アニメ『チ。-地球の運動について-』第23話 同じ時代を作った仲間 感想と考察 終わるラファウと夜明けのドゥラカ

アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回は第23話『同じ時代を作った仲間』となります。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
無敵のノヴァク
『ヒャッハー!』のち『ファイヤーーーー!』は予測してましたが……事前に酒まいとくとか、なんでそう用意周到なの?

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
アントニがノヴァクに近づいて『あっ……(察し)』とは思ったけど、やっぱそーなった。
アントニお前、『私は用心深い』なんて言ってたクセに、なんでそんなのこのこ不用意に近づいちゃうんだよ! 今のノヴァクは『無敵の人』なんだぞ!?
しかもノヴァクを『無敵』にしたのが他ならぬアントニという皮肉……!
『人の心わかってない』からこそ上り詰めることが出来た男が、『人の心わかってない』が故に刺されるという皮肉な結末を迎えた。
まあ『アントニの末路』としてはふさわしいっちゃあふさわしいかもしれんけど。
しかしノヴァクよ。『神様より金儲けか』って責めてたけど、そんなに『神様が大事』なら異端取り締まるより先に教会の不正正せよ。
そもそも、人々の心は『神様』から離れてるんじゃなく、『教会』から離れてるんだよ。『貧しい』から『お金』を求め、その『貧しさ』を作ってるのが他ならぬ教会じゃん……少なくとも25年以上前からだよね?
教会は『私腹を肥やすため』に『神様』を利用し、人々は『怒りの矛先』として『神様』を利用してる。
あなた、活版印刷とかの『最新技術』の情報は仕入れるのに、『人の心』の最新情報は仕入れないの?(嫌味)
挙句の果てに、『文明や理性の名の元では、神の名の元とは比べものにならない規模の大虐殺が起こせる』と言ったすぐあとで、『神の名の元で小規模な虐殺』をお前が起こすんかーーーーい!(※『神の名の元なら虐殺は起こりません』とは言ってない)
組織長の自爆を『悲劇的』ゆーてたクセに!
ならばいっそ本物の悪に
アントニの言葉で『自分は物語の悪役だった』とようやく自覚したノヴァクだけど、たしかに、今さら『いい人』になったところで『これまでしてきたこと』が『チャラ』になるわけじゃないからね……
だったらむしろ、最後まで『悪役』を貫くのが、これまで『自分がしてきたこと』に対する『筋』ってもんなんだろうけどさ……
だからと言ってさらなる罪を重ねていいってわけちゃうぞ……!

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
アントニ刺すのはまだわからんでもないけど、ドゥラカ刺すのは違うだろ!
『人々の中で『地動説は悪です』という勘違いを誘発させるためにドゥラカ利用したろ』ってのは、『神様』のためでもなんでもない『自分のワガママ』じゃん。
アントニの『ノヴァク陥れるためにヨレンタ利用したろ』ってのと同じことを、あんたがやってどーすんの。
ノヴァク、『自分は悪役』と自覚したが故に、本物の『悪』になってしまった……!
同じ『悪』でも『君を●す正当性はない』『私の個人的な理由だ』とはっきり認めた上で人をあやめたシュミットのほうが潔かったよなぁ……まあ、死を覚悟していたシュミットと、『反撃される』とは思ってなかったノヴァクとじゃ、覚悟が違うか……

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
しかしさすがはドゥラカだ。お金教信者はタダでは死なない。
火にひるんで足を止めちゃったせいで刺されてしまったけど、即座に反撃したドゥラカ、ようやったよ……! 結果的には相打ちだったけど!
35年前の君から
ノヴァクが死を覚悟したその時、まさかのラファウ再登場。

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
いや、再登場の予感はあったんだよね……最後のセリフが『では、また』だったし。
『ノヴァクの死の間際の幻』としての登場ではあったけど、『幻』に『あんたの作った幻っすよ』と言われちゃうの、なんかシュール……
ラファウの再現度高すぎて『嘘つけお前本人やろ!』とつっこまずにいられない。
それにしても、本人だろうが幻だろうが、こんなのを見るってことは、ノヴァク、ホントは全部わかってたんじゃん……このラファウは『苦しみ続けてきたノヴァクの良心』ってことでしょ?
わかっていたのに、目を背けて『何かの奴隷』であり続けた。ホントは『自由』になりたかったクセに、『自由』が怖くて奴隷であり続けた結果、すべてを失い、自分のこれまですら否定された。
例えるなら、自由を求めて豚小屋から脱出したのがラファウ達なら、ノヴァクは出入り口開いてんのに豚小屋にい続けた豚。
世の中には『逃げていいこと』と『逃げちゃいけないこと』があるけど、それを見極めるのに必要なのは『自分の心』なんだろうな……フベルトさんの『命を賭けることにこそ直感を信じる』ってのはまさにそれだった。
思考の末に『自分の心』を信じ、豚小屋から脱出したラファウ達に待ち受けていたのは『死』だったけど、対価として求めていた『自由』を手に入れた。
『欲しかったもの』を手に入れたから、自分の選択を後悔せずに逝った。
一方ノヴァクは、『自分の心』を殺して思考を放棄し、ひたすら『ご主人様』に尽くした。我が子をご主人様に取り上げられたとしても。
そして出荷されて初めて、『自分は食われるために飼われてた』と気づいて『これまでの自分』を後悔した。
そこで初めて人に噛みついたけど、その相手は『ご主人様』ではなく『世話係の奴隷』。
だからなんにも変えられない。
逃げ続けた者の末路
ノヴァク……まさか、あの手を大事に持ってたとは。自爆したのがヨレンタって、ホントは気づいてたんだな……

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
あの一瞬だけで、しかも25年も経っているのに『あれはヨレンタだ』とわかったの、『娘への愛』は本物だったんやな……
全部わかっていたはずなのに、思考を停止させて現実逃避して、さらに罪を重ねてしまった……
逆を言うと。
もしここで現実突きつけられずに『異端取り締まって終了☆』してたとしたら、その手はどうしてたの? ふつーに捨ててたの?
もしそうだとしたら、ノヴァクは永遠にヨレンタとの再会はないまま、神も仏もない奴隷として、さらなる罪を重ねて生涯を終えてたんじゃ……そういう意味じゃあ、アントニはともかく、終わらせてくれたドゥラカには感謝したほうがいいと思うぞ。
向き合った末の救い
正直、ノヴァクはここで終わることが出来て良かったと思う。
ドゥラカに刺されて死を悟ったからこそ、ノヴァクはラファウと再会し自分と向き合った。ちゃんと向き合ったから、『あの手』がヨレンタだと受け入れることが出来たんでしょ?
ノヴァクがガチもんの『クソ野郎』だったんなら、『ヨレンタは自業自得』『異端とアントニ親子のせい』にして、最後まで自分は『いい人』『かわいそうな被害者』と『勘違い』したまま死んだのかも。
だけどヨレンタへの愛は本物だったから、自分が『この物語の悪役だった』と受け入れた。そうでなきゃ、ラファウが現れることもなかったんじゃない?
なにしろノヴァクの最後の願いは『どうか娘を天国に』だったもんなぁ……『異端者』は天国に逝けないんだよ。
ヨレンタは『異端者』だったから裁かれたのではなく、ノヴァクが『異端を作った悪役』だったから、ヨレンタが異端者に『されて』しまったんだよなぁ……
初めて『自分こそが罪人だった』と受け入れたことで、ヨレンタを『異端』から解放した。そして同時に、自分自身も『奴隷』から解放し、『ヨレンタのパパ』として逝けた。
そしてあの自爆した組織長がヨレンタだったとも受け入れたから、再会することが出来た。
ノヴァクが受け入れてくれたから、ヨレンタは父の元に帰ることができ、ノヴァクも、約束していた『サイズぴったり』の手袋を贈ることが出来た。

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
ヨレンタが『地動説を愛したこと』を、一番祝福してほしかったのはノヴァクだと思うんだよ……
今回登場したラファウは、ノヴァクの『善良な心』の化身だったな。あのネックレスを手にした者は、たしかに『歴史の登場人物』ではなかったけど、『歴史の登場人物』だけで『その時代』が作られているわけじゃないし。
ノヴァクは『物語の悪役』ではあったかもしれないけど、間違いなくもう1人の『主人公』だったよ……!
ひとつの時代の終わり
ノヴァクが天に召され、そしてまさかのドゥラカ退場。

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
工工工エエエエエエェェェェェェΣ(゚Д゚;)ェェェェェェエエエエエエ工工工!?!!???
神様、この子、死ななきゃいけないくらいなんか悪いことしましたか……?(それをゆーたらラファウ達もなんだけど)
いや、残りの話数的に、てっきりこの子がアンカーかと……
でも、ラファウも3話で退場したからなぁ……一番主人公として働いた期間が長かったオクジーくん達が異例だったとは……
死因が『失血死』なら、もしかすると、ナイフ刺さったままトンズラしてたら、一命を取り留めた……?
ドゥラカ、『間違えた』と言ってたけど、それは『ナイフを抜いて反撃してしまったこと』なのか、はたまた『本を燃やしてしまったこと』なのか……

アニメ チ。-地球の運動について- 第18話 情報を解放する
さっさと本をシュミットに渡していりゃあ、死ぬことなかったのは確かなんだよなぁ。『お金儲け』なんて他の方法考えりゃいいだけで。
だけど、『本を燃やした』のはドゥラカの選択であり、その結果、我が身に起こったことに対する『責任』は自分で取らなきゃいけない。
ドゥラカは『責任』を果たすために、ナイフを抜いて反撃した。
あそこで命を惜しんでたんじゃあ、ノヴァクの追撃でトドメされるだけで、鳩飛ばせなかったかもしれない。ノヴァクも死に損ねて、一番救いのない結末になってたかも……
ドゥラカは悪態つきながらも、ヤケクソに投げ出したりせずちゃんと鳩を飛ばした。ヨレンタやシュミット達との約束も、『自分の仕事』もちゃんと果たしたの、えらかったよ……でも、ヨレンタやシュミット達のぶんも、新しい時代を生きて欲しかった……(;ω;)
朝の光に包まれて
さすがに『自分の人生なんやったんや!』と嘆いてたドゥラカだったけど、最後に見たのが美しい朝日。
あんなに嫌っていた朝日の美しさと暖かさに救われ、心穏やかに逝くなんて、シュミットの心が通じた。それだけでも、シュミットは死んだ甲斐があったよ……

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
シュミットは新しい朝を迎えることなく逝ってしまったけど、代わりにドゥラカが『新しい1日の始まり』を迎えてから逝った。
ラファウやオクジーくん達は、夜に星を見ながら逝ったけど、ドゥラカは『夜明け』を見届けてから逝くんだね。ノヴァクの最期はラファウやオクジーくん達が駆け抜けた『時代の終わり』を感じたけど、ドゥラカは『新時代の始まり』を予感させる最期だった。
ドゥラカ、登場時は『死の恐怖』や『夜明け』に怯えて、『安心』欲しさに『お金』を求めてた子だったのに。
『本を燃やした』せいで死んだのかもしれないけど、『本を燃やした』からこそ、すがることを辞め、仲間を得て、新しい朝の美しさに『感動』することが出来た。
ドゥラカはもう、お金にすがっていた少女じゃない。ヨレンタ達と同じ時代を作った仲間だ……!
新たな物語の始まり
ひとつの物語が終了したその一方で。
第一話では何かに配慮したのか『P国』表記だったのが、『え? この国に地動説を弾圧した歴史なんてありませんよ?』というのが判明した途端『ポーランド王国』表記になって視聴者をもてあそぶの、作者には何色の血が流れてんでしょうか……(白目)

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
???「やだなぁ、魚だって血は赤いですよ?」
そして新たな物語の主人公は、OPとEDにちらっと出てた『後ろ姿の君』か。まさかパン屋が最終走者とは……
『●年後』がないってことは、ドゥラカ達と同時期だよね? 鳩はどうなった? ポトツキさんは亡くなってるはずだし……
さて、新主人公のアルベルトくん、元々は学問や星を見るのが好きな子だったようだけど、なんかあってやめちゃった模様。客に出身聞かれて言葉濁してるってことは、なんか後ろめたい理由?
フベルトさんの子孫とかだったら胸熱なんだけど。名前似てるし。

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
この作品の主人公はだいたいが視聴者の好感度マイナスからスタートするけど、今度の主人公はノヴァクの思想全肯定か……!
ノヴァクが全否定されて死んだすぐ後で……(白目)
パン屋の親方、どういう理由でアルベルトくんを世話してるのか知らないけど、息子でもない若者を、『恩義があるから』なんて理由で大学に行かせてやりたいと思うなんて、あんたはポトツキさんか!
大学行きは拒絶されたけど、『アストロラーベを捨ててない』時点で、『あー、こいつ自分に嘘ついとるわ』と見抜いてんの、いい人……!
アルベルトくんは『悪役(ノヴァク)』が退場済みだし、例の特級呪物(ネックレス)もないし、割と『安全』だと思うんだけど、『アッシュくんの生死』も『レフくんのその後』も不明なのが気になるんだよなぁ……
アルベルトくんの未来は果たして。
それでは今回はこの辺で。
おもろかったら下にあるイイネボタン押してもらえると元気とやる気が出ます。
前回の考察はコチラ
アニメ『チ。-地球の運動について-』第22話 君らは歴史の登場人物じゃない 感想と考察 運命を選んだシュミットと翻弄されたノヴァク
こんにちは。今回も考察面白かったです。
ノヴァクって薄気味悪い悪役に見えてチ。の登場人物の中で一番人間味のあるキャラでしたね。
真実を知ってもすぐ正しい行動ができず、自己正当化のための悪事に走ってしまうところとか…
でも最後に娘を受け入れ、娘の幸せを祈って逝けて良かったと思います。ドゥラカも美しくも
切ない亡くなり方をしてしまい悲しいです。あなたの考察を何度も読みましたが、
やはり奴隷になってしまう人と言うのは「自分が正しいと思い込み、思考停止してしまう人」
のことなのですね。知らずにそうなっている人は大勢いると思い、私もそうなっているかもしれない。でもこの考察のおかげでその可能性に気が付けたことに感謝し、行動を見つめ直したいと思いました。
コメント、ありがとうございます!
楽しんでいただけたようでうれしいです(*^_^*)
ノヴァクのラストは、胸に来ましたね……本来は、ただの『娘を愛する働き者のお父さん』だったはずなのに。
『自分がノヴァクと同じ立場だったら?』と思うと、ある意味彼は『あなたがなったかもしれない姿だ』と言われているようで、憎むに憎みきれない。
ラファウ達のようにはなれずとも、せめてノヴァクのようにはならないよう、私も時々は我が身を振り返らねば……
ノヴァクが最後、本物の『悪』になってしまったのは『これまでの自分の肯定化』もあったのかもしれないけど、今思うと、かつての『良い子のヨレンタを守りたい』という、父親としての『愛』の暴走だったのかも?
シュミット達が亡くなった今、ドゥラカは最後の『組織長のヨレンタ』を知る者ですから……ドゥラカを抹殺することで、『組織長のヨレンタ』を『歴史の登場人物』からはずしてやりたかった。だからと言って、ドゥラカ刺したのは許さんけど。
ドゥラカもたくましくて魅力的な子だったので、本当に23話の退場はびっくりしました……(;ω;)