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【鬼滅の刃】実弥の空回りの善意・前編 恩恵を拒否した赤鬼玄弥【考察】

鬼滅の刃 アイキャッチ

今回は『鬼滅の刃』の不死川兄弟の結末などの原作考察です。不死川兄弟を考察する上で、童話『泣いた赤鬼』の考察もセットでお送りします。
比較対象として時透兄弟や胡蝶姉妹も考察してますが、そちらは後編で。

  • 『劇場版「鬼滅の刃」』の、第二章以降の原作ネタバレを含みます。ネタバレが困るアニメ勢はご注意を
  • 個人の感想です。需要と供給のバランスなんぞ知ったこっちゃありません

青鬼自己満物語

風柱こそ不死川実弥ですが、ファンブックによると『泣いた赤鬼を地で行く人』とのことで。
改めてあの話検索してみたけど、これ、『青鬼の自己満物語』だね。そら『ハッピーエンド』にならんわ。(まあ、童話にそこまで言うのはアレかもしれんけど)

この話、最高のハッピーエンドは『赤鬼も青鬼も人間もみーんな仲良くトモダチになること』だよね?

だけど『人間とトモダチ』になりたかったのは赤鬼だけで、青鬼自身は『人間とトモダチ』になるつもりはなかったらしい。
だから『赤鬼のため』という『大義名分』掲げて、村で暴れて人に余計な恐怖心を与えることも出来たし、人を八百長でだますことも出来た。
『赤鬼はいいヤツなんだと人間に知ってもらいたくてやりました』って、いや、お前(鬼)が暴れたんじゃ結局『鬼は危険』って『事実』は変わんねーじゃねーか!(鬼を怖がって遠ざかった人間の正しさ)

まあ、これで赤鬼がさわやかな笑顔で『ありがとう青鬼! オレ、これからお前のぶんまで幸せになるね☆』ってサイコ野郎なら、『おう、さすがは鬼だぜ!(嫌味)』って感想になるとこだけど……
でも実際には、赤鬼は泣いたわけでして。

いい鬼になった青鬼、嘘つきにされた赤鬼

『泣いた赤鬼』の話には、『人間の視点』が欠落してる。あくまで鬼視点だから、なんとなく『美談』っぽく見えるけど、そこに『人間の視点』が加わると『悪質な鬼の話』になる。

だってこれ、真相が人間にバレたら青鬼以上の悪者になるの赤鬼だよね?

男女関係でたとえると『暴漢(青鬼)に襲われたところを助けてくれた男性(赤鬼)と親しくなってお付き合いしたものの、その暴漢、実は彼氏の友人で、全部やらせでしたー!』ってことじゃん。女(人間)視点だと。
仮に『言い出しっぺは友人』『俺は止めた』と説明されてそれが事実だったとしても、『あ、こいつトモダチに罪着せたわ』としか思えねーって!
暴漢役の友人よりも、『そんな手段』で近づいてきた彼氏のほうが腹立つわ……

これと同じで、もし八百長が人間にバレたが最後、赤鬼の信頼は失墜し、嫌われる。なにしろ赤鬼は、『青鬼が暴れたのはオレのせいです!』と人間に全力謝罪するよりも、『青鬼がしたこと(暴力)』で得られる『恩恵』を泣きながらしかしガッチリ受け取るを選んだんだから。
『自分は誠実な鬼です』と主張したいのなら、最初っからその『恩恵』は受け取らないのが筋でだな……(白目)

所詮、『鬼』は『鬼』だった。真実は墓場まで持ってくしかねーわ。

『恩恵』を拒んだ玄弥

結局青鬼は、『自分の独善』のために、わざわざ『被害者』と『加害者』を作っただけ。
そしてその『罪』の『代償』は、共犯者の赤鬼に支払わせた。
なのに当の青鬼本人は、『いいことした!』と満足して、どっかに行ってしまった。おう、さすがは『鬼』だぜ!(嫌味)

なんかこの話、青鬼の『美しい自己犠牲と友情の物語』みたいなツラしてっけど、『自己中鬼の善意の押しつけ物語』じゃん。(※良い子も悪い子もマネしちゃダメ)
こんな茶番やって許されるのは吉●新喜劇だけ。

玄弥「吉●は毎回失敗してるんだよなぁ……」

話を不死川兄弟に戻すけど、実弥の『悪いところ』は、『自分の気持ち』を押し付けるばかりで『玄弥の気持ち』をないがしろにしたことだと思う。まさに赤鬼の『いや、そこまでせんでええから!』という『気持ち』をないがしろにして、『己の独善』に走った青鬼。

ただ、実弥にとって予想外だったのは、玄弥が『青鬼の犠牲』によって得られる『恩恵』を拒絶した世界線の赤鬼だったということ。

鬼滅の刃 第170話 不動の柱[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第170話 不動の柱[吾峠呼世晴 / 集英社]

玄弥は、『兄貴が俺を大事に想ってる』ことは十分わかっていたはず。ただ、そのために兄貴が『自分自身を犠牲にすること』は違うとも思っていたんじゃないの?
だから、『それ』によって得られる『恩恵』なんて、玄弥は絶対受け取るわけにはいかなかった。
それが『あの結末』だったんじゃない?

玄弥、兄貴に対しては最期まで『誠実であろうとした』よね……

実弥の悪いところ

実弥の玄弥への態度は、『弟を危険から遠ざけたい』って『思いやりの気持ち』だった。
まあ、それはわかるんだよ。実弥が『根はいいヤツ』だってことは。

鬼滅の刃 第166話 本心[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第166話 本心[吾峠呼世晴 / 集英社]

だけどそれ、最初に言ったげて! それ、最初に言ったげて!(※大事なことなので2度言いました)

そりゃあ『いつ死ぬかわからん生き方』してるわけだから、やさしく接して悲しまれるくらいなら、とことん嫌われて『死んでせいせいした!』って罵られることを良しとするのが実弥んってのは知ってるけどさぁ……(親父殿そっくりですね……)
でも玄弥、そんな子じゃないじゃん。どんなに冷たくされても、お兄ちゃん大好きなんよこの子……

実弥の突き放しは『弟へのやさしさ』の『つもり』だったのだろうけど、玄弥からすりゃあ『兄貴のワガママ』でしかなかった。だって父ちゃんがお亡くなりになった時に約束したじゃん。『力を合わせてがんばろう』って。なのにその約束を反故にされて。
しかも母ちゃんの一件の後、失踪するし。玄弥からすると『ひどいこと言った俺のせいだ!』って自分を責めちゃうよね……なのに実弥は、『謝罪の機会』すらくれなかった。本人は『必要ない』と思っていたから。

鬼滅の刃 第133話 ようこそ…[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第133話 ようこそ…[吾峠呼世晴 / 集英社]

だけど玄弥は、『謝罪』をしないと前に進めない状態だった。
それを済ませず『他の道』なんて考える余裕がなかったもんだから、兄貴に会うために鬼殺隊に入っちゃうわ、『柱』になろうとがんばっちゃうわ、『それ自体』が目的になっちゃったわけでだな……

いくら自分は『必要ない』と思ってても、お兄ちゃんならちょっとくらい『弟のワガママ(兄貴への謝罪)』聞いたろうぜ……

実弥のワガママ

結果論かもしれんけど、結局、実弥がやってたことは『玄弥の進路妨害』でしかなかった。

玄弥を守りたかったんなら、『進路妨害』するんじゃなく、さっさと話し合って誤解を解いて、せめて『隠』とか裏方になるよう『新しい道』を示して説得するとか、やり方はあったと思うんだけどな……やり方が不器用&幼稚すぎて全部裏目……!(『押してダメなら引いてみろ』が出来ない兄ちゃん……)

実弥って、鬼殺隊士としては実に器用に戦うし『達人』だったのだろうけど、人との付き合い方はあまりに不器用で、まだまだ『坊や』だったんだろうと思う。有一郎の坊や(11)と同レベル。(『ガキっぽい』と思ってた宇髄さんの的確な評価)
『大人』だった宇髄夫妻は、きちんと話し合いした上で、自分のワガママ(お館様のために働く)も相手のワガママ(上弦倒したら引退)も聞き入れたんだよなぁ……(そしてそれが最適解だった)

つうても、実弥も幼い頃から毎日がサバイバルで、玄弥の立場になって考える『余裕』がなかったのかもな……玄弥もだけど、この坊やも『自分のこと』で手一杯だったから。

後藤「ガキの頃から鬼殺なんてやらせるからだよ……」

匡近がいれば多少は『余裕』が持てたのかもしれないけど、その匡近を失い、自分は『柱』になっちゃった以上、『強くあらねばならない』から、なおさら『弱み』とか表に出しづらくなったかな。
とはいえ、悲鳴嶼さんとか伊黒さんもいるのに。忙しい同僚には『私的なことで迷惑かけられない』って気ぃ使っちゃったの?
この坊や、他人に『甘える』のが壊滅的にヘタ……!

同じ長男でも、素直で愛想いいぶん、周りが勝手に可愛がってくれる炭治郎のほうがお得に生きてる。

甘ったれ義勇と甘えベタの実弥

『自分は柱にふさわしくない』と『弱気』になって、炭治郎に水柱を任せたかったのが義勇だけど、『柱として強くあらねば』と『強がって』、自分1人で背負いすぎたのが実弥。
この二人はどっちも『責任感』が強かったんだけど、その『責任感』が向いてる方角が違った。『内側』向いてたのが義勇で、『外側』向いてたのが実弥。

義勇は、内側にある『己の未熟』を恥じてた。
その『劣等感』から、他の柱達と距離置いたり、『責任感』から『自分よりもふさわしい人』に水柱になって欲しかったようだけど、それはただの『逃避』。自分への『甘やかし』と他人への『甘え』だった。
だけど錆兎のパァン! を思い出したことで、『甘え』を自覚して立ち直り、炭治郎とざるそば早食い勝負に挑んだ。

義勇「なんで?」

一方実弥は、外側に向かって『強がった』
弟への『責任感』だったり『柱』としての『責任感』から、自分を強く見せようとしてたのかもしれんけど、『自分の弱み(玄弥)』からの『逃避』とも言える。
いっそ、玄弥に甘えちゃえばよかったのに。そうすれば、玄弥の存在は『弱み』から『強み』になったかもしれんけど、『甘え方』を知らない実弥には、そんな選択肢すら思いつかなかった模様。

玄弥だって、『自分のこと』で手一杯な中で、それでも『兄ちゃんと共に戦いたい』という選択をする『自由』があるんだよ……だけどその『自由』を奪うってのは、実弥の『身勝手』。
そんなだから『そーゆーの』が許せない炭治郎に首突っ込まれちゃうんですよ!

鬼滅の刃 第133話 ようこそ…[吾峠呼世晴 / 集英社]

鬼滅の刃 第133話 ようこそ…[吾峠呼世晴 / 集英社]

ぶっちゃけ、言ってることに筋通ってたのは炭治郎のほう。

義勇は『末っ子長男』で自分や周囲に対してちょっと『甘えんぼ』だったけど、実弥はホント、『甘えベタ』で損してる。


それでは今回はこの辺で。
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後編はコチラ

【鬼滅の刃】実弥の空回りの善意・後編 スパルタカナエと甘やかしの実弥【考察】

前回はコチラ

【鬼滅の刃】サイコ童磨の牧場物語 後編 人になった伊之助と人になりたかった琴葉【考察】

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