烏は主を選ばない 浜木綿両親の奇妙な死【感想と考察】
『烏は主を選ばない』感想と考察。今回は、アニメ版ではカットされた、原作とコミック版で明かされた浜木綿両親の死の謎について。
なぜ大紫の御前は浜木綿の両親を助けなかったのか、現南家当主は敵なのか味方なのか、若宮はなぜ『あえて』浜木綿を妻にしたのか、好き放題に考察しています。
浮雲・あせび母子関連も予定してましたが、こちらは次回に持ち越し。
- 個人的な感想と考察です。考えるだけなら自由だ!
- アニメで今後語られるかは不明ですが、これから原作1~2巻やコミック版読むつもりの方など、ネタバレが困る人は引き返してください
- 現時点で原作は2巻までしか読んでいません。予想や考察はすべて2巻時点の情報を元にしたものなので、心優しい原作勢の方はあたたかく見守ってあげましょう
浜木綿両親の不審な死
しゃーないとはいえ、アニメでは色々とはしょられちゃいましたね。浜木綿の両親が処刑された件についてとか。
原作やコミック版では、お后が決まった後、若宮が真赭の薄に、『浜木綿ママが伽乱を贈ったのは事実だけど、宛先があせびママである浮雲だった』と語られています。つまり浜木綿両親の若宮の母ちゃん●しの罪が無実の可能性があると。
なんかこれ、不思議だなぁと思うんですよね。
冤罪かどうかはさておき、なんで大紫の御前は隠蔽しなかったんだろ、って。
だって自分が『罪人の妹』になるんだよ?(現南家当主は大紫の御前の弟。先代の浜木綿パパはその兄貴)
現当主が暗殺とか、南家にとっては結構な不名誉だと思うんだけど……若宮さまの暗殺は『不幸な事故』に仕立て上げようとしたのに、なんでこの時はそうしなかったの? なにかしらメリットがあった?
たしかに大紫の御前的には、兄貴が退場することで、自分の『推し』である弟が南家当主になるというメリットがある。
けどその代償として、自分が『罪人の妹』になるデメリットもある。
しかも被害者が、自分のダンナの側室でしょ? 立場悪くならない? もちろん実家も。
正直、メリットに対しデメリットのほうがデカいと思うんだけど……
大紫の御前と浜木綿両親との関係
大紫の御前がなぜ兄夫婦を助けなかったのか考える前に、当時の南家当主と大紫の御前との関係を考えましょう。
大紫の御前が自分のお兄ちゃんを助けなかったということは、彼女にとってお兄ちゃんは『都合が悪い人』だったということになる。
大紫の御前は、山内最大の『南家推し』。そんな彼女にとって『都合が悪い』ということは、少なくとも当時の南家当主は、『南家推しではなかった』可能性がある。
南家以外に『推し家』があるとすれば、それは宗家しかない。
あえて浜木綿を妻にする理由
気になるのが、若宮さまが大紫の御前に言った『あえて浜木綿を妻にする』という言葉。
その言葉の直前、『南家の血は恐ろしく濃いようだ』とも若宮さまは言っていたけど、それって浜木綿にも言えること。
浜木綿パパが『宗家推し』だったと仮定して。
その娘・浜木綿の行動は、すべて若宮さまのためだった。最初から最後まで、『南家のため』に動いたりはしていない。
ちなみに浜木綿は、『一目見て元南家当主の娘』と察しが付くくらい父親似で、母親にはあんま似てないらしい。
ん? ということは、実は『南家推し』は大紫の御前だけで、実は南家はみんな宗家の味方ってこともありうるの?(南家の血を引く長束さまは最大の宗家推し)
ちゅーことは『南家の血は恐ろしく濃いようだ』ってのは、嫌味?
となると、若宮が大紫の御前に言った『あえて浜木綿を妻にする』という言葉も筋が通る。立場的には南家の姫ではなくなったけど、その骨肉には『宗家推し』の南家の血が流れる浜木綿を妻にすることで、山内の全てを手に入れるとも取れる。
つまり浜木綿パパは『宗家推し』で、それが大紫の御前的には気に入らなかった。だから当主は弟に替わって欲しかった。
でもこれだけだと、『兄貴庇わなかった理由』としては弱い気がする。退場させる方法なんて他にもあるはずだし。
それとも、皇后が動く前に、弟(現当主)が動いちゃったのか……?
敵か味方か? 現南家当主
現南家当主も、『敵』と呼ぶのは時期尚早。少なくともこの人、表向きは『若宮の味方ではないけど敵でもない』というスタンスを取っている。『若宮の即位』に関しても『異論なし』と言っているし……
もし彼の言葉に嘘がないとすると、まさかこの人『隠れ宗家推し』ってことありうるの?
隠すのは、もしそれが知れたら『南家当主派VS皇后派』の内ゲバ勃発だし……間違いなく敦房は皇后派になって、ますます行動がわからなくなる。
となると、甥っこ(長束さま)との七夕の飲みニケーションは、全部本音だったりしてな……(この作品はそーいうことする)
で、浜木綿両親が処刑された話に戻して。
アニメ版では、『早々の幕引きを図って、現南家当主が宗家が動く前に両親の首刎ねた』と浜木綿は語っていた。
現南家当主が浜木綿両親を●したとなると、まさか皇后が隠蔽に動くより先に、『若宮の母に手を出すとは許せん!』という誤解と正義感から先走ってやっちゃった。なんて悲しいオチじゃないだろな……
アニメでは皇后と囲碁しながら『コマのふりをして箱を抜け出す機会を狙う者がおるやもしれません』と、浜木綿逃亡を示唆するようなこと言ってたけど、浜木綿を登殿させたのって、浜木綿は若宮を●すなんてしないとわかって送り込んだんやろか?(浜木綿を育てたのは親●した罪悪感?)
浜木綿ママが伽乱を贈ったワケ
ここからは、浜木綿の母ちゃんが浮雲に伽乱を贈ったワケ。
夫婦一緒に処刑されたのも不思議。『やったのは奥さんで夫は無関係』という体で行く手もあったはず……でも、一緒に処刑された。
極めつけが、浜木綿に『両親冤罪かも』ということを若宮が黙るのはなぜ?
少なくとも若宮さまは、『意味のないこと』や『いじわる』で、黙ったりする人ではないはずなんだよ……
四姫に対する彼の行動の根底には、『やさしさ』があった。あせびに対してすらも。(しっかり振ってあげないと、この子いつまでも待っちゃう……)
黙る理由が浜木綿に対する『やさしさ』であるなら、つまり、浜木綿両親が『暗殺事件を起こしたことそのもの』は、『本当』だったんじゃないの?
ただ、ターゲットが若宮ママの十六夜ではなく、あせびママの浮雲だった。
十六夜はなぜ死んだ?
もし、当時の南家当主が『宗家第一主義』だったとしたら、『真の金烏』の母である十六夜を●す動機って何?
むしろ、狙うなら浮雲のほう。当時、浜木綿ママと浮雲は、どっちが藤波の羽母になるかで争う仲だった。
当時の南家当主としては、若宮さまに近づくためにも、絶対自分の嫁に勝ち取ってほしかったはずだから、浮雲にお香贈るよう、嫁さんに命じたんじゃあ……?
ちなみに若宮さまの浜木綿ママの評価は、『人を●すなんてだいそれたことが出来るとは思えない小物』だった。失礼……!
けど、当主であるダンナに命令されたら、『小者だからこそ』贈っちゃうと思う……
ところが、お香をもらったサイコパス浮雲が、お産で体調悪い若宮の母ちゃんにそのまま善意で横流し。
十六夜あぼーん
↓
浮雲「お香は浜木綿ママンからもらったんですぅ~☆(『自分が』とは言ってない)」
↓
十六夜●しの罪に問われる
ということなの……?
浮雲にとっては『藤波の羽母の座』がいただけりゃあいいわけだから、十六夜自体はどうでもよかったってことかな……?(白目)
むしろ浮雲から『最近体調がすぐれなくって~☆(『自分の』とは言ってない)』と言いふらして伽乱贈らせるよう仕向けたとかだと、浮雲ガチサイコ。
で、かしこい人なら『贈っただけで誰に使うかまでは知らなかった』とすっとぼけたかもしれんけど、浜木綿ママの『小者感』が裏目に出て、『浮雲狙ったのであって十六夜じゃない!』という『申し開き』をしてしまったとか?
はたまた、浜木綿ママはマジで何も知らず、『ダンナに言われた通りに贈っただけ』と答えちゃったのか……? だからダンナもろとも?
どっちにせよ、たとえ宛先が浮雲だったとしても、『暗殺を目論んだこと』自体は『本当』ってことになるから、首謀者のダンナと一緒に裁かれてしまった、と?
若宮さまが浜木綿に真相を黙ったわけ
もしこの予想通りだとすると、浜木綿の両親は『かわいそうな被害者』ではなく、ただの敗北者ということになる。(まさに宮中は血の歴史……)
結局、『罪人の娘』という浜木綿の立場は変わらんってことじゃん。
宛先が違ったとはいえ、浜木綿的には『奈月彦と藤波の母親が死んだのは自分の親が贈ったお香が原因』という事実も変わらんし、そこに『自分の両親があせびの母を●そうとした罪悪感』が追加されるだけってことになる。(浮雲だってお香横流しして十六夜●してるから、あせびも『罪人の娘』ってことになるけどね)
あせびと面識が出来てしまった今、浜木綿がそれを知ったら、すげぇ複雑な気分になると思うよ……あせびに余計な罪悪感抱いて食い物にされちゃうくらいなら、その『罪悪感』は若宮さまに向けてくれてたほうがマシかも……
誇り高い八咫烏と足下すくった八咫烏
『浜木綿両親の死の真相』を真赭の薄に教えたのは、真赭への信頼や浜木綿の味方でいて欲しいという願いもあったのかもしれないけど、『自分の母ちゃん(十六夜)みたいにならんようにな』という忠告だったのかな?(十六夜は真赭の叔母)
真赭さんは誇り高い八咫烏だった。序盤のあせびに厳しかったのは、『ここにいるのは自分と同格の八咫烏でなくてはならない』という『誇り』があったから。
だけどあせびのあまりのか弱さに、『弱き者を守らねば!』にスイッチが切り替わった? 『強き者は弱き者を守らねば』という『誇り』があったから。
だけど、そういった『誇り』を、ずる賢い人に悪用されて、足元すくわれたのが十六夜だったんじゃないの?
浮雲からもらったお香を疑うことなく使ったからこそ、十六夜はお亡くなりになったんでしょ?
そう考えると、若宮さまが真赭に話したのは、真赭を心配してのことなのかも。もしあせびの本性知らぬまま付き合い続けてたら、いずれ十六夜みたいな目に遭ってそうだったし……もう遭っとったわ。(嘉助の寝所侵入)
それでは今回はこの辺で。
次回は浮雲とあせびの関係や藤波のあせび愛の謎についてです。
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