アニメ『チ。-地球の運動について-』第24話 タウマゼインを 感想と考察 アルベルトとラファウ 『血』と『知』の繋がり

アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回は第24話『タウマゼインを』となります。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
迷える子羊と悪い大人達
初っぱなから迷える子羊感満載で登場したNEW主人公のアルベルトくん。
そんなアルベルトの迷える本心を見抜いてるパン屋の親父、ホンマいい人だな……

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
『自分の好き』を大事にしているが故に、お上からの命令では『やっちゃいけない』ことを、自分とお客さんの『笑顔』のためにやっちゃう『悪い大人』だった。
しかも、アルベルトにお使いに行かせた先で司祭が告解室でスタンバってるとか、あなた、お膳立てしましたか……?

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
アルベルトが来るまでずっとそこで待ってたんかあんた……
司祭さん、声若い気するけど中身はおっさんの模様。
あー、これは……あいつか……その後どうなったか心配してたけど、出世したんだね。(アニメじゃどうしても声でネタバレしちゃうんだよなぁ)
記念すべき初の利用者にドッキドキ☆ してる割にノリノリやん……後で自分の罪も話すってことは、『あの罪』だね……
『罪』という自覚があるってことは、少なくとも『オレ悪くないもん!』って逃げてはいないってことかな?
なんにせよ、お元気そうで何より。
アルベルトの教育パパ
さて、元々勉強家だったアルベルトが今のアルベルトになったのは、どうやらパパの影響のようで。
アルベルトパパ、『毒親』とまでは言わないけど、せめて息子の『感動』に寄り添って、じっくり話を聞いてあげられる人だったらなぁ……北極星に気づいてはしゃぐ息子に『それ何の役に立つ?』っていきなり冷水浴びせんでも!

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
たぶんこの時のアルベルトくんは、自分の『感動』を分かち合いたかっただけだと思うんだよ……その話をじっくり聞いてから『あの星はね……』って教えるのがいいと思うんですが。
『感動』を伝えるたびに、『それ何の役に立つの?』『役に立たなきゃ無駄』なんて先制攻撃されちゃったら、なんも言えない子になっちゃうじゃん!
一応、最後はちゃんと『発見』を褒めてはいたけど、順番が逆……!
アルベルトくんの不幸はママがいないことかな……
ママがいりゃあ、『感動』はママと分かち合い、その後でパパが『知識』を教える、という役割分担が出来たかもしれないのに。
まあ、ママまでパパと同類だったらもっと悲惨なんだけど。
アルベルトパパは、『理屈』が先行しすぎて、その一瞬の『感動』を軽視してる感あるな。いわゆる『自己中』。
アルベルトパパにとっては『子供の感動』に付き合う時間は『無駄』な時間でも、『子供』にとっては『重要』な時間なのに。
少なくとも、子供の『パーーーーーってなって、ブワワワーーー! ってなったのー!』なんて擬音祭り許してくれなさそう……
改めてわかるノヴァクパパの良さ
こうして比較対象が現れると、ノヴァクって『父親』としてはホントに『いいパパ』だったんだな。同じ父子家庭なのに。(父子家庭ばっかじゃね?)

アニメ チ。-地球の運動について- 第15話 私の、番なのか?
ヨレンタは『女性』というだけで、男達から『学ぶこと』を否定されてたじゃん。むしろ女性であることを『好都合』とばかりに、その『知性』を『食い物』にすらされた。
だけどノヴァクは、ヨレンタの知的好奇心を『忠告』はすれども『否定』はせず、寄り添おうとしていた。
アルベルトパパだと、どんなに賢い子で就学意欲にあふれていても、『女性』という時点で『家庭教師をつけよう』とまではしてくれないかも……なにしろこの時代は『女性の活躍の場』が限られているから。
『女が勉強したって意味ないでしょ? 活用出来る場がないんだから』って、あんま寄り添ってくれないかも。
我が子の『知りたい』という欲求よりも、『知り得た知識の有用性』を『要求する』のがアルベルトパパ。

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
一方、我が子の『知りたい』という欲求の妨げにならないよう、『あたたかい手袋』を『与えた』のがノヴァク。
そしてヨレンタの挑戦も、応援して送り出した。娘が夢を叶えて、幸せに生きてくれればそれでよかったから。
……ノヴァク、めっちゃいい父親だったはずなんだけどなぁ……『職選び』を失敗したというか、『がんばりどころ』を間違えたというか……
アルベルトパパは、一見、我が子にいろんなものを『与えている』ようでいて、実は見返りを『要求』してる人だと思うんだよ……
『役に立たなきゃ無価値』だなんて、それ言い換えると、『役に立たないおまえはいらん』と言ってるも同然じゃん。
だからパパと話してる時のアルベルトは、『役に立たなきゃ無価値』と追い詰められた顔をする。

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
そら見てて胸痛いわけだよ!
うーん、これまではオクジーくんやノヴァクを通じて『考えること』の大切さを訴える作品だと思って観て来たけど、アルベルトくんは『考えること』を『要求』されて、嫌になっちゃった系主人公なのかな……
『頭カラッポ』のほうが、夢詰め込めることもある。
【朗報】ラファウ、やっぱ生きてた
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
3話から! ずっと待ってたぜ! ラファウ!
…………。
『自分が取り締まったせいでラファウを●してしまった』と思って死んだノヴァクの立場……!(血涙)
自分の人生の最後に出演させちゃうくらいには罪悪感抱いてたんだよなぁ……いやそこ、ふつーは嫁さんとかじゃないの? そもそも『嫁なんて最初からいなかった』ってくらい存在が出てこねぇ……!(ヨレンタとノヴァクは似てるしちゃんと血縁あるよね???)
なのに、ノヴァクのラストステージに出演したのは嫁を抑えてラファウ……!
ラファウ「では、出演料ください」
ノヴァク「悪魔か」
改めて、最初から最後まで他人に振り回される人生だったなノヴァク……アントニを刺してから死ぬまでの短い時間が、自分の人生を取り戻した『自由時間』だった。
まあ、なんだ。それも『自分を粗末にした』ゆえのひとつの罰だった、ということで……
それにしてもラファウったら、名前に髪型だけでなく、声まで当時のままか……うーん、これは本人。
バデーニくんは『家庭教師でもして生計立てるわー』と言って叶わぬまま終わったけど、おまえが家庭教師で生計立てとったんかーい!
ラファウが守り切った石箱のせいで何人か人生を狂わされてんだけど、張本人は割と飄々と生き残ってんの、ガチもんの悪魔じゃねぇか最高かよ。(※悪魔崇拝者)
神様→自らやる
悪魔→人そそのかしてやらせる
ラファウ生存の謎
『ラファウ死亡』は最初から疑っちゃいたけど、いつまで経っても登場しないままノヴァクまで死んじゃって、『アレ? ホントに死んだ?』と疑っていたら、しれっと登場……
どんだけ待たせんのよあんたって子は!
生存してたのは、ラファウが飲んだのは『そもそも毒じゃなかった』ってことなんだろーなぁ。

アニメ チ。-地球の運動について- 第3話 僕は、地動説を信じてます
ラファウはノヴァクに『ケシの実の効果は知ってますか?』と聞いた。
『ケシの実と毒物を混ぜて飲むと苦しまずに死ねる』とは言ったけど、コップに入れたのが『ケシの実と毒物を混ぜたもの』とは言っていないんだよなぁ……つまり『ケシの実』単体?
『毒なんて子供がどうやって手に入れんの?』とは思ってたけど、『ケシの実だけ』なら手に入りやすかったのか??? まあ日本でも、ケシの実なんてあんぱんに乗ってるくらいだし。(※調べたところ、日本じゃ加熱処理して無害化された輸入品しかない模様。なおカルシウム豊富)
ノヴァクに『死ぬのか?』と言われて『まあ』とは言ったけど、『社会的には死んだ』んで、嘘は言ってないんだよね……
なんにせよ、ラファウ生存の犯人はポトツキさんか。審問会の後、一切登場しなかったし。
『生きたまま焼かれる』ってことは事前に知ってたし、ラファウが火にくべられた後、こっそり助け出した? フベルトさんが公開処刑じゃなかったから、ラファウもそうなると予測した?
教会的には『生きたまま焼く』『地動説での処刑は公開処刑されない』という点を逆手に取られたということになる。ポトツキさんもなかなかやるな……でもホントは、大学に行って欲しかっただろうな……
ということは、『自分の心』を偽って、血の繋がった娘を失ったのがノヴァクなら、『自分の心』に従って、血の繋がらない息子を救ったのがポトツキさんということになる。この父親達も対比になってるなぁ。
血と知の繋がり
さて『悲劇的な死』で視聴者を悲しみの海に沈めたと思いきや、アルベルトの『家庭教師』としていけしゃあしゃあと再登場したラファウ。
ラファウによって始まった物語は、ラファウの教え子によって〆られるのか……感慨深いな。
普通に生きてりゃ、みんな出会うことのない無関係な存在なのに、星座のように、『知』という線で繋がっていくんだな……オクジーくん達もそうだったし、ドゥラカもそうだった。
大人になっても、ラファウがずっとラファウのままで安心したよ。いやホラ、ヨレンタは苦労しすぎてキャラ変せざるを得なかったから……

アニメ チ。-地球の運動について- 第19話 迷いの中に倫理がある
レポート盗られて涙ぐんでたような子が、地動説へのイカれた愛で、各地の教会をドガンと『ファイヤーーーーーー!』する苛烈な淑女になるなんて誰が予想するよ!
ヨレンタ「誤解招く言い方やめましょうか?」
オクジーくんも地動説の狂信者になって『ヒャッハーーーー!』しちゃうし、他二人がハジケすぎて、バデーニくんが一番無害に見えちゃうふしぎ!
本にされた浮浪者「せやな」
ラファウも苦労したはずなんだけどなぁ。世間的には『死んだ人』のはずだし。
なのに、牢屋でノヴァクと語り合った頃のまんま、だけど『知性』をさらに深めて再登場。
なんか1回死んだことで、悟りの境地開いちゃったヤツみたいになったな……
理屈の父と直感の教師
なんだかんだでラファウ、家庭教師としてアルベルトくんのハートを掴んで、うまいことやったようで。
アルベルトパパは理屈っぽいけど、ラファウは直感的な言葉で語ってくれるから、子供のアルベルトには受け入れやすかったのかな。『この世の美しさにしびれる肉体』『その美しさに近づきたいと願う精神』を『尊い』と言ってくれたから。

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
さてここで、アルベルトパパとラファウの『教え』を。
【アルベルトパパ】
「学ぶ時、知りたいと感じたとき、これだけは覚えていてくれ。疑うのだ」
「自分の知識も、世界の常識も、動機も方法も。探究心は歯止めがきかなくなる」
「世界を決定的に変えてしまう、取り返しの付かない怪物を作り出してしまうかもしれない。だからゆっくり疑って、人の役に立たない道なら止まるべきだ」
【ラファウ先生】
「真理の探究において、もっとも重要なことは信じること」
「自分の直感を、この世の美しさを。僕は何があっても、君の好奇心を否定しない」
『血』の繋がった父親には『疑え』と言われ、『知』で繋がったラファウからは『信じろ』と言われたアルベルト。
実はアルベルトパパと似たようなこと、3話ですでに言ってる人いるんだよなぁ……それがラファウ(12)。

アニメ チ。-地球の運動について- 第3話 僕は、地動説を信じてます
ただラファウ(12)は、人の『知的好奇心』を阻止しようとするノヴァクへの『忠告』的な意味合いで言っていた。『お前それがんばって取り締まっても無理やで』って感じで。
むしろアルベルトパパは『知的好奇心』を『危険なもの』として否定しているから、思想的にはノヴァクに近い。
アルベルトパパとノヴァク、思想的には同類なのに、我が子への『対応』がまったく逆ってのは不思議なもんだよなぁ。ノヴァクは『娘に何も求めない』けど、アルベルトパパは『息子への要求』が厳しいんだよ……
怪物ラファウ
『歯止めの利かなくなった探求心は怪物を作る』なんて言ったアルベルトパパだけど、ラファウは『神がこの世界を作り、人はそれを知りたいと願った。これ以上に尊い欲望を僕は知らない』と語った。
この2人の違いからわかるのは、父親は『怪物』を恐れて『逃げる』人。
すなわち、かしこいだけの凡人。
ラファウは『怪物』に『挑む』人。
すなわち、イカれた勇者。
ラファウも、最初は『怪物』を恐れて逃げる『ふつーの子』だったんだよなぁ……だから『理屈』を並べ立てて、石箱の中身を1度は焼こうとしたわけで。

アニメ チ。-地球の運動について- 第2話 今から、地球を動かす
『理屈』って便利なんだよ。本人的には、その『理屈』に筋が通っていれば、『悪い』ことも『逃げる』ことも許されるように思える。
でもそう思ってるのは本人だけで、『自分の心』に嘘ついて、やること・やらないことに対する『言い訳』をしてるだけ。それにハマったのがノヴァク。
彼の本能は『怪物』に恐怖し、『どう逃げるか』『どうやっつけるか』を考える『ふつーの人』だった。
だけどラファウは、『怪物登場』に『恐怖』よりも『オラワクワクすっぞ!』って『感動』が勝っちゃうよーなヤツだった。
彼の知性は『怪物』に興奮し、『なぜ存在するのか』『共存は可能か』を考える『異常者』だった。それを見抜いたのがフベルトさん。
そらそのことを本人が『自覚』しちゃったが最後、『命』惜しむわけねーわ……ここまで来たら、お前が怪物!(ああ、だからOPが)

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
なんか、『知』の物語のはずなのに、行き着く先は『考えるな! 感じろ!』なんだな……『真理』は『理屈』を超えた先にある。
だけど現在、アルベルトがその『知的好奇心』を放棄してしまったということは、父ちゃんはアルベルトの『知的好奇心』によってなんかあった……?
『血』と『知』、それらの『繋がり』が『呪い』となって、今のアルベルトを苦しめてんのかな? 父ちゃん、明らかに●されとるやん……

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
ラファウ、あなたまた何やらかしたの?
ラファウ「やだなぁ、まるで僕がすべての元凶みたいに」
ノヴァク「あながち間違っちゃいないと思うよ……」
問題は、『今』ラファウは生きてんのかなんだけど、『なんやかんやあって『命だって投げ出す』を実践しちゃいました☆』てなことになってないことを祈る……! でなきゃ、前回のラファウがガチもんの亡霊になっちゃうじゃん!
それでは今回はこの辺で。
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前回の考察はコチラ
今回も面白い記事をありがとうございます。アルベルト父の教えもラファワの教えもどっちも正しいようで行き過ぎると良くないことが起きる可能性がある。そのぶつかりが問題となる気がします。今回出てきたラファワですが、あれはよく似た別人(パラレル世界の人物や転生の可能性もありますが)だと思います。第3話で遺体が燃やされた描写があるので。このラファワは「もしラファワが生存してたら」を表現したキャラで、今回の話とあと1話で新たなテーマを視聴者に突きつけてくると考えています。
コメント、ありがとうございます!
アルベルトパパとラファウ、『知』の扱いに対する考え方が真逆の二人でしたね。
アルベルトにとっては、自分の好奇心を肯定してくれるラファウの存在は『救い』だったのかもしれないけど、同時に『血』で繋がった父を否定するような複雑な感情があったんじゃないかと思うと、幼子にはちょっと酷かも。
『行きすぎ』は良くない。かといって『中途半端』じゃ何もなせない。まあ、『中途半端でもいいから幸せに生きて』と願うのが親なんでしょうが(そう願ってたのがノヴァクだったんだろーなぁ)、『人より優れた知性を持つなら活用すべき』という点ではパパもラファウも一致してるから、アルベルトはしんどくなっちゃって、『どっちも拒んだ』んでしょうか……
個人的には、アルベルトにはラファウやオクジーくんが行きたくても行けなかった大学に行って欲しいのですが、彼の心がどこへ向かい、どんな結末を迎えるのか、楽しみです(*^_^*)