アニメ『チ。-地球の運動について-』第14話 今日のこの空は 感想と考察 守り抜いたバデーニとシモンの独善
アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回は第14話『今日のこの空は』となります。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
やっぱりわかっちゃいたけども
ラファウのこともあったし、わかっちゃいたんだよ……わかっちゃいたんだけど……やっぱ死ぬんかーーーーーーい!(主人公リアル退場型アニメ)
この作品には、好感度を爆アゲしてから容赦なく退場させる悪魔がいる……!
これがRPGなら、仲間が助けにきてくれたりするんだけどなぁ……マジで命がけのバトンリレーだった……
さて、前回のラストで登場した例の拷問器具ですが。あー、なるほど。フベルトさんもこれやられたのか……
ノヴァクの場合、同じ質問繰り返したり、どう考えても痛めつけることが目的に!
バデーニくんだけでなく、慣れてるはずのダミアンくんまでドン引きしてる……
拷問といい処刑といい、『相手の言い分』や『動機』は一切聞かず、『自分が聞きたいこと』しか聞かない・言わせないんだね。彼らにとって『どうでもいい』から。
前回、オクジーくんの夢で『公にしないでどう議論する?』という言葉が出てきたけど、『議論する気なんて毛頭ない』ってことなんだろうなぁ。『自分達が絶対正義』であり続けるために。
漢・バデーニのやさしい嘘
オクジーくんに続いて、バデーニくんがついに漢を魅せてくれた。
ヨレンタを最後までかばい抜き、石箱も実はちゃっかり残していた。
オクジーくんのお口は大変なことになったけど、目だけは、どうしても犠牲に出来なかったんだな……『あれがどれだけ辛いか』ってのは、物理的な痛みよりも、『星が見えなくなる』ことかな……
自分の代わりに星を見てもらったり、オクジーくんの『目』は、もはやバデーニくんにとっても『特別』なんや……!
【重要度】
オクジーくんの目>>|超えられない壁|>>石箱>オクジーくんの口
オクジー「比較するようなもんでしょうかねそれ……」
そしてオクジーくんの本が、実は文章が復元可能な状態だったことも判明。ということは、『手紙』ってのは、宛先なしの『読んだ人任せ』なもの?
なんにせよ、これまでの行いはすべて、オクジーくんに嫌われて自分のとこから逃げてもらうためだったんだろうなやっぱ。
バデーニくん、あんたの『冷たさ』は『やさしい嘘』だって全部知ってたよ私は!
バデーニ「あんたこの前『こいつにそんな殊勝な心意気ねぇって~! HAHAHA!』って……」
バデーニくんが石箱のことを白状して、ノヴァクは『異常者じゃなかった』と評価してたけど、単純に石箱は『役目』が終わったんだろうね。
それにしても、
バデーニ「12歳でもなきゃ、世界を動かそうとなんてしない」
フベルト「」
フベルトさん……!
そういや、ネックレスはどこ行ったんだろな。
この世でもっとも強い武器は友情だ!
さて、地動説は石箱から次の段階に向かうようだけど、その鍵を握るのが『オクジーくんの本』ってのは胸熱。
オクジーくんの本を未来に託すことにしたってことは、バデーニくん、『感動』しちゃったってことなんだな……何書いたのか知らんけど、いやあんたすげぇよオクジーくん! バデーニくんの心を動かした!
やっぱ人の心を最後に動かすのは、『理屈』ではなく『感動』。(まあ、中にはそれでも動こうとしない頑固な犬もいるけど……)
オクジーくんは、最後の最後までバデーニくんを見捨てなかったからなぁ。
教会から『逃げ切れなかった』ってのはホントかもしれないけど、オクジーくんと一緒に死ぬならそれも悪くないと捕まったのか……あの洗礼によって本当に生まれ変わったのは、オクジーくんではなくバデーニくんだったのかもしれない。
友達が転んだ時、手を差し伸べるのがオクジーくんなら、一緒に転んでやるのがバデーニくん。言葉にはしなくても、おまえらもう立派なアミーゴだよ!(何故スペイン語になる)
登場時は、空を見ることに怯え、『この世に希望なんてない』と主張し、『コイツ大丈夫かいな』と不安にさせてくれたオクジーくんですが、最期は、あまりに小さな希望を『それはすばらしい』『期待のしがいがある』と言ってのけ、バデーニくんが守ってくれた目で見た『今日のこの空』を『きれいだ』と断言した。
自分至上主義で他人を拒絶してばかりだったバデーニくんも、最後は『自分が特別になること』ではなく『自分の特別な友達』を選んで、『感動』を後世に託して一緒に逝くことを選んだ。それはもう熱血……!
ぶっちゃけバッドエンドのはずなのに、あんま悲愴感がない。
刑が執行された後、お星様がふたつ流れるの、悲しいけど美しかったよ……
代償の取り立て、始まる
2人がお亡くなりになって、このまま次の章へ……とはならんかった。
やっぱヨレンタが、このまま何事もなく終わるわけがなく。ついに取り立てが……! ノヴァクへの『代償の取り立て』が来た……!
ノヴァクは『すべて終わりだ』なんて言ってたけど、『終わってる』わけがなかった……!
『会食したのが6日前』ってことは、この頃、ノヴァクはオクジーくん達を拷問して、石箱取りに行ってた? オクジーくんは一週間意識なかったはずだし。(『6日前』は『当日』を含めないので、『今日』は会食してから7日目のちょうど一週間)
なんにせよ、ヨレンタのピンチにノヴァクがいないのは『そっち』に夢中になってたからか……このタイミングで2人をヨレンタのとこに向かわせたの、ひょっとして狙った?
それにしてもアントニ氏。前歯狙ったのは、ヨレンタよりも『ノヴァクへの嫌がらせ』だよね絶対。女の子の顔になんちゅーことを!
ノヴァク……『娘のため』と私怨で異端者いたぶってたら、肝心の娘が別のとこで『異端者』として私怨でいたぶられてたなんて、皮肉なもんだなぁ……
いや、ヨレンタには悪いけど、ノヴァクの悪評に関してはぶっちゃけ『ホンマその通りやわ』と思っちゃったわ。
だけどこいつらが天下取ったその後の教会がいい感じになるか……? となると、それは疑問。だってノヴァクを堕とすために、子供のヨレンタを使うのは、どう考えても悪役の手口……!
アントニ氏、『これで組織を正しい方向に導ける』なんて言ってるけど、この調子じゃ、どうせ頭が変わるだけで中身はこれまで通りなんやろな……
詰んでたヨレンタ
結局、『ノヴァクの娘』として生まれ、さらには『研究職』を選んでしまった時点で、ヨレンタは『詰み』だったんだと思う。オクジー&バデーニとの出会いがあろうとなかろうと。
それを回避出来たのが、他でもないノヴァクだった。そもそもヨレンタが目をつけられたのは、ノヴァクの日頃の行いのたまものじゃん!
十年前の時点で、『ご主人ののど笛噛みちぎってやるぜヒャッハーーーーー!』なイカれたチワワになってりゃあ、教会はここまで腐らずに済んだんじゃないの?
そのキーマンが他ならぬラファウ。
ラファウの『あなたの敵は異端者じゃない』をもっと深刻に考えて、教会のやり方について司教に意見して徹底抗戦してりゃあ、たとえうまく行かなかったとしてもアントニ氏を初めとするたくさんの人から『お、やるやんコイツ』と信頼を得られたかもしれないのに。
だけどノヴァクは、とことん『たった1人のご主人様にだけ従順なドーベルマン』だった。相変わらず司教に媚びへつらい、自分の保身に回った。
お前、ラファウの話で『感動』したんじゃなかったんかーーーーーーい!
ラファウの話はちゃんと聞いてたと思ってたのに、実は全然聴いてなかったんか!(『効いてはいた』けど忘れることにした小者……)
ぶっちゃけラファウは、こいつの杯に一服盛ってもよかったと思う。(でもそれだとラファウが人●しになっちゃう……)
結局、ノヴァクが怠惰にも『従順なドーベルマン』を続けた時点で、『こうなること』は決まってたようなもんだわ。
『従順な犬』は、『ご主人様』に『自分の運命』を丸投げしてるから。ご主人様次第で『自分の立場』も変わるのは必至。
そして『次のご主人様候補』はノヴァクを超嫌ってて、あわよくば保健所送りにしたくて仕方なかった模様。そのために利用されたのがヨレンタ。
ノヴァクのことだから、アントニ氏が『自分を失脚させたがってる』ってことをこうなる前に知ったとしても、『教会のおかしさに立ち向かう』より、『ヨレンタに研究者を辞めさせる』って選択するんだろうなぁ……
シモンの独善
うっかりアントニの計画を聞いてしまったシモンくんですが。
あー、てっきり、聞いた話をすぐさまレフくん達にぶちまけると思いきや、よりにもよって『独善』に走ってしまったか……
シモンくんは『いいヤツ』なんだと思う。登場時から、正義感があって、拷問とかにずっと疑問を抱えていた。
僧侶になったのも、本気で『人助けのため』じゃないの? 『異端の書』読みたさに僧侶になったバデーニくんのほうがよっぽど不純。
ヨレンタを逃がしたのも、『やさしさ』や『正義感』からなんだろうけど、でも『独りよがりの正義』なんだよなぁ……
かっこよく『信仰とは生き方』なんて言ってたけど……これは……! 自分の『善行』によって、全方面状況をさらに悪化させる黄金パターン!?
本人は『良かれ』と思ってヨレンタを逃がし、『僕は残ってみんなに経緯を説明します』『きっとわかってくれる』なんて言ってたけど、それ、最初にしてもよくない?
レフくんにしてみりゃ、わざわざ自分を部屋から追い出してそんな勝手なことするとか、『俺が信用出来ないのかよ!』ってことになるんだけど。
で、実際、ホントに信用してないんだと思う。本人、自覚してないようだけど。
『信仰』ってなんだ?
『信仰と研究は別にすべき』と言っていたのがオクジーくんだった。
ある意味、それを実践してるのがレフくん。
これまでの発言からして、レフくんは思考を停止させて『教会に従順な犬』になろうとしてる。『信仰とは何か』と悩むシモンくんに対し、『そういうことを考えるのは学者の仕事』『俺らの仕事は上の決定に従うこと』って。
同じ『信仰者』でも、レフくんとオクジーくんは全然違う。
オクジーくんは考え抜いた末に、すべて『自分の自由意志』の元で選択したのに対し、レフくんは『ただの盲信』であって『命じた上が悪いんであってオレ悪くないもん!』っていう『責任逃れするヤツ』なんだよ……『そうでもしなきゃやってらんねー』って気持ちもわかるけど。
シモンくんが独善に走ったのは、レフくんに相談してヨレンタを逃がそうとしたところで『止められる』と思ったからじゃないの? だから『事後報告』にする必要があった。
つまり、レフを『信用』出来なかった。
シモンくんは『きっとわかってくれる』なんて言ってたけど、そういうセリフは『わかってない』ヤツが言うんだよ……
皮肉なことに、それこそが『信仰』。『友達なんだからわかってくれる』という『トモダチ教』の。
それが『わかってもらえなかった』時、『信じていたもの』に裏切られた気分になる。
だけどレフくんにとっては、『裏切った』のはシモンくん。
『危険に友達を巻き込まず』に『正義の行い』をやった『つもり』なんだろうけど、『自分の身勝手』のために『友達』をないがしろにしただけ。
現在のシモンくんの『生き方』は、『自分にとって都合のいい行動のために友達は合わせてくれる』という期待をしている『甘ったれ坊や』。
そしてヨレンタのことも『いいこと』のつもりで逃がしたんだろうけど、ヨレンタにしてみれば、『逃げろったってどこへ?』だし。それで結局捕まったら、もっとひどい目に遭うのはヨレンタ。
しかも教会的にはホントに『黒』という……
友情に亀裂が走るとき
結局の所、今回シモンくんがしたことは『友達を信用しなかった』『職務を放棄して異端者を逃がした』だよなぁ……
つうても、『シモンくんだけが悪い』かというと、レフくんだって、悩むシモンくんに『そんなの学者が考えること(訳:学者じゃないオレの知ったことか)』なんて言って、一緒に悩んではくれなかった。そんなこと言われちゃったら相談出来なくなるし、『信用』も失うよ。
オクジーくんとバデーニくんの友情を魅せられた後で、友情に亀裂が走りそうな2人が来たなぁ……
シモンくんの『信仰とは生き方』が、後になって『呪い』にならなきゃいいけど。
そしてノヴァクもどうなることやら。
アントニが、取り上げたヨレンタの手袋をポケットにしまってたけど、それを見つけて状況を知るとかありそうだけど。
ヨレンタのことを知って、それでもまだオクジーくん達のせいにするようなら、ノヴァクはもう救いようがないわ。ヨレンタを『研究者』と認めてくれた上に、『ヨレンタの関与』を文字通り墓場まで持って行ってくれた恩人達をいたぶって、お星様にまでしちゃったんだぞ……今後、それを知ることはあるんだろうか?
せめてヨレンタだけでも逃げ切って欲しいけどなぁ。2人が命がけでかばってくれたのに。
でもノヴァクのこれまでの行いのせいでそれが台無しになると思うと、まさに『ノヴァクへの代償』としてはふさわしい『代償』だよなぁ……(娘の足ひっぱるダメ親父……)
それでは今回はこの辺で。
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