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アニメ進撃の巨人 The Final Season 86話『懐古』感想と考察 ヒーローになりたかったフロックとヒーローになったマガトとキース

進撃の巨人アイキャッチ

アニメ進撃の巨人The Final Season86話『懐古』の感想と考察。
今回は、悪魔の子なフロック、通過儀礼を突破出来なかったダズとサムエル、ヒーローになりたかったシャーディス教官、有能な無能だったマガトさん、ファルコはじめての巨人化やアニの失意とミカサの覚悟などを考察しとります。

個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
原作漫画の大きなネタバレは注意書きしてますが、そうじゃないところでも察せられる程度にしれっと混じってるので、アニメ派の方はご理解の上でお願いします。
なお、当考察は原作最終回以降エレン・イェーガーさんに死ぬほど厳しいので『エレンすてき☆ カッコいい!』と思っていたい方は、悪いこと言わんので引き返されることをおススメします。

悪魔の子なフロック

フロックがとってもがんばった86話。
『ただただ生きる』のが嫌だったフロック。なにを犠牲にしてもエレンを守ろうとしたフロック。その心意気、まさに悪魔の子。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

フロック「なにを犠牲にしても、それでもキミを守るよ!(※それ以外も守るとは言ってない)」

エレンの仲間●しちゃったら後でエレン怒りそうなんだけど、フロックはエレンのこと『疑ったりしない』んだね……

フロック「間違いだとしても疑ったりしない。正しさとは自分のことを強く信じることだ!

うーん、これは悪魔の子……
エンディングは今すぐお花畑を独りで歩くフロックに描きかえ、エレンも責任とってフロックと結婚すりゃいいと思う。私が許すから。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古 ※春の雑コラ祭り

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古 ※春の雑コラ祭り

※画像はイメージです。

フロックを幸せに出来るのは……エレン、お前だ……!

エレン「なんであんたが決めてんの!?」

ご祝儀は300円でいいかな?(募金か)

ヒーローになりたかったフロック

さて、人は酔っ払うなどして理性をなくした時や、追い詰められ、切羽詰まった時に『本性』が出ると言います。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

追い詰めたのが調査兵団団長なの、『絡み』はあんまなかったのに『団長』との『因縁』はあったよね……

追い詰められた末に『エルディアを救うのは俺だ』なんてセリフが出たってことは、つまりこれがフロックの『本性』ってことなんだろうなぁ……

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

だってこんなセリフが出たってことは、フロックって根っこに『ヒーロー願望』があったってことでしょ? だから調査兵団に入ったわけで。
『島を救う』が目的なら、『ヒーロー』になるのは自分じゃなくたってよかったんだから。

それどころか、ヒーローすら必要なかった。わざわざ命がけで戦ったりせんでも『ヒストリアに巨人継承してもらってぷち地鳴らしで世界を牽制』でも良かったわけじゃん。

進撃の巨人The Final Season 69話 正論

進撃の巨人The Final Season 69話 正論

でもそのルートだと、フロックって『出番がない』んだよね。

あんな壮絶な体験したのに、『ラッキーで助かっただけの人』以上のものにはなれない。『ただただ生きる』だけ。

やっぱりフロックがエレンに協力したのって『仲間の死の意味のため』とか『島を救うため』とかより『自分が生き残った意味のため』じゃないの?
そしてその『意味』を『自分がヒーローになって島を救う』に求めてしまったんじゃないかなぁ……
たとえるなら、『ヒーローになりたい!』と目論んで人んちに放火するようなもん。『ヒーロー』になるには、誰かに不幸になってもらわなきゃいけないから。

兵団は世界との共存を目指していた。そのための人はそろっているから、そこに自分が入る隙間はない。
でもエレンに協力すれば『世界という強大な敵に立ち向かう俺』という実にヒーローな図式が出来る。そして邪魔な兵団上層部を排除することで、自分が指導者ポジションに。

進撃の巨人The Final Season 82話 夕焼け

進撃の巨人The Final Season 82話 夕焼け

そうすれば、まるであの特攻で『自分が生き残った意味』が、次の大河の主人公狙える? くらいものすごくドラマティックなものになる。そのうち、あの特攻経験を、言い方悪いけど自らを引き立てる『誇らしい自伝』のように語り出しそう……

それじゃあ結局、『フルパワー地鳴らし』って、『誰かを救うため』とか『何かを守るため』の希望でもなんでもなく、『誰かの欲望のため』に引き起こされたものってことじゃん。
壁の王の『欲望のため』に作られた壁は、誰かの『欲望のため』に壊され、そして誰かの『欲望のため』に利用される。
それがずっと『順番』となって回り続けることになるんだろうなぁ……

『無垢なる羊』のイェーガー派

イェーガー派が死にものぐるいで抵抗した今回。フロック、『報復されるぞ!』と言って兵士を煽り立ててはいるけど……
これ、次回87話のネタバレになるけど『すぐには報復されない』ってこと、フロック知ってるんだよね……世界連合軍が壊滅したら、財政破綻で当分戦争どころじゃなくなるって。
『地鳴らし』がすでに大陸に上陸してるこの時点で、報復は当分ないことが確定している。

だけどそのことは伏せて、まるですぐ報復されるかのようにめっちゃ恐怖であおってる。あおられてる兵士も、恐怖のあまりそれを信じて死に物狂いで戦っている。彼らは『無垢なる羊』だから。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

『外の世界』を知らないもんだから、誰かが、まるで自分で見て来たかのように力強く語られると信じちゃう。フロック、レベリオ襲撃で『外の世界』には行ったかもしれないけど、ジャンのように『見てきたわけじゃない』はずなのに。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

フロック、『島を救うため』に戦ってるには違いないんだろうけど、ピュアピュアハートの『羊達』を恐怖であおって、『犬』に仕立て上げてる感がする……『恐怖』で人を動かしてる時点でそれはもうヒーローじゃないよね。
ヒーローは人に『勇気』を与え、自らの意志で立ち上がるよう鼓舞するけど、その反対にいる人は『恐怖』で人を動かし、支配するんやで……『恐怖』に打ち勝つのが本物のヒーロー。
フロックの存在って、さすがのエルヴィンも『すべての人に勇気を与え、鼓舞することは不可能』って証明なんだろうね。

ここでフロックが勝ってた場合、まあ、たしかに『外の敵は』いなくなるかもしれない。
しかし、それで『みんなが』幸せに生きられるかとなると話は別なのよね……

今はみんな一丸となって『外の敵』に向かってるけど、キヨミんの言う通り、次は『内なる敵』に向かう未来しか見えない。

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

『恐怖』に支配された『弱い人』は、自分の立場や身の保身のために『もっと弱い人』を支配するようになるから。それで幸せになれるのは『みんな』じゃなくて『一部の人』ということは、壁の外に出る以前の時点ですでに判明している。

進撃の巨人55話[ 諫山創 ]

進撃の巨人55話[ 諫山創 ]

それって王政時代よりひどいことになりそう。

通過儀礼を突破出来なかったダズとサムエル

前回の最後と今回の冒頭でダズとサムエルの死が描かれたけど、この結末は『覚悟の差』が表れたよね……サムエル達は、『アルミン達を●す』より『飛行艇爆破』を優先したから。

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

↑だってこれ、悠長に起爆装置直してないで、ダズがコニー撃てば終了だったじゃん……
これは『同期を●したくない』という『やさしさ』とも言えるけど、意地悪言わせてもらうと『他人の手が汚れるのはかまわないけど自分の手が汚れるのは嫌』という『卑怯な心』だよね?
だって『飛行艇爆破』に成功したからと言って、それでアルミン達が助かるってわけじゃないでしょ? この状況じゃあ、もはや処刑されるしかないはずなのに。

それ、ホントに『やさしさ』? 『自分への甘さ』じゃなくて?

サムエル達って、言うなれば『アルミンがいなかったジャン』だよね。

進撃の巨人59話[ 諫山創 ]

進撃の巨人59話[ 諫山創 ]

ジャンが今いるのは、『自分の手を汚してでも仲間を守る』という『勇気』と『覚悟』を持つアルミンがいたから。仲間の存在が、ジャンを『通過儀礼』を突破出来る『強い子』にしてくれた。

サムエル達には『代わりに手を汚してくれるアルミン』がいなかった。かと言って、『他人のため』に自分がアルミンやコニーになる勇気も覚悟もなかったから、『通過儀礼』を突破できなかった。

もし突破出来ていれば、いつかアルミン達が地鳴らしを止めようとした理由を『理解』出来る日が来たかもしれないけど、きっとそれは『島が人間同士の●し合いで滅びる時』だろうね……

『無情』のフロック

さて、同じく同期であるフロック。こちらは一見、サムエル達よりも『島を守る覚悟』があって、86話ではそのために戦ってたようにも見えるけど、でもフロックって『誇りのために死ぬことはない』って人のはずなんですよね。

進撃の巨人The Final Season 82話 夕焼け

進撃の巨人The Final Season 82話 夕焼け

私は、フロックとは『人を愛せない子』なんじゃないかと思う。

自分が人を愛せないもんだから、他人が『誰かのため』に不利益を被る行動を取ることが理解出来ない。『矜持』に生きることが理解できない。『仲間達の死の意味』のために生きることが理解できない。だから港に来た当初、『裏切り者』の存在に半信半疑だった。理解出来ないから。

『誰かのため』に生きることが出来ないから、『自分のため』にしか生きられなくなる。現に、彼が『怒る』のは『仲間を傷つけられた時』ではなく『自分の邪魔』をされた時。だからジークとも普通に会話した。
彼にとって『他人』とは利用するためのものであって『都合の悪い子』は誰であろうと排除する。たとえそれが、誰かにとって自分の命より大事な人だったとしても、そういうものの存在を理解出来ないし想像すら出来ないから、ためらうことがない。

進撃の巨人The Final Season 82話 夕焼け

進撃の巨人The Final Season 82話 夕焼け

だから傍目には『非情な決断が出来る強い指導者』のように見える。けど実際は『情』がないだけ。
『非情』というよりむしろ『無情』。

そういう意味では、彼はエレンのことも理解出来ていないんじゃないかと思う。フロックの視点だと、エレンの行動もまた『不利益を被る行動』のはずなのに。(まあ、現実はそうでもなかったんですが……むしろ一周回って一番エレンを理解してる?

かと言って『自分自身』のことは愛しているのだろうか? となると、それもそれで疑問。『自分を粗末にしている』ように見えるんだよなぁ……先陣きって戦いに行ったり。
自分を粗末に出来るから、他人も粗末に出来る。ワインをばらまいて人を巨人に変えても、なんとも思わない。
4年前の戦いで生き残ったからこそ、なおさら『自分の命』を大事にすべきなのに、なんか寂しい子だよね……そこに、愛はあるんか!?

みんな持ってる『ヒーロー願望』

今回のフロックもそうだし、エレンやライナー、そしてシャーディス教官と、『ヒーロー願望』持ってる人って、結構大勢いますね。

若い頃のシャーディス教官って、表には出さないけど『自分以外みんなバカ』と思ってたり『偉い立場の人』を心の中で見下してたりと、内面だけ見ると『すげぇ嫌なヤツ』だった。『悪い人』ではなかっただろうけど。

進撃の巨人71話[ 諫山創 ]

進撃の巨人71話[ 諫山創 ]

その傲慢さの根っこには『人から認められたい』って願望があったんですよね。
みんなから『すげぇヤツだ』と認められてチヤホヤされたい、好きな人にも振り向いてもらいたい。そんな『欲望』のためにヒーローを目指しちゃった。だからハンジさんはキレた。

進撃の巨人71話[ 諫山創 ]

進撃の巨人71話[ 諫山創 ]

ハンジさんって『超まじめ』な人なんだよね……ガチもんの公人。

でもまあ、シャーディス教官のすごいところは『ダメな自分』を受け入れたこと。そしてそんな黒歴史を、教え子やかつての部下に包み隠さず告白した。
ぶっちゃけ、そういうことを『一番話したくない相手』じゃない? 自分のことは伏せて、グリシャのことだけしゃべってもよかったのに。
『自分の弱さ』を受け入れ、その『かっこ悪さ』を隠さず誰かに伝えるって、それも一種の『強さ』だよね。

そして今回のシャーディス教官。
ハンジさん達に存在自体見られてないのよね……『列車爆破したの誰?』くらいには思われてるだろうけど。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

ヒーローって、『誰も見てないところで人助け』が出来るから『ヒーロー』なんですよ。
自分が『損』をしても誰かが助かったんなら『まあいーや』って人じゃなきゃなれない。ある意味『正しい自己満足』ってこういうことなんだろうと思う……

そりゃあ、たとえば教え子が巨人に食われる一歩手前の完璧なタイミングで助けに来たりすることもあるけど、そんなの稀だよ!

進撃の巨人The Final Season 81話 氷解

進撃の巨人The Final Season 81話 氷解

スルマ「そういえばめっちゃいいタイミングだった気がする……」

港でのシャーディス教官には、『欲望』がまったくなかった。『欲望』を満たすためにヒーローになろうとしてた若い頃とは違うから。
一度『自由の翼』を手放したことで、本物の『自由の翼』を手に入れた。かつてのシャーディス教官は『ヒーローになりたい』という『欲望』の奴隷だったから。
皮肉なことに、『ヒーローになる』ことをあきらめたからこそヒーローになれたのよねこの人……教え子達への『立ち上がるべき時に立ち上がれ』は口だけじゃなかった。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

立体起動が旧式なの、『あの頃なりたかった自分』になるために来てくれたのかもしれない。

『有能』な『無能』のマガトさん

シャーディス団長は自分を『無能』と言って退いたけど、逆に『有能』だったのがマガトさん。
『ヒーロー願望』があったのかどうかは知らないけど、結果としてマーレの元帥になったりと、ある意味『夢を叶えたシャーディス団長』みたいな人だった。

そもそもマガトさんが『マーレの元帥』になったのは、『自分の欲望』のために好き勝手やってるマーレを変えたかったからのはずなんですよ。
なのに、ガビに土下座させてしまい『自分は変えたかったはずのマーレそのもの』と打ちひしがれたんでしょうね……

進撃の巨人The Final Season 84話 終末の夜

進撃の巨人The Final Season 84話 終末の夜

結局この人も『元帥としての立場』を利用して『マーレだけを救おう(自分の欲望)』としていていただけで、『無能』と排除したマーレ上層部と大して変わらなかった。
『軍人』としては『有能』だったかもしれないけど、『一人の大人』としては『無能』。それに気づいたことが、前回のアルミン達への謝罪に繋がった。

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

これはシャーディス教官と同じ『ダメな自分』を受け入れた瞬間。

『元帥』としての地位や肩書きを捨て、『一人の人間』『一人の大人』として、子供達のために戦うことを決めた瞬間、この人もヒーローになったよね。ピークちゃんは『元帥』と呼んだけど。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

ピークちゃん的には、『元帥』を捨てることでヒーローなんかになるくらいなら、『元帥』のまま、自分達と一緒に生きて欲しかったんだろうか……

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

ジャンの借り物だったけど、自由の翼、お似合いでしたよ……

流れる時代、人類が巨人を超える時

港での戦いはライナーとアニの共闘が熱かったけど、この2人がかりでも窮地に陥るって、改めて、雷槍つよい。

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

進撃の巨人The Final Season 85話 裏切り者

『巨人相手に物量戦はかなわない』と言われていたけど、雷槍が誕生したことによって巨人もまた物量戦にかなわなくなったね……
雷槍のおかげでより確実に巨人を倒せるようになったけど、それを敵に回すとこんなにも追い詰められるという皮肉。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

これもまた『時代の流れ』というものを感じる……

そもそも『雷槍』を作ったのって『鎧の巨人対策』だもんな。『鎧の巨人』の登場が『雷槍』を誕生させた。
ライナーは雷槍のママだったんやな……

ライナー「何故そうなる」
ハンジ「私は?」

ファルコがんばる。ヒーローに必要なもの

ライナーとアニのピンチを目の当たりに、ファルコがついに巨人化しました。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

『力を持ってる人が戦わなくてどうする』を体現してくれたよね……昔、それを言ったのエレンなんだけどさ……

進撃の巨人19話[ 諫山創 ]

進撃の巨人19話[ 諫山創 ]

お嬢ちゃんからおっさんまで、『自分のヒーロー願望』を満たすためにがんばったヤツらが多い中、本物のヒーローは特にヒーロー願望のないファルコだった。
だってファルコは、最初っから『誰かのためにがんばれる子』だったから。

かつてのライナーやガビは、口では『みんなのため』と言いつつ、本音は『自分が誰かに褒められるため』にがんばってた。それは若い頃のシャーディス教官も同じ。

でもファルコは、助けた人に『触んな悪魔』とののしられても、その後も人助けを止めなかった。なぜなら『褒められるため』に助けたわけじゃないから。

進撃の巨人The Final Season 61話 闇夜の列車

進撃の巨人The Final Season 61話 闇夜の列車

ファルコの『本音』が『褒められるため』であったのなら、『それを得られない』とわかった時点で『もう助けんのやめよ』ってなるはずだもんな……助けるだけ『損』だもん。

どこで聞いたかうろ覚えだけど、とあるヒーローショーの質問タイムで、

ちびっこ「ヒーローに必要なものはなに?」
ヒーロー「ヒーローに必要なものは『やさしさ』だ!」

って答えたというエピソードが好きなんだけど、この回答、『正義』でも『強さ』でもなく『やさしさ』ってのがポイントだよね。
ヒーローはたしかに強くなきゃいけないんだけど、『やさしさ』があるからヒーローなんだよ……! たとえそれが自分に石を投げ、罵った相手であろうとも、ピンチになっていたら助けちゃうのが真のヒーロー……!

進撃の巨人The Final Season 60話 海の向こう側

進撃の巨人The Final Season 60話 海の向こう側

『やさしさ』がない人は、どんなに強くたって、どんなに賞賛を浴びたって『まがいもの』にしかなれない。
だって自分の好き嫌いで患者選ぶような医者と、たとえ相手が親の仇であろうと平等に治療を行える医者と、どっちがヒーローかって、そりゃ圧倒的に後者でしょ。
ファルコは後者になれる人。

もうホント、どっかのヒモ男にこの子の爪の垢煎じて飲ませたくて仕方ない。あなたのパパは、少なくとも壁の中に行ってからは患者を選ばない立派なお医者さんでしたよ……!

世界の滅亡カウントダウン

港でアズマビトを保護したものの、『ここでは飛行艇飛ばすん無理!』と判明し、急遽目的地をオディハへ。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

またそーやってフラグ立ててくる……!

しかしまあ、戦闘の具合を見る感じ、仮に飛行艇組み立てが30分とかでも、どのみちここじゃあ作業厳しそうな気がするけど……
そして『あと4日で世界滅ぶ』とすぐ計算できるハンジさん、あんたもすげぇよ……

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

地鳴らし発動日を1日目として計算すると、現在3日目。何千年かけて出来た今の人類の歴史も、たった一週間ほどで滅ぶというわけか。『天地創造』じゃ『神様は一週間かけて世界作った』と言われてるけど、世界を滅ぼすのも一週間。
まあ、7日目は『神様がお休みになった日』だから、地鳴らし発動を0日目として考えると正確には発動から6日目くらいで世界は滅び、7日目にはエレンはどうするつもりかな?

どっちにせよ、悠長に時間かけて結束固めてる場合じゃないよねこんなん……
そらもう『時間がねぇから今すぐ決めろ!』ってレベルの猛スピードで結束が固まらんと、『始祖の巨人』と戦うなんて無理だわ……マーレ勢には『結束』を、パラディ勢には『覚悟』を決めさせるための戦いだった。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

だってパラディ勢は、エレンを止めることが出来なくても困ることはないわけだし、マーレ勢もそれがある限り信頼しきれない。それが昨夜の『アニの問いかけの意味』なんだから。

進撃の巨人The Final Season 84話 終末の夜

進撃の巨人The Final Season 84話 終末の夜

そりゃあ余計な血は流れないにこしたことはないし、この戦いが起こったせいで大陸側の『助かる人』も減ったかもしれないけど、この戦いがなきゃ覚悟も結束も固まらず『地鳴らし停止失敗』なんてことになるとしたら、決して『無駄な戦い』ではなかったと思う。

アニの失意、ミカサの覚悟

さて、激闘の末に島を脱出出来たものの、レベリオ間に合わないと知り、アニの喪失感が見ててすごい気の毒……アニにとって『パパに再会する』だけが生きる希望であり戦う理由だったのに、自分の知らん間に……だもんね。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

ついさっきまで死にものぐるいで戦ってたというのに、この時のアニにとってはもはやそれすら『無意味なもの』になってしまった。
『希望をなくした』からといって『元々持ってなかった頃』に戻るってわけじゃないもんな……むしろ『一度手に入れて失った』時のほうがダメージ大きい。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

さすがのミカサも、昨夜みたいにアニに怒るなんて出来ないよこれは。
かといって、アニの『エレンを●せるの?』の問いかけに『はい』とも『いいえ』とも答えない。

そういう意味じゃあ、この時のミカサって『エレンの元へ行く』が最大の目的であって、『本当の意味』での『地鳴らしを止める覚悟』はまだ固まってなかったのか、もしくは『説得に応じてくれる都合の良いエレン』を期待していたのか……
だって『エレンを●せるの?』の問いに『いいえ』と答えたら『地鳴らし止める気ねーなコイツ』になり『港での戦闘の意味は?』ってことになる。あんだけ血の雨浴びといて。

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

進撃の巨人The Final Season 86話 懐古

かといって、この時点で『はい』と答えるのは『あきらめた時』だもんな……そら答えられない。

『仲間達の死の意味』に背中を押されて動き出したけど、港で自分達が●した人達の『死の意味』も背負ったんだよね。
どんな手段を使ってでも地鳴らしを止め、なおかつ島も守らないと、筋通らんよ……

* * *

金眼銀眼さん
いつもコメントありがとうございます!
おかげさまで、今回はフロック多めの考察となりました。
やはり彼が他者を『理解』出来ないのは、彼自身が『人を愛することが出来ない人』だからじゃないかと思いますね……
もし、誰か彼を愛してくれる人がいても、そのことに気づくことも出来ない。気づけないから、彼にとっては『ないもの』として処理される。
『他者を理解する』には、まず人を愛せなくては無理なんだろうな……彼を見てるとそう思います。
もし今回の港での戦闘に勝って、自分の思い通りに島の指導者になることが出来たとしても、遅かれ早かれキヨミさまの言葉通りになり、彼自身、誰からも理解されない寂しい結末になりそうですよね……

木通さん
コメントありがとうございます! そう言っていただけると、考察してきた甲斐がありました!
私も連載を追ってた頃は、エレンに対して好意的に解釈しようとしてましたね……まさに主人公フィルターごしにエレンを見ていたというか。最終回まで読んでも、すぐにはフィルターがはずれなかったし。

主人公フィルターがすっかり壊れた今思うことは、読者にもまた『ヒーロー願望』というものがあって、それを主人公に託して読んでいるのではないか……ということですね。前半のエレンってまさに『少年漫画の主人公!』でしたし。
なのでどうしても『主人公=正しい』という固定概念に縛られ、自分の都合のいいようにエレンを解釈しようとしてしまうのではないか。それが結果として『エレンの理解』から遠ざかってしまう。
エレンにとっても『読者の理想』なんて知ったこっちゃなくて、むしろ『読者』という存在こそが『エレンの自由を縛る鎖』だったのではないか……それってお互い『不自由』では?
最終回の『あの真相』は、諌山先生が読者を固定概念から解放する究極奥義『読者の主人公フィルターぶっ壊し砲(ネーミングが雑)』だったのかもしれません。『お前は自由だ』ってそういう……?

* * *

それでは今回はこの辺で。おもろかったら下にあるイイネボタンを押していただけると元気と勇気とやる気が湧いてきます(*´ω`*)ノ

次のアニメ87話考察はコチラ

アニメ進撃の巨人 The Final Season 87話『人類の夜明け』感想と考察 その1 悔やむミカサとエレンの本性

前回のアニメ85話考察はコチラ

アニメ進撃の巨人 The Final Season 85話『裏切り者』感想と考察 虐殺に走ったイェーガー派と裏切られた自由の翼【ファイナルシーズン】

進撃の巨人考察一覧はコチラ

  • むちむち より:

    こんばんは^_^
    昨日、youtubeでファイナルシーズン02のサウンドトラックが解禁されて、観てたらこの回が無性に見たくなって、考察を読みにきました。

    とわこさんの考察を読み進めて理解した事は

    エレンは地ならしをやった理由は
    ①巨人を一匹残らず駆逐したかったから。
    ②104期の仲間に幸せに暮らしてほしかったから。
    ②はとわこさんの考察通り、大義名分的な価値で、①をとにかくやりたかった。
    じゃないと辻褄が合わなくなってきました。

    イェーガー派との凄まじい攻防。
    そもそもイェーガー派って敵なの?
    敵にしたのは誰なの?

    かつてミカサは守る命には限りがあるって言ってて、多分エレンもそうなんでしょう。
    2人は似たもの同士だから。
    104期の仲間以外はどうでも良い。(ヒストリアも仲間から外してしまった模様)
    でも、ハンジさんの言葉を借りるなら、①だろうが、②だろうが、虐殺を肯定する理由があってたまるか!なんですよね。

    104期の仲間にもたくさん人を殺させたじゃん。
    巨人の能力があってもなくても戦争はなくならなかったじゃん。
    とわこさんの考察通り、エレンは誰のことも幸せにはできなかったんだなぁと。
    だから結果は①だけ完遂できたという事実。

    とわこさんの考察はいつもユーモアで温かみがあって大好きです。また来ますね〜^_^

    • とわこ より:

      お越しくださりありがとうございます!

      ミカサは、たしかに『エレンさえいてくれれば他は何もいらない』とは思っていたし、エレンも『自由さえ手に入れば他はなにもいらない』と思ってたという点では同じでしたね。

      でもエレンがミカサと違ったのは、ミカサの『他はなにもいらない』は『それ以上のものは欲しがりません』だったのに対し、エレンは文字通り『他はいらないのでこの世から消し去ります!』だった。あなた、いつから神様になったの?

      言ってることもやってること矛盾だらけなのに、その矛盾に気づかんかったんでしょうかねこの子は……それとも、気づいていたけど『いい人』やりたくて気づいてないフリしたのか。
      あんたそんなんやから誰も幸せに出来へんかったんやで……!

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