アニメ『チ。-地球の運動について-』第9話 きっとそれが、何かを知るということだ 感想と考察 臆病ピャストと勇気のオクジー
アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回は第9話『きっとそれが、何かを知るということだ』となります。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
『真理』への恐怖
ピャスト伯の過去の回想から始まった今回。
うーん、師匠もホントはわかっちゃいたけど、これまで長年積み重ねてきた仮説が『やっぱ違いましたー』なんて、そう簡単に認めらんないよなぁ……
『年とるとガンコになる』とは言うけど、そら何十年と積み重ねた歴史がありゃあ、ガンコにもなるよ!
ピャストもピャストで、真円の金星を見てしまったことで『師匠の仮説、ちゃうんちゃうか』と気づきはしたけど、ンなこと言えやしねぇ……! 言えやしねぇよ……!
にもかかわらず『師匠は間違ってない!』と断言してあげるピャスト、やさしい……!
だけどある意味、ピャストのやさしさは自分自身を道連れにした『残酷なやさしさ』だったな……いや、その場だけでも良かったはずなのに、真面目か!
その『やさしさ』のせいで、『真理に迫る』ための研究が、『真理を仮説に寄せていく』ための研究になってしまったわけでしょ? そりゃ何十年やっても完成するわけないよ……
師匠も師匠で、教え子の言葉はうれしかっただろうけど、同時に『自分の研究』のせいで教え子を長年苦しめてしまうことになったし……師匠もこれは本意じゃないと思うの。
ピャスト伯本人も、本当はわかってるだろうに。『気にも留めていない』と言いつつ、ずーっと金星のこと気にしとるやん!(『気にしてない』ならとっくに忘れてる)
やっぱり怖かったんだろうなぁ。『真理』が。
でも、いまわの際の師匠は『真理を教えてくれ』と言ったのであって、『自分の研究の正しさを証明してくれ』とは言ってないんだよ。
仮にピャスト伯が師匠とはまったく違う『真理』をお出しになったとしても、師匠は怒らんかったと思うよ……
墜ちたイカロス
前回、『イカロスになれ。ただし蝋の翼ではなく鋼の翼で(要約)』と教え子に語ったピャスト伯だけど、皮肉なことに自分こそが『翼が蝋で出来ていると知りながら太陽を目指して墜ちたイカロス』であった……
ある意味師匠もイカロスであり、同時に、蝋の翼を作ったイカロスパパでもあったね……『太陽に近づくならこの翼はダメです』と教えたけど、ピャストがやさしすぎたが故に、師匠がこさえてくれた蝋の翼を捨てることが出来ず、その翼で太陽を目指してしまった。
一方、ピャスト伯の過去など知るよしもないバデーニくんは、『正論』でピャスト伯を追い詰めたけど、ピャスト伯の涙になにも思わないようなら、バデーニくん、あなたマジでただのサイコ野郎やで……この涙を流す老人が、『未来の自分』かもしれないのに。
バデーニくんって、たとえば奥さんが超・気が強い人じゃないと、『正論』で奥さん追い詰めて苦しめるモラハラ野郎になりかねんタイプだよなぁ。そもそも結婚に興味はなさそうだけど。
顔に出さないだけで、おじいちゃんの涙がバデーニくんのハートにちゃんと届いてるといいんだけど。
バデーニくん、たまにいいこと言うから、別にサイコ野郎とは思えないんだよ。性格悪いだけで。
バデーニ「たまに!?」
オクジー「『性格悪い』にはつっこまないんですね……」
それにしても、ピャスト伯の『たとえ誤りでも、何かを書きとどめたことは、歴史にとって無意味ではない』って、どっかで聞いたなー、と思ったら、ラファウだ。『不正解は無意味を意味しない』。
まったく別の場所、別の人が同じ答えにたどり着くのは、それが『真理』だからだろうか。
金星を見るだけのかんたんなお仕事です
今回思ったのは、オクジーくんって『思慮深いヤツ』なんだなって。
『考えなし』にアホなことやらかすよりよっぽどいいはずなんだけど、『考えすぎるせい』で、『即断・即決』しなきゃいけない場面で決断出来ず、自動的に『選択しない選択』をしてしまったり、『答えの出ない答え』をあれこれ考えちゃって、視野や行動範囲を狭めちゃってたんじゃないの?
いや、あんた剣士なら、『即断・即決』出来なきゃいけないはずだけど? 『あ、これ負ける』という『即断・即決』は早いのね……
今回の彼の役目は、ただ単に『金星を見るだけのかんたんなお仕事です!』なのに、その『重大さ』を理解していて、『見た結果どうなるか』までちゃんと考えているんだよね。
もしオクジーくんが『考えなしのチャラ男』で、『金星みりゃいーんですね! よくわかんねーけどまかせてくださいっス☆』なんておバカキャラだったら、仮に目がいいことは信じてもらえても、『こいつの言ってること、信じてええんやろか……』って、別の意味で人を不安にさせそう……
少なくとも、バデーニくんがオクジーくんの『観測』を信じてるのは、その『思慮深さ』のおかげちゃうかなぁ……
きっとそれが、何かを知るということだ
『思慮深い』がゆえに、これまで『損な生き方』してたオクジーくんだけど、今はその『思慮深さ』のおかげで、人生を好転させる機会にも恵まれた。
そうして疑問や不安を言葉にして全部吐きだした結果、ちゃんと自分がどうしたいのかを導き出し、あんなに『この世に期待なんかすんな!』と語っていたネガティブ野郎が、『期待していてください』と言い出した……だと……!?
なったのね!? 主人公に!
おまっ……! そんなん聞いたら、あの世のグラスさんと占星術師のおじいちゃんがシャンパンタワー作ってヒャッハーするぞ!
星空に恐怖するオクジーくんは、もういないんだな……
今回は、ピャスト伯とオクジーくんが対比になっていたなぁと思う。ついでにラファウとも。
両者の違いは、『無知』だったが故に『よくわからないもの』に怯えていたのがオクジーくんだったのに対し、『知りすぎた』が故に『真理』に怯えたのがピャスト伯。
オクジーくんは、『何かを知る』ことによって『勇気』をもらった。しかし、ピャスト伯やその師匠は、『何かを知る』ことによって『臆病』になった。
そして『命を賭けることにこそ自分の直感を信じる』選択をしたのがラファウだったけど、ピャスト伯は『この仮説違うかも』という『自分の直感』をねじ曲げてまで、『自分より偉い』と思ってる師匠を信じた。
オクジーくんも、ちょっと前まで『偉い人』の言うことを鵜呑みにしてたけど、今は『自分の目』を信じてる。
かつてのピャスト伯に足りなかったのは、『自分の直感』を信じる『勇気』だったと思う……
文字ってすげぇ
現代人は忘れがちだけど、たしかに『文字』ってすごい発明だよね。かの紫式部も清少納言も、現代語訳されてるとはいえ、千年後も自分の書物が読まれてるなんて想像しとらんかったやろなぁ……
そして文字を『奇跡』と語るヨレンタ、ほんとに『学ぶこと』が大好きな子なんだな……こういう子を見てると、自分はせっかくの義務教育をいかに無駄遣いしたことか。(アホは取り戻せなくなってから価値に気づく……)
大人、『もっと勉強しとくんだった』ってみんな言う。
オクジーくんはあんまり文字読めないそうだけど、今からでも勉強したりするんだろうか? ちょっと前だと、『周りも読めなくて当たり前』だったせいもあって、チャレンジすること自体思いつきもしなさそうだけど。
『文字を読めるってどんなもん?』って疑問を抱くようになったこと自体、この世に『希望』を持ったってことじゃん。グラスさんに託された本とか、『こうして書き残すことに、なにか意味がある』って。
草派の陰でグラスさん、感動の涙流してるよあんた……(;ω;)
ピャスト逝く。どうなるこれから
さて、今回のラストでピャスト伯がお亡くなりになったようだけど、3人に何か影響は出るんだろうか?
少なくともヨレンタは、所属してる研究所のトップが変わるってことだよね? これまで通り、居続けることが出来るんだろーか。女性に厳しい人ばっかだったし。
バデーニくんも、『村に資料運べ』と言ってたけど、もしかして全部? オクジーくん1人で運ぶにはめっちゃ時間かかりそうな量だと思うんだけど。
それに、あくまで『借りた』んであって『もらった』わけじゃない。遺産の相続者から『ピャスト伯が許可しても、自分は許可しない』って回収されちゃったりしない? その辺のことでトラブル起こらないだろーか……
ピャスト伯がなにやら本書いてたけど、屋上から落としちゃってたし。
一難去ってまた一難になるのか、ふつーに研究が進んでいきなり●年後になるのか、果たして。
それでは今回はこの辺で。
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