アニメ進撃の巨人 The Final Season 83話『矜持』感想と考察 104期だよ全員集合!世界を救えるのは勇気あるおバカ【ファイナルシーズン】
アニメ進撃の巨人The Final Season83話『矜持』の感想と考察。
今回は、リヴァイとマガトの大人の交渉術、コニーとアルミンのおバカ対決、恩をあだで返したルイーゼ、フロックとジャンが求めたものの違いなどを考察しとります。バカバカ言い過ぎ注意。
原作漫画の大きなネタバレは注意書きしてますが、そうじゃないところでも察せられる程度にしれっと混じってるので、アニメ派の方はご理解の上でお願いします。
なお、当考察は原作最終回以降エレン・イェーガーさんに死ぬほど厳しいので『エレンすてき☆ カッコいい!』と思っていたい方は、悪いこと言わんので引き返されることをおススメします。
投げやりハンジとやる気のリヴァイ
さて、ハンジさんから始まった83話。前回もそうだったけど、今回もだいたい原作通りでしたね。
昨日まで仲間と思ってた人らに銃口向けられるとか、そらショックでしょ……ふつーに名前や顔も覚えてただろうし。
しかも、向こうだって恨みがあるわけでもないだろーに、見逃すどころか殺意満々でしつこく追ってくるって。
同じ調査兵団の仲間に命を狙われ、そしてそれを撃たなきゃいけないって、仲間を大事にしてきたハンジさんからすりゃあダメージでかいし、そして団員にそんな方角に走らせた自分の不甲斐なさに涙も出るし心も折れるよな……
『いっそここで暮らそうか』が、投げやりな感じになりましたね。
しかしまあ、心が折れそうになりつつも、それでも荷車修理したり、今、出来ることをやっているの、タフだよね……
そして起きて早々ヒゲの所在を確認し、自分の体の状態理解しつつもとことん付き合う気のリヴァイ、こっちもこっちで相当タフ。弱音吐いてる旦那叱り飛ばす嫁さんかな?
リヴァイがハンジさん見る時の目って優しいんだよなぁ……
『戦争』やってたマガト、『戦争』やってなかったエレン
さて、リアルワールドでも戦争が起こってますが、ニュース見てて思うのは、戦争ってひとたび始まると『終わらせるのは困難』なんだなってこと。
終わらせるには、どっちかがやられるか、もしくは双方が納得する『落としどころ』を見つけなきゃいけないから。
でもエレンがおっぱじめたのは『戦争』じゃなかったのよね。
タイバーさんが『宣戦布告(戦争開始!)』した途端、マーレは襲撃された。
『賢い』マガトさんは、ずっと『これは戦争だ』と思ってた。だから今度はこちらから『戦争』を仕掛けたわけで。
それで『始祖』を奪還出来れば万々歳。仮にうまくいかず、反撃が来たとしても『ぷち地鳴らし』で『世界連合軍が潰される』程度を想像してたんじゃないかなぁ……『賢い』アルミンもそう予想したし。
世界連合軍がやられりゃあ、当面世界は、島はもちろんマーレにだって攻撃出来ない。それってつまり、巨人パワーにあぐらをかいて近代化に遅れていたマーレが軍備強化出来る時間を稼いだってことになる。
で、軍備が整っても、島が健在ならまたそっちを攻撃しましょうで、マーレはひとまず攻撃の矛先をそらすことが出来る。
『賢い』タイバーさん共々、そう考えてたんじゃないの?
でもそれって『相手も賢い前提』の計画だよね……?
エレンは『おバカ』だった。最初からフルパワー地鳴らしで『世界を滅ぼすこと』が目的だった。
もうこれ『戦争』じゃないよね。マガトさん的にはもはや『落としどころ』なんて場合じゃない。だから途方に暮れてたわけで。
ところがそこに、『落としどころ』を提示してくるヤツが現れた。しかもマガトさん視点だと魔王軍幹部。
マガトさん、顔には出さないけど、内心『え? マジ?』だったかもな……だって自分らには『得』しかない。一方で、島側からすれば『得』どころか『損』ですらある。
たとえここでマガトさんと不可侵条約結んだとしても、そんなの地鳴らし止まった後で反故されりゃなんの意味もないわけだし。マーレが約束守っても、他の国がどう出るかなんてわからんし。
なのに『みんなで力を合わせよう、ってヤツをやろう』と言ってきた。
つまりマガトさん達を『信頼する』と言ってるんですよね。何度も攻撃してきた『敵』なのに。
かと言って、疑おうにも『自分らをだます理由』ってなに? なんですよ……敵対する気なら、それこそ『このザマをみすみす敵の前に晒す』必要なんてないのに。
そりゃあこんな奇怪な『悪魔』が存在するなんて、マガトさんも衝撃的すぎて困惑するだろうな……
リヴァイとマガト、大人の交渉術
さて、リヴァイとマガトさん、この交渉のポイントは『エレンをどうにかしよう』とか『地鳴らしを止めよう』じゃなく、『ジークを●す』を目的にしていることと、その上で『あんたらとは利害が一致してる』と言ってる点かな。
『ジークを●す=利害が一致』ってことは、遠回しに『あんたらもジーク●せば地鳴らし止まると知っとるやろ?』の確認?(認識のすり合わせ)
そしてハンジさんも『ジークは始祖の巨人に取り込まれている』と、現場を見たわけでもないのに予想した。
だからピークちゃんは『なんでもわかるようですね。我々マーレよりも』と言ったのかな? かつて侮って挑んだ相手を『対等』どころか『格上』とすら認めた。
そして目的を『ジークに絞ってる』ってことは、ぱっと見、ジークへの『私怨』にも見えるけど、裏を返すと『現時点ではエレンを●す気はない』と言っている。
だってエレンを●すと『始祖の巨人』を失うことになり、今後、地鳴らし発動が不可能になるから。
仮にジークを●して今回の地鳴らしは停止出来たとしても、始祖の巨人と王家の血を引く者がいれば『条件さえそろえばまた地鳴らし発動は可能』ってことだもんなぁ……
むしろマガトさん的には『エレンを討つ』に話を持って行けたほうが都合よかったんでは。可能かどうかは別として。
しかしリヴァイは、目的はなんであれターゲットをジークに絞っている。そして『ジークを●せば地鳴らしは止まる』と向こうも認識している。
ここでマガトさんが『狙うならエレンじゃなきゃダメ』って駄々こねて『じゃ、この話はなかったことで』で帰られると、一番困るのはマガトさんだからね……『撃つか、聞くか』の二択のようで一択……
そういう意味じゃあ、これってマーレに対する『牽制』でもあるのかな?
じゃあこの交渉って、要約すると『俺がジークを●して今回の地鳴らしは止めてやる。その代わりエレンは生け捕り。ここは一旦それで手打ちにしろ』ってことなんだろうか?
マガトさん側は、方法はなんであれ『地鳴らし』を止めるにはそこに行くための足、そして『始祖の巨人』を相手にするにはアッカーマンの戦闘能力と始祖キャンセル機能が必要。
リヴァイ側は、ジークを●すには車力の巨人を始めとする、マーレ側の巨人の協力が必要。
だから『利害が一致』する。
と、マガトさんとピークちゃんに『誤解』してもらうために、リヴァイが交渉役になったんだろうか? 2人とも『賢い人』だから。(この辺、後ほど)
リヴァイ側は、多少ジークへの私怨もあるけど、地鳴らし止めなきゃ『これまで調査兵団がしてきたこと』と『仲間達の死の意味』が『こんなことのためだった』ってことになる。そして何より『大量虐殺を許すわけにはいかない』という『人としての矜持のため』ってのが本音かな……
そういう意味じゃあ『じゃ、この話はなかったことで』となると困るのはリヴァイ達も同じ。
だって『このまま逃げ隠れちゃ何も残らない』から。
コニーと勘のいいファルコ
連れ去った手前、とりあえず巨人に食わせる方法を考える悪コニー。
しかし、難しいことを考え続けることが出来ず、だんだんファルコの良い子っぷりに苦悩すんのがやっぱコニー。
サシャのことを思い出したの、『わかって欲しい』というより、むしろ『ダメな自分』を引っぱたいて欲しいんじゃないかって気もする。だって我が身を顧みず子供を助けたサシャが、巨人に子供食わせるの『わかってくれる』とは……
あの場にサシャがいれば、コニーもこんなことしなかったんだろうかと思うと、ガビが放った一発の銃弾が、巡り巡ってガビの大事な人へ向かってしまったという皮肉。
そして巨人にファルコを食わせる方法をがんばって考えた結果がこれってのがコニーだよね……!
ファルコもファルコで、リアクションに困ってとりあえず『はい』って言っちゃうの、素直……!
ファルコにしてみりゃ、ガビとカヤの一件を見た後だから、今度は自分が恨みかなんかぶつけられる番かと覚悟をしたろうに。
コニーもその辺をわきまえてるの、エレンなんかよりずっと大人。
アルミンVSコニー~おバカな選択の果てに~
そして『追いつけない』とミカサに言われたものの追いついたガビとアルミン。夜通し走ったかいがあった。
コニーは馬を走らせずに歩かせてたからなぁ……ファルコ乗せてたせいもあるかもしれないけど、迷いが移動速度に影響を及ぼしたんだろうか?
この時のアルミン、力づくで止めようと思えば止めれた気もする。屋外だし、手だけぷち巨人化して、死なない程度にコニーぷちっ。とするとか。ファルコも巨人継承者だから、多少ケガさせても治るし。なんなら『母ちゃん』をうつぶせにひっくり返して物理的に食えないようにするか。
ぶっちゃけ、そっちのほうが『賢い選択』だと思う。
しかしアルミンはおバカになった。『正しいおまえなんかにバカの気持ちわかんねえよ!』と言ったコニーに対し、正しさを捨て『それを上回るおバカ』で対抗した。
わざわざ自分の命を賭けんでも、『暴力』を使えば『ファルコを助ける』という目的は果たせるんですよ。コニーだって頭が冷えて、『子供食わせるなんてどうかしてた』と、正気に戻るかもしれない。
これってぱっと見、『何も失ってない』ように見える。
でもコニーの中では、アルミンに対して『母ちゃん生き返らせるよりファルコ生かす方が得だと思ってんだろ?』ってのがいつまでも残り続ける。
なぜならコニーの『母ちゃんを人に戻してあげたい』という気持ちを否定したから。
現状、人に戻す方法が巨人継承者食わせる以外ない以上、正攻法で『母ちゃん』にその順番が回ってくることは絶望的。だって継承させるなら、ただの主婦と戦闘訓練詰んだ覚悟のある人、どう考えても後者のほうが『正しい』から。
その『事実』がある以上、コニーはたとえ表面上は元に戻ったとしても『でもコイツ、『正しさ』のためなら俺の気持ち踏みにじれるヤツなんだよな』と、アルミンを疑い続けることになる。
それって、ガビの『信頼』は得られても、コニーの『信頼』は失ったってことだよね?
これって前回考察したグリシャとグリシャの父ちゃんみたいだなぁ……『これ以上失わないように』と思って『賢い選択』をした結果、最終的に全部失ったのがグリシャの父ちゃん。
それじゃあこの場合、『暴力使って賢く解決(コニーの気持ちの否定)』って『最悪の選択』ってことだよね?
だって『間違ってる』とわかってる相手に『正しさ』で挑んでも、水と油みたいにはじかれるもん。
でもアルミンはコニーの『母ちゃんを人に戻してあげたい』という気持ちを否定しなかった。だからコニーを上回るおバカになった。
この選択、アルミンにとって、『自分の命以上にコニーが大事だ』って宣言してるようなもんだよね……
これでアルミンが食われて母ちゃんが人に戻れた場合、コニーは『アルミンの信頼を否定した』ことになる。
そして母ちゃんが『生き返るべきは僕じゃなかった』というアルミンの記憶を見てもーたりした日にゃあ、今度は母ちゃんが『生きるべきは私じゃなかった』とコニーを責めるんじゃないだろうか……そうなれば、コニーは友達と母ちゃん、どっちも失うよね……
母ちゃん、ずっと目でコニー追ってんのよね……
ああ勘違い! アルミンがエルヴィンになれないワケ
アルミンはエルヴィンのことを『賢い人』と『勘違い』してたんじゃない?
いや、たしかに『賢い人』ってのはそうなんだけど、エルヴィンの『本当のすごさ』はそこじゃない。『勇気』なんですよね。
ピクシス司令もそうだけど、いくら『人類の勝利のため』とはいえ、『殺戮者』と呼ばれたり『人でなし』と言われたかないじゃないですか普通は。
のちの世で『英雄だ!』と評価されたとしても、どうせだったら生きてる間に『英雄だ!』とチヤホヤされたい。
だから『普通』の『賢い人』は、それが出来る人を理解出来ずに『バカ』と呼ぶ。
でも『勇気』のある『おバカ』。
一方で、『賢い人』は『自分が損をしない選択』をしようとする。『悪者』と呼ばれたくないし、『バカ』だと思われたくもないから。
でもそれって『自己保身』のためだよね?
調査兵団の敵として立ちはだかったのって、『賢い人達』だった。王政もそうだったし一般市民、マーレもそう。
自分が『損』をするのが嫌で『賢い選択』をした結果、未来に『もっと大きな被害』をもたらしたんじゃあ、それってむしろ『愚者』だよね?
『エルヴィンの代わりに生き返った』ことに負い目を感じていたアルミンは、『エルヴィンみたいに賢い人』になろうとしてたんじゃないの?
『賢い人』になろうとするがあまり、身近なバカの考えを読み誤った。
アルミンは『エルヴィン団長になれなかった』と言ったけど、いやいや、あんたのその『勇気』はむしろエルヴィンだよ。
だってコニーを止めることが出来たのは、最後まで『口』ではなく『行動』で示し続けたエルヴィンに『勇気』をもらったからじゃないの?
アルミンがベルトルトを破ったのは『勇気あるおバカ』だったからでしょ? そうじゃなきゃあんな作戦、普通は思いつかないし実行も出来ない。
だからこの回↑のタイトルは『勇者』だった。『賢者』じゃない。
『賢いだけ』の人じゃあバカには勝てない。
『バカなだけ』の人じゃあ道を誤る。
そして『自分が一番正しい』と勘違いしてる『自覚のないバカ』は全方面に大迷惑をもたらす。
ジーク「俺もセットなの!?」
アルミンはエルヴィンを『賢者』と勘違いしてた。だから『賢者』になろうとした。
でもエルヴィンは『賢者』じゃなかった。だからアルミンはエルヴィンに『近づく』どころか遠ざかった。
だって本当のエルヴィンは『勇気あるおバカ(勇者)』なんだよ……! 元々『勇気あるおバカ(勇者)』だったアルミンが、エルヴィンになろうとする必要がそもそもなかった……!
アルミン「バカバカ言い過ぎじゃないでしょうか……」
リヴァイがジークにしてやられたのは、あの時リヴァイは『賢い選択』をした結果、ジークを『勇気あるおバカ』に覚醒させてしまったのが敗因だったんだよ……!
リヴァイ「バカにつける薬はねぇ……」
マガトさんと交渉したのがリヴァイだったのは、相手が『賢者』だったからこちらも『賢者』で挑む必要があったからだよ……! だってハンジさん『勇気あるおバカ(勇者)』だから……!
エルヴィン「なので次期団長に選びました」
ハンジ「そーなの!?」
アルミンが『僕はエルヴィンにはなれない』とあきらめたことにより、逆に元々近かったエルヴィンのとこに戻ったんやなぁ……本人自覚なさそうだけど。(『バカと天才は紙一重』ってそういう……)
『賢い暴力』に頼らなかった結果、一周回って『正解』を選んでるの、やはりアルミンには『正解へと導く力』があると思う。
【教訓】
おバカに『賢く』対処するなかれ。
それを上回るおバカで対処せよ。
エレンの意図と真の解放者
ルイーゼの所でマフラー発見。
戦闘時は身につけてなかったけど、ケガした後でわざわざ取りに行ったの?
しかしまあ、エレンに『捨ててくれ』と言われてその通りに捨てようとするって、それ、ミカサの意志は? ミカサが怒るとは思わなかったのこの子?
それに『捨てるくらいなら自分が』って、この子、ずっと『何か』に縛られてるよね。
さて、問題なのが、なんでエレンが『捨ててくれ』と頼んだのかってこと。
エレン的に『このマフラーがミカサを縛り付けている』と思ってるとしたら、『捨ててくれ』というのは『オレからミカサを解放してやってくれ』って意味になる。
でもそれって『自己満足』だよね?
それをやっていいのは、エレンでもなければルイーゼでもないのよね……『解放者』は『他人』であってはいけない。
なぜならそれまで奴隷やってた子が、ある日突然『お前は自由だ』と『解放』されても、どこ行きゃいいのか、なにすりゃいいのかわからないから。
それ『解放』ちゃう。『路頭に迷わせてる』だけや。
路頭に迷わないようにするには、元いた場所に戻るか、解放してくれた人に『依存』するしかない。
エレン……お前がユミルちゃんにした『手口』がコレだよな……? 一見、『かわいそうな女の子を解放しに来たヒーロー』に見せといて、『オレに力を貸せ!』と、しれっと『次の依存先の提示』をしたよな……?(エレンがやることすべて悪意的に見ちゃう病患者)
ミカサも路頭に迷ってたんですよ。でも、エレンがマフラーを巻いて『帰ろうぜ』と言ってくれた。
以来、ミカサは何をするにもエレンエレンという子になった。
そのキーアイテムがマフラーかな?
島もそう。イェーガー派や島民は、エレンのことを『島の解放者!』と思ってるようだけど、『解放者』を他人に求めた時点で『自由』を失ってる。
だってそれ、『解放』ちゃう。『依存』や。
『お前もそうしろ』と『強要』したりされたりしてる時点で、自由を奪われてるじゃない……これはご主人様に絶対服従の奴隷……
結局、自分達、一人一人の意志でつかみ取らなきゃ、何からも解放されない。
ルイーゼが兵士になったワケ
ルイーゼ、『ミカサにあこがれて兵士になった』ってのは事実ではあるんだろうけど、この子『それを聞かされたミカサがどう思うか』なんて考えてなさそう。
本人は『感謝の意』を伝えてるつもりなんだろうけど、ミカサにしてみりゃ『昔助けた女の子が、自分にあこがれてしまったがばかりに早死にした』ってことだよねこれ?
ご両親、存命かどうか知らんけど、ミカサを恨むまではいかんでも、すげぇ複雑な気分になると思う……
この子にとって『自分の命』ってなんだったんだろ。
これまでの発言から考えるに、この子、『誰かを守るため』に兵士になったというより『誰かをやっつけるため』に兵士になり『そのためなら心臓捧げたってかまわない!』って感じ。
それって『恩』を仇で返してない?
ミカサにしてみりゃ『あの時助けていただいた命を大切に、家族と幸せに暮らしています』のほうが、よっぽど嬉しかったと思う。
なのにこれじゃあ『私が助けた命はそんなにも粗末なものだったのか』って、ガッカリすると思うよ……
なのにルイーゼは、そんなのおかまいなしに、会話をしたこともないミカサを勝手に目指し、その結果、自分の力量も測れず無茶して死にそうになってる。
それ、ミカサちゃう。巨人パワーがなけりゃあ1巻で死んでたどっかの『死に急ぎ野郎』や。
ああ勘違い! ルイーゼがミカサになれないワケ
ミカサに近づくどころか遠ざかってエレンになったのがルイーゼだけど、その点に関しては、エルヴィンを『賢者』と勘違いしたままエルヴィン目指してたアルミンみたいでもあった。
ルイーゼも、『ミカサの背中』と勘違いしてまったく別の人の背中を追いかけてた。勘違いしたまま『あの人と一緒に強大な敵をやっつけられる人になろう!』とした。
でもミカサは『エレンを守るため』に兵士になったんだよ。『エレンと一緒に誰かをやっつけるため』じゃない。(ルイーゼはエレンのことも『強い人』と勘違いしてただろうから『守るため』という発想がなかったのかもな……)
ミカサのことを理解する気があったんなら勘違いに気づいたかもしれないけど、この子は『等身大のミカサ』に興味がなかったので、『人違い』に気づかずじまい。
結局、最後まで自分のことばっかだった。それがこの子の『幼さゆえの悪魔』なんだろうか。
ルイーゼって『ミカサがなってはいけない自分』だった。ミカサを勘違いしたまま、マフラーをあの世まで持っていこうとしたし。
エレンも『ミカサが自分を勘違いしたままマフラー巻いてる』のが『隷属的な関係』に見えて嫌だったのかも。
ミカサが最後まで聞かずに立ち去るの、いたたまれなくなったのか、どうせなら夢を見たまま逝ったほうが幸せと思ったのか……
まあ、せっかくキレイな夢を見たまま逝けそうな人の枕元で『入団式でイモを食い、放屁で教官をびっくらこかせた伝説の104期は私』と今すぐショック死させる必要もないよね……
ミカサ「それ私ちゃう」
サシャ「放屁もしてません」
フロックが求めたもの
前日まではピクシス指令が立ってたはずの場所にフロックが立ってたり、公開処刑が始まろうとしてたり、エレンやっぱお前島を救うつもり(以下略)
オニャンコポン、なんも悪いことしてないのに『従えないヤツは見せしめに●します』って、それ、完全にマフィアや悪の組織がやることですけど。
エレンおまえ、自分の仲間達が『悪の組織』みたいになってええんか……?
なんというか、フロックって『自分が生き残った意味』しか求めてないんだろうなって思う。
シガンシナ決戦で生き残った時、エルヴィンにトドメさそうとしたけど思いとどまったのは『これが自分が生き残った意味だ(自分のため)』と思ったからだし。
エレンに協力したのも『これが自分が生き残った意味だ(自分のため)』と思ったからだし。
フロック、『死ぬことに意味はない』と思った結果が『いいじゃないか屈したって』に繋がったってことかな……
でもそれって、マルロ達も『死んだ意味なかった』ってことにならない?
『いいじゃないか屈したって』ってことは、フロックも『何かに屈してる』ってことになる。少なくとも『巨人』という『強大な力』には屈してるよね。島民達もそう。
エルヴィンは屈しなかった。だからあの作戦を実行したわけで。
だってエルヴィンは『死んだ仲間』を『思いやれる人』だから。
でもフロック的には『すでに死んだヤツを思いやった結果、今生きてる自分が犠牲になるなんてバカらしい』と思えたんだろうか?
それならむしろ『屈したっていいじゃないか』と思った。少なくとも『今生きてる自分』は助かるから。
それって『壁の王』と同じだよね。
『他人』のために『自分』がしんどい目に遭うなんてバカらしいから、自分は楽園を享受し、滅びるのは『未来の子供達』に押し付け。
押し付けられた未来の子供達も『自分』が犠牲になるなんてバカらしいからまた『未来の子供達』に押しつけ。そしてまた押し付けられた未来の子供達も(以下略)
それ『公人』として一番アカンヤツ……!(どっかの年金制度かな?)
エルヴィンが屈しなかったのは『死んだ仲間』のためであると同時に、死んだ仲間達が守りたかった『夢』だったり『未来の誰かのため』でもあったのに。
初代壁の王といいフロックといい、重要なのは『今の自分』であり『百年先の未来なんて知ったこっちゃない』ってことなんだろうなぁ。
ジャンと骨の燃えカス
一方でジャンは、『死んだ仲間』を思いやっている。
そもそもジャンが調査兵団に入ったのは『マルコの死』がデカかった。
『マルコはなんのために死んだのか』を求めて、調査兵団入りを決意したのがジャン。『仲間の死の意味(誰かのため)』より『自分が生き残った意味(自分のため)』を求めてたフロックとは根本から違う。
ぶっちゃけジャンが『いい加減でムカつく生意気なヤロー』なら、『仲間の死の意味』なんてどうでもいいことなのに。
でもこれ以上『自分を嫌い』になりたくなくて、『勇気あるおバカ』になることを選んだ。そういう意味じゃあ、ジャンが調査兵団に入ったのは『美しい自己犠牲』なんかじゃなく、むしろ誰よりも『自分の心』に正直で『自分を大事にした結果』と言える。
もしここでジャンがイェーガー派についたら、勇気を出して『調査兵団になる』と決意した『過去の自分』を裏切ることになる。そんな自分を、ジャンは好きになれるの?
『死んだ仲間を思いやれる人』は、一見『過去』を見ているようで『未来』を見ている。だって『今の自分は死んだ仲間に恥じない生き方が出来ているだろうか?』と、常に『自分に問いかけることが出来る人』だから。
だから道を誤りそうになっても正せるし、欲望にも屈しない。
そんな人のほうが、将来、よっぽどいい国作ってくれると思う。
104期だよ全員集合!
さて、一度はバラバラになりかけていた仲間達が、同じ目的のために集まり始めました。
しれっと隣にアニ。
アニ的には、固まってる間『硬質化が解けた時、アルミンにどんな顔して会えばいいだろう』とかちょっと感動的な再会を考えたこともあっただろうに、夢中でパイむさぼり食ってる最中にしれっと隣に座ってたというまさかのミラクル。
進撃の巨人にロマンスの神様は……いない!
そら噂してた矢先にこんな不意打ち喰らったら、笑ってまうわな……
そしてアルミンのフォローになってないフォロー。
アニも、なんか言おうにもなんも言えず、とりあえずパイ食うことを再開するの、4年ぶりのパイ、つよい。
アニのおかげで、すっかりコニーがコニーに戻って安心したよ……
スヤスヤ寝てたら、お目覚めの蹴り。
ライナーにしてみれば『死んだかも』と思ってたアニに蹴り起こされ、104期勢ぞろいという超ドッキリだったよね……ここにジャンがいないのがちと残念。
仲間外れは寂しいので端っこにつけといた。
ジャン「卒業写真に欠席したヤツみたいにすんな!」
世界を救えるのは『勇気あるおバカ』だ!
* * *
金眼銀眼さん
メッセージありがとうございます!
ミカサに『自分の意志』がないように見えるのは『これからどこに向かって帰ればいいの?』と震えていた幼い少女時代で時間が止まっているからかもしれませんね。(エレンの『本来のミカサは9歳で消えた』はあながちはずれちゃいなかった)
82話のミカサは、エレンという心のよりどころ、悪く言えば『依存先』を失ったことで路頭に迷った幼い少女。
『幼い少女』だから『保護者』が必要。ミカサはエレンの『保護者』のようでいて、エレンがミカサの『保護者』でもあった。
そしてミカサは『保護者の言うこと』をよく聞く『いい子』。ある意味、強大な力を持っていながら王様の言うことをよく聞いていたユミルちゃんと同じ。
『保護者』を見失い、路頭に迷ってアルミンにすがろうとしたってことなんでしょうかね。まあ、アルミンはミカサを『自分と対等』に思っていたから突き放したわけですが。
ん? そうなると『進撃の巨人』は、か弱い少女が大人になって独り立ちするまでの物語だったのか……?
ミカサの親友ポジション……アニがそうなってくれるといいですね。すでにヒッチいるけど。
* * *
それでは今回はこの辺で。おもろかったら下にあるイイネボタンを押していただけると元気と勇気とやる気が湧いてきます(*´ω`*)ノ
次のアニメ84話考察はコチラ
アニメ進撃の巨人 The Final Season 84話『終末の夜』感想と考察 損得で動かないジャンと正義の味方のマガトさん【ファイナルシーズン】
前回のアニメ82話考察はコチラ
アニメ進撃の巨人 The Final Season 82話『夕焼け』感想と考察 暗い夜の始まり 島民とイェーガー派『賢い選択』の果てに【ファイナルシーズン】