【烏は主を選ばない】外伝 ふゆきにおもう 第三話時点 感想と考察 前編 逆あせびの玄哉と梓
『烏は主を選ばない』のアニメが終わって結構経ちますが、今回は突然ですがコミカライズ版の外伝『ふゆきにおもう』の第三話時点の考察です。(また中途半端なとこから)
雪哉ママこと冬木と梓、雪哉の話で何が起こるのかはわかっていたものの、お互いを信頼し、姉妹のように仲を深めたはずの二人が、周りの大人の身勝手によって仲が壊されてくのは見ててつれぇわ……
この話で、北家の闇を見た。
↓ちなみに冬木のことは、過去にも少し書いてます。
- コミック版の『【外伝】ふゆきにおもう 第三話』時点のものです
- 個人の感想です。効果には個人差があります
- 現時点で原作小説は2巻までしか読んでいません。予想や考察はすべてコミック版と原作2巻時点の情報を元にしたものなので、心優しい原作勢の方はあたたかく見守ってあげましょう
冬木さまの恋
なんか、第三話で急に恋に落ちてしまった冬木さま。まあ、恋ってそういうもんかもな。しかもイケメンだし。(面食いは親父に似たか?)
これまで、どこぞのうらなり瓢箪タイプの人だなと思ってたけど、『恋する乙女』になるとこうもかわいくなるのか。
![烏は主を選ばない 外伝 ふゆきにおもう第三話[阿部智里 / 松崎夏未]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/yatagarasu_fuyuki03_01.jpg)
烏は主を選ばない 外伝 ふゆきにおもう第三話[阿部智里 / 松崎夏未]
雪正も雪正で、『狙ってやった』というより、『ド天然』でやってそうなのが……詫びの品が『葱ぼうず』とか、傍目にはホンマ『それもらったところでどないせぇゆうの?』なんだけど、親父のせいで高価なプレゼントもらい慣れてる冬木にとっては、むしろ新鮮で嬉しかったんだろな……『十分楽しんだから蛍逃がしてあげて』とか、やさしいじゃん……(ステキな恋は人をやさしくする)
そういや白珠も一巳が育てたお庭に感動してたし、北家の姫は、『家来に買って来させた豪華な贈り物』より、『自ら土と汗にまみれて用意した素朴な贈り物』のほうが、ハートにクリティカルヒットするのか……
北家当主の人形遊び
さて、冬木の父ちゃんであり、雪哉と白珠のじいちゃんにあたる北家当主・玄哉氏。(雪哉はおじいちゃんから一字もらったんだな……)
前々から『なんで茶の花みたいなのを白珠の側仕えに?』と思ってたけど、なんか、今回の外伝で納得したわ。
この当主にしてこの家来あり。『こーいうタイプ』が出世するおうちだったんや……(白目)
この人、一見『好々爺』に見えるんだけど、この人にとって周りの人(特に女性)って『お人形さん』なんだね。
幼女が『物言わぬ着せ替え人形』に、服やアクセサリーを着せてあげたり、ドールハウス用意してあげたり、ボーイフレンド用意したりして、『ありがとう、幸せ☆』って人形の言葉を代弁して、『雑なシナリオ』に沿って遊んでるのと一緒。そうやって、自分の『自己満足』を満たしてるだけ。
その『ままごと遊び』につきあえる人が出世すんのか……
そりゃあ、お凌を嫁にしたことにせよ、冬木の結婚にせよ、のちに誕生する白珠のことにせよ、彼が彼女達にしたことは、みんな『良かれと思って』やったことだったとは思うんだよ。
ただ、『責任』は相手側に丸投げだった。
お凌が美人産めるかどうかなんてわからんし、冬木があとどれくらい生きるかもわからんし、白珠だって選ばれるかわからない。
なのに玄哉氏は、『与える』ことで『いいこと』をした『いい人』になる。
だけど『辛い思い』したり『悪者』にされるのは、『与えられたものに対して応えることが出来なかった相手側』。
冬木は、父ちゃんの『そーいうところ』が嫌いだったんだろうなぁ。だからおままごとに参加しないし、『お人形じゃない!』とブチギレもした。
![烏は主を選ばない 外伝 ふゆきにおもう第二話[阿部智里 / 松崎夏未]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/yatagarasu_fuyuki02_1.jpg)
烏は主を選ばない 外伝 ふゆきにおもう第二話[阿部智里 / 松崎夏未]
むしろ冬木がガンガン参加して、ツッコミしまくってれば、北家はもーちょい良くなったかもしれない。病弱だったのが悔やまれる……
結論
北家当主はようじょ
不幸な善意
玄哉氏のやっかいなトコって、本人がまったくの『無自覚』で、『善意しかない』ことだと思う。
うーん、これは武人故に、『女性の扱い』にとことん不器用で、『とりあえず女の子が好みそうなのあげときゃ喜ぶやろ!』のノリで、『本人の真の望み』とか、そーいったことはあんま深く考えてなかったのかなぁ……?
そりゃあ『こんなのいらん』と言わないほうも問題かもしれないけど、相手が相手だから、嘘でも喜んでるフリしなきゃいけないってのもわかるけど……(その気遣いが、結果として、お互いに悪い方向に作用してしまった……)
![烏は主を選ばない 外伝 ふゆきにおもう第二話[阿部智里 / 松崎夏未]](https://asuhon.sakura.ne.jp/dshonki4120/wp-content/uploads/yatagarasu_fuyuki02_04.jpg)
烏は主を選ばない 外伝 ふゆきにおもう第二話[阿部智里 / 松崎夏未]
少なくとも若宮さまは、『本人の幸せ』に繋がるなら憎まれ役も買うし、日頃の行いが行いなんで、ヘタなプレゼントしたところで『こんなんいるか!』ってツッコミやすい相手なんだよなぁ。
『自称・自己中』の一巳も、自分の考えや、これからすることを説明した上で『最終的な決断』は白珠本人に託してたで……
だけど玄哉氏は、『何が君の幸せか』を考えるのではなく、『おひめさまはおうじさまとけっこんし、しあわせにくらしました』みたいな、幼女が夢見るような『テンプレ的な幸せ』を『安易に』与え、結果、みんな不幸にしとる……
逆あせびの玄哉
『善意』で人を翻弄するって、それもう逆あせびじゃね?
『他人の善意』を『食い物』にしたのがあせびなら、『自分の善意』で他人を『翻弄』したのが玄哉。
自分が『困った困った』することで、『相手の善意』を刺激し、『自分のシナリオ』通りになるよう誘導するのがあせびちゃんさまなんよ。
玄哉氏はその『逆』で、相手の『困った困った』に『自分の善意』が刺激され、『相手のシナリオ』通りになるよう誘導されちゃうタイプじゃね?(だから政治面が残念なんでは……)
ただ、その『シナリオ』が、『当事者と関係ないところから発生したもの』であるってのがタチ悪い。たとえばお凌を嫁にしたのだって、玄哉やお凌が望んだのではなく、親戚やら周囲の声を気にしてだし……
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烏は主を選ばない 外伝 ふゆきにおもう第二話[阿部智里 / 松崎夏未]
冬木の縁談は、たしかに冬木は喜んだし、玄哉氏や垂氷にとっても朗報で、全方面Win-Winのようだけど、実は梓なんだよね。『シナリオ』を用意したの。
ただその『シナリオ』、途中で誰かに書き加えられてませんか……?(詳細は後編で)
あせびは、『悪意のカラクリ』を周囲が認識した瞬間『悪女』になるけど、玄哉氏は最初っから『善意』だから、せいぜい『困った人』どまりという……
梓の美しい言い訳
『梓を側室に』という話の時、周囲の人は梓を含めみんなして『冬木のため』と言っていた。
たしかに、冬木本人が『側室は梓に』とお願いしたのなら『冬木のため』だったけど、実際は違ったじゃん。
結局みんな、『冬木のため』と言いつつ、実際は、全部『冬木のせい』にして、自分達の行いを正当化しただけ。
結果として、冬木1人が『悪者』になり、他の人は『もっともなこと』を主張する『正しい人』になった。
誰か1人くらい、『冬木のため』に『悪者』になってくれるヤツはおらんかったんか……いるとすればそれは梓だったんだろうけど、本人が述懐してるように、雪正に『絆された』んだなぁ……最初は『側室を作る=冬木が飾られてるだけのお人形になる』ことを冬木が了承するだろうか? と疑ったはずなのに。
その結果、梓も『正しい人達』に荷担して、一緒に冬木を裏切る形になってしまった。
そりゃあ騙された梓も被害者ではあるんだけど、彼女に落ち度があるとすれば、無理矢理にでも冬木に会いに行かなかったことかな。
キッツいこと言わせてもらうと、側室になった後も、冬木に会わないまま雪馬を産んでしまったのは事実だよね?
本当に『冬木の頼み』であったなら、会うこと自体、なんの問題もないはずじゃん。むしろ冬木のほうから『会って話したい』と頼んできてもいいくらい。
なのに全部人づてで、しかも『冬木に会うこと』は一向に叶わない。梓は、そこをもっと疑うべきだった。
雪正に『側室になったんだから冬木に会わせろ。でなきゃ子供なんか作らねーぞ』くらい迫ってもよかったのに。
だけど『人助け』という『善行』の『つもり』だったので、そこまでしなかった。
その『怠慢』によって、梓は、『冬木のため』でもなんでもなく、自己保身のための『美しい言い訳』をしてただけになってしまった。
ここにもいた逆あせび
梓の落ち度って、『無理矢理にでも冬木に会わなかった』こともそうだけど、『もっと前』にさかのぼれば、『冬木の恋を主人に知らせる』って行為自体が余計なお世話、すなわち『逆あせび』だったんじゃないかなぁ……
梓は自分がチクるんじゃなく、冬木が自ら『好きな人が出来たんですぅ!』って両親に訴えるよう、働きかけたほうがよかったのかも。そうすりゃ『冬木の人生の主導権』は冬木の手の中で、梓は『逆あせび』にならずに済んだ。
だけど梓が先走って『余計なこと』をしてしまった結果、『冬木の人生の主導権』が他人に握られてしまった。まあ、結果論ではあるけど。
『おいしい話にゃ裏がある』とは言うけど、縁談自体は冬木的には願ったり叶ったりで『抵抗する理由』がなかったし、当時12歳だった梓にとっても、まさかこんなことになるなんて夢にも思わんよな……
なんにせよ、梓はこれから『全部わたしのせい』という罪悪感に苦しむんだろーなぁ……
これがあせびなら、『ああ、なんということでしょう!』と涙を流しながら、あせびちゃんさま劇場を楽しく繰り広げるんだろうけど……梓、そんな子じゃないから……(遠い目)
それでは今回はこの辺で。後編に続きます。
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