アニメ『チ。-地球の運動について-』第3話 僕は、地動説を信じてます 感想と考察 悪い子ラファウといい人ノヴァク
アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回は第3話『僕は、地動説を信じてます』となります。『働き者』であることが『悪いこと』ではないと思うんだ。うん。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
『悪い子』だったポトツキさん
今回は、ポトツキさんやノヴァクの色んな顔が見れた回でした。なんかすげぇ安心した!
特にポトツキさん、『隠れ天文スキー』は予想してたけど、捕まったことあったんかーい!
なんか笑顔が貼りついてて、胡散臭いというか『いい子』を演じてる感がずっとあったからなぁ。フベルトさんとの関係や、異端者として捕まった『悪い子』の過去を聞いて逆に安心したよ……
ラファウは『自分がポトツキさんの養子になれたのは、自分の生き方がうまいからだ』と思っていたようだけど、実際は『ポトツキさんの善行キャンペーンのアピール商品にされただけ』だったということか。ラファウ、チョロい。
とはいえ、改心を示すために拾ってしまった子供がラファウだったというのが、彼にとって幸だったのか不幸だったのか……
『良かれと思って』通報した結果が……だもんな……
ポトツキさんの笑顔の意味
『地動説は証明出来るか』という問いかけにラファウは『YES』と答えたけど、これ、『わからない』とか『NO』だったら、やめるよう説得してたんかな。心に『迷い』があるってことだから。
ところが、ポトツキさんの期待もむなしく、ラファウの回答は『YES』だった。これって実質、『これからも研究を続ける。証明出来るその日まで』って宣言だよな……フベルトさんと同じ。
心に『迷い』のないヤツは、『説得』なんかじゃ止まらねぇんだよ……!
となると、力づくで、となるわな。黙ってたって、絶対ノヴァクが嗅ぎつけるし……
そうなると2人そろってとっ捕まり、少なくともポトツキさんは確実に……と考えると、決して『ラファウを売った』わけでも、『間違った選択』をしたわけでもない。
ポトツキさん、『ラファウを拾った動機』はなんであれ、ちゃんと世話して大学行くほどの才能を伸ばしたり、間違いなく『いいお父さん』やってたと思うんよ……
通報したのも、『ラファウを救うため』だってのは十分わかる。わかるよ。だからあんま気に病まんとって……無理だろうけど。
フベルトさんもそうだけど、この時代で『異端者』として捕まった人達って、『好きなこと』をしてるだけだと思うんだけどなぁ。
『それが罪だ』と言われた結果、彼らは自分に『嘘』をついて生きることを強要された。
『嘘をつくこと』は『悪いこと』と神様は教えているのに、『神様に生かしてもらう』ためには『嘘をついて生きなくてはいけない』とはこれいかに。
その結果が、ポトツキさんのあの『貼り付いた笑顔』だと思うと、息苦しくておかわいそう……
悪い子ラファウといい人ノヴァク
これまで『爪を剥がすと困ることは?』の問いに『物が持てなくなる』という研究者らしい回答ばっか聞いてきたであろうノヴァク。
ところがここに来て、『そんな言葉がなんになる?』の問いに対し、ラファウの回答は『感動出来る』というシンプルなものだった。
これは……! ノヴァクポイントが……! ノヴァクポイントがカンストするやつ……!
いままで、異端者相手に余裕綽々だったノヴァクが、子供のラファウに振り回されてる! これは勝負あった!
ノヴァクって、『この時代』を生きる上では『従順な羊』のほうがいいと理解してる人なんだよね。
相手を生かすために、諦めさせよう、改心させようとする『いい人』なの。
問題は、その方法が『暴力』なだけで。
働きマン・ノヴァク
もちろん、追われる研究者目線だとノヴァクは『敵』なんだろうけど、この人、『仕事熱心』なだけで『悪い人』ではないんだよなぁ……いや、異端者とはいえ、人を痛めつけるのは間違いなく『悪いこと』なんだけどさ。(当時だって、『やりたいこと』ではなかったと思う……)
少なくとも、自分がやってることに対して、『娘の平穏な暮らしのため』を掲げはしても、『神のため』『正義のため』を掲げない点には好感が持てる。(でもあなた、まさかその袖真っ赤な服で娘の元に帰ってんの? という疑問はあるけど……)
ぶっちゃけ、ノヴァクに散々汚れ仕事やらせといて、元傭兵と聞いた途端『血で穢れた人間』と言い出す僧侶のほうが『自覚のない悪』だろ……
ラファウのことだって、『仕事』は『仕事』として捕らえはしたけど、拷問を回避させようと、懇切丁寧に『拷問』の説明してるし。
これ、ノヴァクが『人を痛めつけたいだけ』のガチもんのサディストなら、そんな『説明』する必要ないはずなんですよ……『説明』するなら『拷問する時』であって、『拷問決定前』にやった結果、びびって『改心しまーす☆』ってなっちゃったら、痛めつけられないじゃん。
現に、『拷問決定!』ってなった後、めっちゃ焦ってるし……
ラファウの話をちゃんと聞いてくれてるし、時代が違えば、やるときゃやってくれる『いいおじさん』だと思う……
ラファウの周りの『いい大人』たち
大人達はラファウが『かしこい子』だと知ってるから、『正しい選択』をすると思って通報したり、選択を誘導したりしたんだと思うんだよ。実際、ラファウも最初はそうすることを考えていたし。
そういう意味では、ラファウの周囲にいる大人って『いい人』ばっか。ノヴァクも含めて。
ただ、彼らにとって誤算だったのが、ラファウが自分達の想像を超えた『かしこすぎるおバカ』ということだった。まさにバカと天才は紙一重。
こりゃあ……『遅かれ早かれ火あぶりになるんなら、今火あぶりになっとこ』ってこと?
ラファウはこれまで『ピンチは合理的に回避するのだ!』ということで『かしこく』嘘を吐いてる『つもり』だった。
牢屋でも、必死で『まだ詰んでない』と自分に言い聞かせ、『資料を燃やしても何とかなる』と考えていた。それで『これまでなんとかなった』から。
そして周囲の大人達も、『大学に行くためにも、ラファウは嘘でもなんでもいいから「改心します☆」と言うだろう』と思ってた。ラファウが『いい子』だと信じていたから。
フベルトさんも、資料燃やされても怒らないと思うんよ……
ラファウの合理的な選択
ところが、ラファウが審判の場で急激な方針転換したのは、『嘘は合理的ではない』と気づいたからか……
なにしろ、嘘をついて釈放されたとしても、結局は一時しのぎに過ぎず、監視は続く。そして『嘘』は、遅かれ早かれいつかはバレる。
それを、我が身をもって教えてくれたのがフベルトさんだった。
そして『嘘はバレる』と一番思い知ったのがラファウ本人。本当に『嘘』で全部回避出来るんなら、『じゃああなた、どうして今ここ(牢屋)にいんの?』って話なんよ……
『誰かの歴史』からも『自分自身の体験』からも、『嘘』は『先延ばし』に過ぎず、『完全回避になっていない』と証明された。
つまり、『嘘』は『合理的』じゃない。
勇者になった天才
『本当の意味』で処刑回避するには、文字通り『地動説の研究を完全に捨てる』しかない。
だけどラファウにそのつもりはない。この時の彼の『目的』は『地動説を証明すること』であり、『大学へ行く』ことでも『処刑回避』でもないから。
なので、これまで『大人達の期待を裏切らないいい子』になるため『嘘つきの悪い子』だったはずのラファウは、ここに来て『正直者のいい子』になって『大人達の期待を裏切る悪い子』になった。
……つうても、実行するには恐すぎるだろそれ……
お前の覚悟、ガンギマリすぎてホンマ12歳かよ!(でも下書きの書類を焼き残しちゃったり、ツメの甘いとこはちゃんとお子様なんだよ……)
そらフベルトさんは『恐くない人生なんて』と言ってたけどさぁ……ふつーはポトツキさんみたいに『改心します☆』ゆーもんやで。すげぇ勇気だよ……
フベルトさんもそうだったけど、ラファウが『すげぇ』のは、彼の『勇気』は『ただの勇気』ではなく、『自分と幾多の偉人達の知性に裏打ちされた勇気』だったことだと思う。
『勇気だけ』じゃただの無謀。
『天才なだけ』じゃ何も変えられない。
そういう意味じゃ、ポトツキさんは『勇気』のない『天才』だった。だからラファウを改心させられなかった。
『天才』であり『勇者』だったフベルトさんは、『世界、チョレ~!』と思ってたラファウを『感動』で動かした。
そして『暴力』で『改心』を迫ったのが教会でありノヴァクだったけど、『嘘つき』を量産しただけだった。
暴力はすべてを解決するか?
『暴力はすべてを解決する』とは言うけど、『暴力による支配』って、結局は長く続かないよね。
ノヴァク「違う漫画の人が出張してんな……」
結局、『暴力を振るう側』にとって『都合のいい』ように仕組みが作られ、その恩恵を受けられるのは『力を持つ人』だけ。『そうじゃない人』は我慢を強いられる。そして世の中の大半は『そうじゃない人』で構成されている。
ノヴァクがラファウの『あなたの敵は異端者じゃない』『不正解は無意味を意味しない』という言葉を理解出来たのは、『自覚』があったんじゃないかなぁ……どんなに自分が一所懸命異端者を取り締まろうと、次から次に異端者は現れ、何枚爪を剥ごうとしゃべらないヤツはしゃべらないし、改心したと思って釈放しても隠れて続けてるだけで、仕事はちっとも減らない。
そして『焼け死んで灰になった人は無になる』というノヴァクの脅し文句の持論も木っ端みじんに砕かれてしまった。なにせフベルトさんは『無』になったはずなのに、フベルトさんが教えてくれた『感動』を受け継ぐラファウが現れたんだから。
結局、『暴力で押さえ込む』って、『その場しのぎ』にはなっても『解決』はしない。それって、その場しのぎの小さな『嘘』を重ねて、回避しようとするのと似てる。
『解決』しない限り、ノヴァクはずっと異端者を取り締まり、拷問し、処刑し続ける人生になる。
ラファウ死亡? 10年後のキミへ
さて、その後、ラファウは燃やされたけど……え? ラファウ死亡?
でも公開処刑じゃないし見張りもいないんだよね。
そして残ってんのは木の棒だけで死体らしきものもない……
ぶっちゃけ、木の棒にくくりつけて『ただ焼いただけ』の人間が、灰になるとは思えないんだが……いやお前、絶対生きてんだろ。別れ際、ノヴァクに『ではまた』なんて言ってるし。
で。
いきなり10年後に飛んだーーーーーーーーーーーーー!
OPにちらっと大きいラファウ出てたから、時間経過はすると思ってたけど、いきなり10年か。
なんか片方ボコボコにされたようなおツラしてるけど、何があったよこのお二方……
オープニングの今後出てくる新キャラ達は、10年後のキャラってことか。ラファウは22歳……
OPにはフードの女の子もいたけど、あれってノヴァクの娘? 2話で4歳ゆーてたし。
それでは今回はこの辺で。
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