得出来なかったわけでだな……

その辺に対して『なぜ?』と考えるやわらかい頭と、『師匠を信じる心』があれば、獪岳はもーちょい違う人生を送れたかもしれないけど、彼には他者を思いやる『気持ち』も『余裕』もなかった。常に自分が一番で、他人を見下していたから。
なんなら『師匠ですら見下していた』から、『なぜ?』と考えることすらしなかったんでしょ?

でも『見下す』割にはずいぶん『他人』に依存してるよね?
『他人(師匠)の評価』にブチギレるってことは、めちゃくちゃ『他人の評価』を気にしてて、『自分に自信がない』ことの裏返し。本人にその『自覚』がないだけで。

『自覚』があって、なかったふたり

炭治郎は、割と最初から善逸が『強い』と見抜いてたから善逸を一人にしてもあんま心配しなかった。じいちゃんだって『やれば出来る子』とわかっていたから、根気強く善逸を鍛えた。

テレビアニメ「鬼滅の刃」 / 吾峠呼世晴

テレビアニメ「鬼滅の刃」 / 吾峠呼世晴

だけど善逸だけが『俺は弱い!』と断言し、ビビリな自分が大嫌いで、『ダメなヤツ』と評価していた。
善逸は、『自分の評価』は『自分』で決めていた。(『獪岳からの評価』でもあるけど)

つまり『俺は強い!』とうぬぼれて、『自分の弱さ』に『自覚』がなかったのが獪岳で、『俺は弱い!』と自虐して、『自分の強さ』に『自覚』 がなかったのが善逸。

だから善逸は、獪岳に罵られても『まさにその通り』なんで反論しなかった。『ひでぇな』とは思っただろうけど。
だけどその一方で、『獪岳の悪口』を聞いたら、ブチギレるヤツでもあった。

それ、むしろ好きじゃん……しかも、返事がなくても手紙を送るって、本気で『嫌い』なら出来ないと思うんだけど。
むしろじいちゃんは、獪岳こそ『ひいき』してない?

『柱』に必要なもの

『柱』ってのは『強い』のは当然として、同時に『尊敬』されなきゃいけないはず……そして無力な人や後輩のために体を張って鬼と戦わなきゃいけない。(by煉獄さん)
だけど獪岳は周囲から陰口叩かれるし、後輩(善逸)いじめるし、とても『柱』になれる器とは思えない。
なのにそんな獪岳を、桑島師匠は『善逸と共同で柱に』と考えていた。ちょっと獪岳に甘くありません……?(『じいちゃんの前ではいい子にしてたんで知りませんでした』だとしたら、それはそれで節穴……)

うーん、少なくとも善逸は、『ビビリ』さえ克服すりゃあ『柱』に推薦出来る素質はあると思うんだよ。『困ったところ』もあるけど、それは他の柱もそうだし。
そんな『善逸のビビリ』を、『克服させてくれるのは獪岳しかいない』とじいちゃんは思っていた? そして『獪岳の心を開いてやれるのは善逸しかいない』とも思っていて、『だから二人一緒に』と思ってたんだろうか? だけど、じいちゃんの心獪岳知らず。

善逸はそんなじいちゃんの気持ちを知っていたから、なんとか獪岳と仲良くしようとお手紙せっせと送ってたんだとしたら、めっちゃじいちゃんの期待に応えようとしとるやん……『嫌い合ってる人と仲良くしようとする』って、むしろそっちのが異常者。
同じく『柱候補』と目されていた炭治郎だって、四日間も義勇さんに笑顔でストーキングした異常者だしな……

柱に必要なもの:常人にない異常性

そう考えると、獪岳って『凡人』だったんだな。『善逸を鍛える』師匠を理解できず、『鬼殺隊』という異常者集団にも染まりきれず、『鬼』になることで逃げた。
その結果、善逸のビビリが『最悪の形での克服』になってしまったの、じいちゃんおかわいそう……

その善良さは逸脱か逸材か

善逸本人は自分のことを『弱い男』と思ってるけど、『弱い男』は『兄弟子の悪口』に怒って殴りかかったりしない。
善逸が、たとえひとつだけでも型を習得したのは事実だし、選抜でもキッチリ生き残ってる。花魁(堕姫)にいじめられてる女の子だって助けた。十分『強い子』だよあんた。

第一、本物の『弱い男』は女の子にアタックしねぇ……!

善逸は『困ってる女の子』に気づいたら絶対助けるじゃん。たとえそれが詐欺師であったとしても。(※ただし禰豆子以外の鬼は除く)
女の子に恨み募らせて自分を正当化するのが本物の『弱い男』。だけど善逸は『自分のダメさ』に嘆きはしても、『女の子を恨む』ようなことはしてないんだよなぁ……良くも悪くも『善良さ』が『逸脱』してる。

でも、方向性さえ間違えなければ、彼の『善良さ』は『逸材』になる。

現に善逸は、まだよく知らない炭治郎の箱(禰豆子)を、身を挺して庇ったじゃん。中身鬼と知ってるのに、炭治郎が『命より大事』と言ったから、理由はわからずともそれを信じて守り切った。
根っこが『そういうヤツ』だから、じいちゃんは見捨てなかったんじゃないの?

とどまれる善逸と正当化させる獪岳

少なくとも善逸は、黒死牟から『鬼になろうZE!』ってスカウトされても、じいちゃんや炭治郎達の顔がちらついて、踏みとどまれると思うんだよ……どんなに怖くても、『その一線』だけは超えないと思う。
鬼になるくらいなら、手足ぶった切られようと目ん玉えぐられようと善逸なら死ぬまで抗うよな!?

善逸「俺に何求めてんの!?」

だけど獪岳は、スカウトの鬼に怖がるばかりで誰のことも思い出さなかった。『自分にやさしくしてくれた人』はたくさんいたはずなのに、獪岳にとって、その人達は『ストッパー』どころか『自分を正当化させるための加速アイテム』でしかなかった。

獪岳には『ダメな自分』を認める『強さ』がなかったんだろうね。

善逸は『自分はダメ人間』という自覚があるから、自分のケツ蹴っ飛ばしてくれる『誰か』を必要とした。でなきゃ『本物のダメ人間』になるから。
だけど『自分はダメ人間』と認める『強さ』がなかった獪岳は、仲間や家族同然の人たちを切り捨て、自らひとりぼっちになった。それが『強さ』と勘違いして。

最期、愈史郎に『与えない者は何も貰えない』『欲しがるばかりの奴は何も持ってないのと同じ』と言われちゃったけど、まさにその通りだった。
なにしろ鬼になったことで『鬼殺隊としてがんばってきた自分』まで捨てちゃったんだから。

獪岳が捨てたもの

『自らの意志で鬼になる』ってことは、『鬼殺隊の勝利』を信じ抜くことが出来なかったから。『信じていた』んなら、鬼になったところで『いずれやられる』ことはわかるよね?
だったら『どうせ死ぬなら人のまま戦って死んだらぁ!』となるのが鬼殺隊ガチ勢なんよ……
なのに『鬼になった』ってことは、『人は鬼に勝てない』と思ったってことじゃん。なんという鬼舞辻無惨(悪口)

自らの意志で鬼になると決めたその瞬間、獪岳は『鬼殺隊でがんばって鬼と戦ってきた自分』を、自らの手で殺した。

一見、『悪いことをしてでも生き延びるたくましいヤツ』に見えんこともない。
だけどホントは、ヤベー鬼を前に『自分は弱いものとしか戦えない臆病者です』という敗北宣言しただけ。
『手に入れる』ために鬼になったつもりが、『持ってたものを捨てただけ』だった。

獪岳って、鬼にビビって仲間を売った幼少期から成長しなかったんだな……『何かのせい』にするのは『弱っている自分の心』を守るために必要なことだけど、何でもかんでも『何かのせい』にして、『他人に変わること』ばかり要求してちゃ、人からは嫌われるし、自分も『成長』出来なくなる。
その結果、獪岳は善逸に追い越され、帰る場所も失って『ひとりぼっち』になった。

本人は『孤高』と強がるかもしれないけど、本当に『孤高』だったのは、炭治郎達に頼ることなく、一人で獪岳の前に現れた善逸。

テレビアニメ「鬼滅の刃」 / 吾峠呼世晴

テレビアニメ「鬼滅の刃」 / 吾峠呼世晴

獪岳は『自分の悪事の正当化』に『他人』を必要としたけど、善逸は『自分の悪さ』に『他人』を使わない。必要なのは『ケツ蹴っ飛ばしてくれる人』。
獪岳は、その『蹴っ飛ばしてくれる人(じいちゃん)』を死に追いやったから、そりゃーブチギレるし、何が何でも自分の手でケリつけなきゃいけなくもなるよ……

獪岳が善逸嫌いだったのは、獪岳の中にあった『ビビリな本心』見せつけられてるみたいだったから、ってのは考えすぎだろうか?
自分が唯一習得出来なかった壱ノ型を善逸は習得したわけだから、善逸に対する劣等感はあったと思うんだよ……だけど『オレさまともあろうものが善逸ごときに嫉妬だと? いいや、あいつが習得出来たのはジジイがひいきしたからに違いねぇ!』と、『他人のせい』にすることで、自分の劣等感から目をそらしたんじゃね?

善逸も、本当は獪岳も『ビビリ』だってこと知ってたのか? だけど獪岳は、善逸と違ってそれを悟られまいと気丈に振る舞ってたから尊敬していた?
『似たもの同士』と気づいていたから、『肩を並べて一緒に戦いたかった』のだろうか……そのポジション、獪岳には最後までお断りされちゃったけど、炭治郎達がなってくれたってのが、善逸にとっては幸運だったなぁ。
どんなにビビリでも、一緒なら勇気百倍!(ア●パンマンか)


それでは今回はこの辺で。
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『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』見てきたんで感想と考察【善逸VS獪岳 前編】

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