【鬼滅の刃】サイコ童磨の牧場物語 中編 カナヲの感情のダイヤルとしのぶの大誤算【考察】
『鬼滅の刃』の上弦の弐・童磨メインの考察です。童磨、カナヲ、伊之助あたりのことを三回に分けてお送りします。
今回は童磨にプラスして、カナヲとしのぶあたりのことを。
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- 『劇場版「鬼滅の刃」』の、第二章以降の原作ネタバレを含みます。ネタバレが困るアニメ勢はご注意を
- 個人の感想です。需要と供給のバランスなんぞ知ったこっちゃありません
カナヲの感情のダイヤル
『感情豊か』だったもんだから、『感情』に飲み込まれないようコントロールしてたのがしのぶだった。
しのぶが『感情の奴隷』だったら、お館様の忠告も珠世の協力も突っぱねて、自分の毒だけで挑んでたんだよなぁ……そうなれば、童磨は倒せなかったわけで。
一方、『感情』が乏しかったのがカナヲ。当初は、銅貨投げなきゃしゃべるかどうかすら決められない子だった。
カナヲは感情を『失った』と思っていたけど、単に『心の声』が小さいだけで、『感情』がないわけでも『やりたいこと』がないわけでもなかった。
誰も教えてないのに、見よう見まねで花の呼吸習得したり、頼まれてもいないのに鬼殺隊入ったりしたわけだし。
カナヲの両親は、『感情の奴隷』だった。
『自分の機嫌』を自分で取ることが出来ず、『感情』のまま暴れたり子供で発散するような人たちだった模様。
![鬼滅の刃 第163話 心あふれる[吾峠呼世晴 / 集英社]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/kimetu163_03.jpg)
鬼滅の刃 第163話 心あふれる[吾峠呼世晴 / 集英社]
幼いカナヲは、『親の感情』を刺激しないよう、自分の『感情』を押し殺すことで自分を守った。
カナヲが童磨と違うのは、『フリ』が出来なかったことだと思う。
カナヲは、親の機嫌を取るために、笑う『フリ』も楽しい『フリ』もしなかった。
単にそこまで器用じゃなかっただけかもしれないけど、結果として、『自分の心を守る』という『目的』のため、『無感情』に徹することで『親からの理不尽』と立派に戦っていたと言える。カナヲには、『親のご機嫌』を取って『あげる』責任なんてなかったから。童磨のように見下しはしなかったが、媚びて見上げもしなかった。
そういう意味では、『感情の主導権』はずっとカナヲが握っていた。
守り抜いた主導権
カナヲって、基本的に『嘘がつけない子』なんだろうね。
親のご機嫌取りのために、嘘でも笑ってみせたり媚び売ったりが出来ない子。泣くのを堪えて『無感情』になるほうがマシだった?
同じく『嘘』がつけない炭治郎と、実は同タイプ?
そうして『無感情』になることで『感情の主導権』を守ったカナヲだけど、弊害もあった。
幸運にも蝶屋敷に保護されたものの、今度は『感情』をどうコントロールすればいいのかわからなくなってしまい、泣くことすら出来なくなってしまった。
しのぶは『感情持ってるでしょ! ちゃんと出しなさい!』と怒ったけど、それを『まあまあ』とたしなめ、『一時しのぎ』に銅貨を渡したのがカナエ。
その後、『カナヲの感情ってダイヤル式なんだね』と『感情の使い方』を気づかせてくれたのが炭治郎。
![鬼滅の刃 第53話 君は[吾峠呼世晴 / 集英社]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/kimetu053_01.jpg)
鬼滅の刃 第53話 君は[吾峠呼世晴 / 集英社]
カナヲは自分で決められないことを『全部どうでもいいからだ』と勘違いしてただけで、実際は『感情のダイヤル』が、ずっと『切』になってただけ。ダイヤルを回せば泣くことも笑うことも出来たけど、固まって回らなくなっていた。
炭治郎をきっかけに、カナヲは銅貨に頼らず、自分のダイヤルを回そうと周囲の仲間達とコミュニケーション取るようがんばった。その結果、『固まり』が緩み、ダイヤルが自分の思うとおりに回るようになった。
そうして、『感情』をコントロール出来るようになったことで、親からの『負の連鎖』を断ち切り、自分を取り戻した。
感情の奴隷
しのぶとカナヲは己を律することで『感情の支配者』になったけど、実は『感情の奴隷』は童磨だった。塵となって消える寸前、彼が思ったことは『何も感じない』ことだったし。
『ない』ことめっちゃ『気にしてた』ってことじゃん……
![鬼滅の刃 第163話 心あふれる[吾峠呼世晴 / 集英社]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/kimetu163_02.jpg)
鬼滅の刃 第163話 心あふれる[吾峠呼世晴 / 集英社]
童磨は幼い頃から楽しい『フリ』、悲しい『フリ』をして、周囲の人間のご機嫌を取って『あげて』いた。
童磨自身は『頭が悪くてかわいそう』と、思いっきり見下していたからそうしていた『つもり』だったようだけど、実は『自分の感情』がないゆえに、『他人の感情』に振り回される『奴隷』に、自らなって『あげて』た。
もしかすると、大人の『ご機嫌取り』が先で、『かわいそうだからそうしてやってる』のほうが後づけだった……???
しかも童磨って、親からの『負の連鎖』にも、ガッツリ組み込まれている。
『教え』に忠実だった童磨
童磨の父は『欲望』のまま女性信者を食い物にした『欲望の奴隷』。
母は『感情』のままに夫をめった刺しにし、その勢いで服毒自殺までした『感情の奴隷』。
『与えるもの』を持たぬ奴隷が、『感情』や『欲望』という名の『ご主人さま』を満足させるには、他人から『奪う』しかない。だから我が子や信者から搾取し、『ご主人さま』に献上し続けた。
そして童磨もまた、両親が残した極楽教を利用し、『感情』や『欲望』という名のご主人様の命じるまま、作った笑顔で人をだまし、人を食い物にしまくる『奴隷』だった。
その末に、女にめった刺しにされ毒で死ぬとか、死に方までご両親そっくり。
いやー、まさに『あの親にしてこの子あり』だね。(嫌味)
カナヲ「あなたのご両親に対する感想、自己紹介だったの?」
胡蝶姉妹は『カナヲの気持ち』を尊重して、『やりたいこと』を引きだそうとしてくれる人達だったけど、童磨両親は『童磨のやりたいこと』なんて無関心で、『教祖様』としてお勤めするよう要求するだけだったしな……でも童磨は、そんな両親の押しつけに対して『嫌だなぁ』という『感情』も沸かないもんだから、特に抵抗もなくやってたってことなんかね……
ある意味童磨は、『両親の教え』に忠実だった。なんか、ご両親の『お人形』みたいだね。
幸せな時ってあったのかな?
童磨は、生まれた時から『みんなが持っていないもの』を持っていた。人とは異なる容姿だったり、頭脳だったり、自分を飾り立ててお膳立てしてくれる両親だったり。
ところが『みんなが持ってるはずのもの』を持ってなかった。『自分のために身を削って愛してくれる親』だったり『感情』だったり。『感情がない』ってことは、『不幸』も『幸福』も感じなかったんかね……
![鬼滅の刃 第160話 重なる面影・蘇る記憶[吾峠呼世晴 / 集英社]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/kimetu160_01.jpg)
鬼滅の刃 第160話 重なる面影・蘇る記憶[吾峠呼世晴 / 集英社]
他人を『何の意味もない人生』と笑いものにしたけど、きれいにブーメラン刺さったな……
童磨は『感情』を『持ってない』から欲しがった。鬼にもなってみたけど手に入らない。だから『持ってるフリ』をして、他人も自分もだました。
カナヲに感情がないこと指摘された時、一見、怒ったように見えたけど、実際はなんの感情も湧いてなかったんだろうな……ただ、『知識』として『ムカつくこと言われてる』とわかったから怒った風に装っただけで。泣いたりするのも、『知識』として『ここは泣くところ』と知っていたから、周りに合わせてそうしてただけ。
『感情』がないはずの童磨だったけど、自分が一番『(他人の)感情』に操られていたってのは皮肉なもんじゃて……
しのぶの大誤算
しのぶ的には『なるべく苦しんで死んでくれ』と願っていたろうに、童磨本人は『悔しい』とか『怖い』という感情すらないんだよなぁ……
復讐って、悪役が最後に悔しがってくれるから『ざまぁwww』という気分になるのに、童磨にはそれがない。
それもそれで、なんか『悔しい』気分になるのは復讐する側という……なんというむなしい復讐。
そんな童磨を『哀れ』と思っていたのがカナエ姉さんだった。
哀れな鬼達を『救いたい』とすら思っていた。
一方しのぶは、姉の想いは受け継ぎたかったけど、鬼を哀れんだり救いたいって気持ちまではなく、姉に対して少々後ろめたい気持ちがあった模様。
ところがどっこい。最後の最後でカナエ姉さんの『かわいそうな鬼を救いたい』という『願い』を図らずも叶えてしまった『姉孝行な妹』に……!
![鬼滅の刃 第163話 心あふれる[吾峠呼世晴 / 集英社]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/kimetu163_01.jpg)
鬼滅の刃 第163話 心あふれる[吾峠呼世晴 / 集英社]
『自分の感情』がないもんだから、『他人の感情』に合わせてやってきた童磨が、死んで初めて自分の内側から沸いてくる『感情』をお出しになるとは……
『好きな子でも出来れば変わるわよー☆』というカナエの姐さんのフラグ(違)がここに来て回収されたぜ!
恋のパワーすげぇな! おもっくそ歪んでるけど!
しのぶ「とっととくたばれ糞野郎」
人間の頃も鬼になっても手に入らず、死んでようやく『恋』を知るとか、鬼の中でも上位に入る幸せな死に方してないか……???(死んだ後だけど)
しのぶ、『恋』を知らなかった哀れな男に、生まれて初めて『恋』を教え、『失恋の痛み』でトドメさせたんなら、多少は溜飲も下ったか……???
それでは今回はこの辺で。
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