アニメ『チ。-地球の運動について-』第7話 真理のためなら 感想と考察 クズは善人面で寄ってくる 食い物にされたヨレンタ
アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回は第7話『真理のためなら』となります。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
予想はしてましたが……
今回から、初の主要な女性キャラとしてヨレンタが登場。
……そういやこのアニメ、7話まで主要キャラはおろかモブですら女性キャラおらんかったような……???
そしてまあ、予想はしてましたが。ヨレンタ、やっぱノヴァクの娘か。毛色とか同じだもんな。
ノヴァク、姿は見えないけど声で丸わかりだよ……原作漫画はどうだったのか知らんけど、アニメは声がついちゃうから、どーしても隠せないよなぁ。(エンディングでもモロに名前出てくるし)
それにしても、手袋はノヴァクから贈られたもんだったのか。
井戸に飛び込む時、『汚さないように』って手袋はずしだして『いや、逆だろ!』と思ってたけど、『父ちゃんからもらった手袋』をズタボロにしたくなかったんやな……ええ子やん……
しかしノヴァク的には、自分が贈った手袋が娘のズタボロの手を隠すために使われちゃうって、知ったら悲しむんじゃあ……?
お父さまの手袋
ノヴァク、『冬でも勉強出来るように』と手袋を贈ったようだけど、果たして本当にそれだけなんだろうか?
手袋を贈った本当の理由が、『血で汚れた自分の手に直接触れないように』という配慮だとすると、そっちもそっちで切ないな……OPで手ぇ繋いでるちびヨレンタ、この頃からすでに手袋してるもん……
それにしてもこの手を繋いでる相手は誰だ? ノヴァクならもっと身長差あってもよさそうだし、お母さんにしては女性っぽく見えないし。
ノヴァクの娘への忠告、昔、ラファウにしてた頃と変わらんね。『この時代を生きるためには余計なことすんな』っての、一貫してる。
でも最終的にヨレンタを応援するってのは、過去のラファウの一件が影響してるのかな……12歳の子にあんな覚悟魅せられちゃあなぁ……
クズは善人ヅラして寄ってくる
露骨にヨレンタを差別する男性陣に対し、友好的な登場をしたコルベくん。
たしかに言ってることは事実だろうし、一見、ヨレンタを心配しているだけの『いい人』に見える。
しかし『論文あずかるね☆』って話になった時、『あ、コレ、横取りされるヤツや』と思っていたら案の定……!
良い子のみんな! クズは善人ヅラして寄ってくるぞ気をつけろ!
でも横取りした本人は本気で『いいこと』してると思ってるんだよなぁ……
現代人の価値観だとシンプルにクズなんだけど、この時代だと彼が言ってることが『真面目にその通り』なのは事実。
そして皮肉なことに、『ヨレンタの実力を誰よりも認めている』のがコルベくんであるというのも事実。
他の人は、彼女の論文を読みもすらしないのに、彼はちゃんと読んでくれた。そして『これはいいものだ』と評価しているからこそ『横取り』したわけで。
コルベくん的には、最小の労力で利を得る。ある意味『合理的』。
そしてヨレンタ的には『こーいう下心のあるヤツ』にしか『評価』と『存在価値』を認めてもらえないという悲しい現実。そら泣いちゃうよ……
似て非なるラファウとコルベ
うーん、ラファウを『ずる賢い無能』にしたのがコルベって感じかな? コルベくん見ててラファウを思い出したんだよね。本音隠してそうなうさんくさい笑顔とか。
このアニメのうさんくさいヤツ、みんなこの顔する……
けど、少なくともラファウは、自分の価値を上げるのに『他人の論文を奪う』なんてセコイことはしないよ? そんな子だったら、フベルトさんの資料はとっくに燃やされてるし、『利益の一割はポトツキさんに』なんて手紙も残さない。
そもそも、そんなんせんでも、ラファウなら自力で評価される論文書けるし。そしてその頭脳に対する信頼も厚い。
ラファウだったら、ヨレンタの名前のまま論文を出しても、『まあ、キミがそう言うんなら……』って読んでもらえたかもしれない。
結局、コルベくんが論文横取りしたのって、ヨレンタが『女の子だから』じゃなくて、自分が『無能だから』だよね?
だってその行為そのものが『ヨレンタを超える論文を自分は書くことが出来ません』、つまり『自分はバカである』と認めているも同然だもん。
なのに、自分の不甲斐なさは棚に上げて、ヨレンタの『女』という、本人にはどうすることも出来ない事情を利用することで、自分を悪行をさも『いいこと』のように正当化する卑怯者。
って、結局どの時代でもクズじゃねーか!(一方、『自分はずるくて悪い子だ』と思ってる『有能ないい子』だったのがラファウ……)
ある意味、正面から差別してくる人達のほうが、人の気持ちを弄んだり、論文横取りするような下心がないぶんマシ……かも???
コルベくん本人は『かしこいやり方だ!』と思ってるかもしれんけど、でもこれからコルベがヨレンタを使って自分の評価を上げれば上げるほど、『自分の命運をヨレンタに握られる』って状況だよね? 本人達気づいてないようだけど。
これはこれでしんどいと思うよ……ボロ出さないよう、気ぃ張って生きることになるし。果たしてそれは本当に『要領がいい』と言えるんだろうか……?
ピンチのチャンスを逃したヨレンタ
『ずる賢い無能』がコルベだけど、でも一番おバカなのはヨレンタ。ヨレンタ、あなた、こいつの『弱み』を握ってるんだよ? 手綱握るチャンスじゃん!
ヨレンタが『私が書いたんじゃありません』と回答した時、コルベなぜか上から目線で『かしこいよ☆』なんて言ってたけど、いや、逆だよ。
貸しを作って『あげた』んだから、コルベが『下』なんだよ!
それに気づかないのは『かしこくない』よ!
ヨレンタが『ラファウレベルの胆力』と『バデーニレベルの性格の悪さ』を持っていて、『死なばもろとも!』でハジケてたら、ヤベーことになってたのはコルベくん。
ヨレンタ、こいつに首輪と鎖つけて、しつけるチャンスだったのに! 股間蹴りして悶絶してるところに『私の靴をお舐め!』って足突き出すくらいしてもよかったんやで?
???「しつけに一番効くのは痛みだ」
でもこの子には『ラファウレベルの胆力』はなかった。
そして性格も『真面目ないい子』だった。
だからせっかくのチャンスに気づきもせず、まんまと『都合のいい子』にされてしまった。このままじゃこの子、気がついたらヒモ男飼育しちゃってる未来が……!
ノヴァクパパにチクらなきゃ!(コルベの命が風前の灯火に)
ヨレンタが食い物にされないためには
結局、ヨレンタの心が納得いかないのは『対等じゃない』からじゃないの?
実際問題、コルベくんの言ってることは事実なんだよね。女性では論文すら読んでもらえない。
でも同時に『評価してもらえる論文』をコルベには書けないのもまた事実なんよ……
つまりヨレンタがこの時代で食い物にされることなく楽しく生きるには、それらの『事実』を逆手に取って『あらそんな態度でいーんですかー? ピャスト伯にバラしちゃおっかなー』とコルベを脅すくらいの胆力発揮すりゃいいんだよ!
そうすりゃ、コルベは外では美少女を付き従わせるご主人様を堪能し、内ではヨレンタ女王さまがパパ譲りのSMプレイを堪能!
ヨレンタちゃんは『都合のいい子』にならず、コルベくんもヨレンタさまにしっかりしつけられた『良い子』に! これで2人は対等! まさにWin-Win!
よかった……!
ノヴァク「よくない」
自己中バデーニ
話はオクジーくんとバデーニくんに戻り。
オクジーくん、観測士として雇われることになってふつーに喜んでるけど、おや? 星空恐怖症は完全に克服出来たのか? フベルトマジックすげー!
でも報酬は寝床と食事だけって、ええんか……? ええんかな……
なんか利益の話になってたけど。
バデーニくん、あなた、この石箱の存在は隠したまま『全部ボクが研究しました☆』ってやるつもりだね……?
そして『この研究は自分が完成させる』と信じて疑っていないご様子。
しかも『利益の一割はポトツキさんに』というラファウの手紙も燃やして『はい、これで手紙なんてありませんでした☆』しちゃうし!
『ええんかそんなことして!?』とうろたえるオクジーくんが初めてまともに見えた瞬間。
オクジー「これまでまともじゃなかったみたいじゃないですか……」
バデーニくん、僧侶のクセにとことん俗物だよなぁ……とにかく自己中で欲深く、物乞いだって『本人達の責任』と切り捨てたり、常に損得で行動を決める。
そういう俗っぽい感覚は現代人に近いんじゃね?
方やオクジーくんは『託された人』。『託した人』の気持ちを背負っているから、『利益独り占め』に強い抵抗を覚えた。小心者なだけかもしれんけど。
自己中か自己完結か
バデーニくん、視聴者からすりゃあ『ひどいヤツ』に見えるけど、とはいえ現実にも存在する『やりがい搾取』でこき使われる人達を思うとなぁ。バデーニくんの感覚が『悪い』とは言えない。
そして自分が誰かに『託す』のもヤだと言う。彼の辞書では『託す』とは『踏み台にされる』ことを意味するらしい……つまり彼にとって、この資料を残した『誰か』は『自分の踏み台』ということ。
他人を踏み台にすることは平気だが、自分が踏み台にされるのは許せない。そんなことされるくらいなら踏み台ごと燃やす。それがバデーニ。(単純に『オレに出来なかったことがオレ以外の他人に出来てたまるか!』っていう傲慢かもしれんけど)
たしかに彼は『自己中』だし、資料を守って死んで行った人達を想うと『悪い人』なんだけど、別の見方をすると『責任の範囲』を『自己完結で済ませてる』とも言える。少なくとも『今後この研究によって人生狂う人を出さない』ということだし。
実際、フベルトさんのせいでラファウの人生が大きく変わってしまったのは事実だもんな……選択したのはラファウとはいえ。
そしてオクジーくんも人生が大きく変わった。それが『良いもの』か『悪いもの』かは別として。
今のバデーニには、『研究を燃やされるくらいなら自分が燃やされます』という選択をしたフベルトさんやラファウは到底理解出来ないだろーなぁ。
『託す』『天に委ねる』と言えば聞こえはいいけど、『それって他人に丸投げってことですよね?』というのも事実。バデーニくん的には『それ』を尊重しろと要求するのは『身勝手』かもしれない。
だけどこの研究にかかわった人、ラファウ然り、占星術師のおじいちゃん然り、グラスさん然り、みーんな最期は採算度外視で突っ走り、『誰か』に託して散ったんよ……それを『愛』と言ったのがラファウだった。占星術師のおじいちゃんも『幸せだった』というし、グラスさんも満足そうに散った。
そしてオクジーくんも、自分の取り分を、どこの誰かも知らない手紙の主を想って、ポトツキさんに渡すつもりでいるみたい。
バデーニくんは果たして。
そしてまさに『他人の研究』を全部『自分の利益』にしようとしているバデーニくんと、『自分の論文』を『他人の利益』にされてしまったヨレンタが出会ってしまったが、こちらも果たして。
それでは今回はこの辺で。
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