アニメ『チ。-地球の運動について-』第25話 最終回 『?』 感想と考察その2 好奇心の怪獣 ラファウ4つの『なぜ?』

アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察その2。最終回の第25話『?』となります。
今回は『ラファウの行動の矛盾』についてです。アニメはアルベルト目線でしか語られなかったので、完全に想像の部分が多いことはご容赦を。
今回の考察は前回の続きとなりますので、まだの方はこちらもどうぞ。
アニメ『チ。-地球の運動について-』第25話 最終回 『?』 感想と考察その1 好奇心の奴隷VS知性の奴隷 ラファウの正体
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
謎その①『なぜ』この日だった?
さて、悪びれもせんとアルベルトパパをヤっちゃったラファウですが、『その後』はどうするつもりだったんでしょうね?

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
途中でアルベルトが帰ってこなけりゃ、資料をいただいた後で強盗にやられたように偽装し、その後は何食わぬ顔で集会に戻る。
アルベルト連れて帰宅したら、『なんという悲劇!』ってツラしてアルベルトをよしよししたってことなん……?
なにしろラファウ、目的達成(資料をいただく)のために、最初っから『アルベルトパパ殺害』を選択肢に入れてたよね?
『本意じゃない』『穏便に済ませたかった』のは『事実』だろうけど、それが『パパ殺害』が『選択肢に入ってない』理由にはならない。
そもそも、ラファウが事を起こしたのが『なぜこの日である必要があったのか』という謎がある。
理由があるとすれば、それは『アルベルトが家にいないタイミングじゃなきゃいけなかったから』じゃないの?
だからアルベルトを集会に連れてったんでしょ? わざわざ『途中で帰らないでね☆』『最後までここにいるんだよ?』とまで言い残して。

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
『この日に、殺してでも資料をいただく』って決めてたから。
つまりこの事件は、『計画的なものだった』ということになる。
謎その②『なぜ』殺す必要があった?
作中、アルベルトパパ殺害後、ラファウはどうするつもりだったのかは語られなかったけど、少なくともアルベルトは困るよね。
ラファウもお月謝いただけなくて困るはずなんだけど……まさかラファウ、ポトツキさんの『善行キャンペーン』をマネするつもりだったなんてことはないよね……?(なんかもう『家庭教師』として近づいたことすら怪しくなってきた……)

アニメ チ。-地球の運動について- 第1話『地動説』、とでも呼ぼうか
この辺は完全に想像でしかないけど、もし『身寄りをなくしたアルベルトを引き取って、自分の息子として育てる』なんてイカれた算段まで立ててたとしたらもはやホラー。
最終回でアルベルトが23歳と判明したから、24歳差なんだよこの2人……うん、十分『親子』やれる年齢差。ガクブル
なにしろ、パパは『好奇心』を否定する人でしょ? 『こいつに任せたらアルベルトの好奇心が殺される!』と『危機感』を抱いてもおかしくないと思うの……この日の『話し合い』で、それが『確信』に変わったとしたら?
つまり『アルベルトパパ殺害』って、一見、ものすごく『野蛮』な行いに見えるけど、実はそうじゃない。むしろ計画自体は『知性的』に立てられている。
『資料を救う』と同時に『アルベルト(の好奇心)も救う』も目的のうちに入っていたんだとすると、『パパに(この世から)ご退場いただく』ってのは、損どころか一石二鳥。これにはラファウのご主人様(好奇心)もにっこり!
やはり『知性』が奴隷……!
つまりラファウ的には、なにひとつ『矛盾』なんてなくて、むしろ『いいこと』『合理的』ですらあった。ジャンルが『サイコホラー』になっただけで。(白目)
謎その③『なぜ』あっさり捕まった?
『資料と一緒にアルベルトの好奇心も救いたかった』ラファウ的には、『アルベルトパパ殺害』はむしろ『合理的』だった。
ところが、『計画』には『アクシデント』がつきもので、アルベルトが帰ってきちゃった。
ここで最大の謎が。
アルベルトに起こったことをすべて話したあと、どういうわけか『村人達によってあっさり捕まった』。
ん?
『好奇心の奴隷』にしては矛盾してね?
ドゥラカ「死んだら全部終わりだ。稼いだ金も覚えた知識も夢見た未来も」
アルベルトの話では、捕まった後どうなったのかは不明のようだけど、まあ、これはもう処刑にせよ私刑にせよ、捕まった先に待ち受けてるのは『死』だよね……(教会がラファウ生存を把握してないとしたら、村人による『私刑』の可能性のほうが高い?)
時系列的には、第3章が始まった時点で、ラファウはすでにお亡くなりになっていたということか……
じゃあやっぱノヴァクのラストステージに出演したのご本人じゃねーか!(ジャンルがホラーに)

アニメ チ。-地球の運動について- 第23話 同じ時代を作った仲間
ラファウ「じゃ、サヨナラ(成仏)」
ん?
ラファウの行動で腑に落ちない点がある。それは『あっさり捕まった』こと。
なんでアルベルト始末しないの?
『自分の好奇心』のために『他人をコロコロする』を肯定したんなら、現場を目撃してしまったアルベルトももちろん『ヒャッハーーー!』するのが筋というもの。フライくんの叔父さんだってそれくらいしようとしたぞ。
アルベルトパパを殺害までしておきながら、この程度のアクシデントで『目的達成』を放棄するなど、『奴隷ガチ勢』としてはありえない。
むしろ一人ぼっちになった少年を憐み、『お父さんの元へ送ってやる』というのが、自分がしたことに対する『責任』であり『やさしさ』というもの。
アルベルト「サイコパスやん」
お目当ての資料を読んで、『ご主人様を満足させた後』ならともかく……現場を目撃されてしまったのなら、ここは計画を変更して『目撃者を消す』という行動に移る場面のはず……
目撃者を消してお目当ての資料を入手したら、あとはおうちを『ファイヤーーーー!』して証拠隠滅! ミッションコンプリート!
アルパパ「ガチもんの悪魔がいるな……(白目)」
だけど、どういうわけか、アルベルトは殺さなかった。そしてあっさり捕まった。
アルベルトにまで『バカですよね。あっけなさすぎる』なんて言われちゃってるじゃん……

アニメ チ。-地球の運動について- 第25話 『?』
『君のお父さんが受け継いだ『知』は失われずに済んだ。この世の美しさのためなら、犠牲はやむを得ない』と語ったばかりなのに。
だったらそこは、『ラファウという『知』を失わないために、この世の美しさを知るために、アルベルトという犠牲はやむを得ない』んじゃないの?
まさに『ん?』だった。
謎その④『なぜ』アルベルトを殺さなかった?
この手の話の定番は、『すっかり情が移って、この子だけはどうしても殺せなかった』なんだけど……舐めるな相手は『奴隷ガチ勢』だ!
あるのは『ご主人様』への『イカれた愛』のみで、己への『情』など存在しねぇ……! 他人への『情』? ヘソが茶を沸かすぜ!
ラファウ「あんたそこまで言う?」
『アルベルトを愛していたから殺せませんでした』って言うんなら、その子から『親を奪う』なんてそもそもやっちゃダメでしょ!
仮に『愛ゆえに殺せませんでした』だったとしたら、その『愛』はだいぶ歪んでる。元から歪んどったわ……!
むしろ『好奇心の奴隷』的には、『先生に父親を殺されたアルベルトがどんな選択をして、どう生きるのか、そっちに興味を持った』ってほうがしっくり来るんだよなぁ……
でもそれが、『人を殺してまで欲しかったお目当ての資料を手に入れることよりも重要か?』となると、それも『弱い』気がする。
そもそも、ラファウが人をあやめたのって、この時が初めてなの? まさかすでに『何人もヤってます☆』なんてヤだよラファウ……
でも常習犯だとすると、今度は『これまでうまくヤってきた人』ということになる。
そんな人が『子供に見られた程度であっさり捕まる』なんてお粗末すぎやしないか……?
だとすると、アルベルトパパは『最初で最後の被害者』?(にしては手練感がすごいんですがね……)
もしこれが初犯だったとすると、もしかして、ポトツキさんが亡くなったのってこの頃だった?
知性の神様
ラファウがこれまで事件なんて起こしてなかったとすると、『ポトツキさん』の存在があったんじゃない?
ダミアン氏によると『ずいぶん前に亡くなった』らしいじゃん。時系列的にはこの頃でもおかしくない。
ラファウは、最初っから『好奇心の奴隷』だったわけじゃない。地動説に出会う以前は『要領よく生きよう』としてたし、『天文やめろ』と言われて『そうしよう』ともしていた。なんなら、『世界、チョレ~~~~!』とすら思っていた。

アニメ チ。-地球の運動について- 第1話『地動説』、とでも呼ぼうか
かつての彼は、『知性』に従って生きようとしていた。
だけど『自分は好奇心の奴隷』と『自覚』し、そして彼の『知性』が『好奇心の奴隷として生きる』ことを決意表明したのが12歳のあの異端審問会だった?

アニメ チ。-地球の運動について- 第3話 僕は、地動説を信じてます
『ご主人様(好奇心)』が『我が好奇心のために死ぬがいい!』と命じたのであれば、彼の『知性』はそれに従う。それが『好奇心の奴隷』として殉ずる覚悟を決めた者のさだめ。
ところが、ラファウは死ななかった。
『ご主人様(好奇心)』よりさらにえらい『神様』が、『お前はまだ死んではいけない』と生かしてくれたから。それがポトツキさんだった?
ポトツキ「人は神にはなれません。発言を撤回してください」
少なくともポトツキさん存命中は、ラファウの『好奇心』はおとなしかったと思うんだよ……ラファウにとってポトツキさんって、身寄りを失い『詰んでた』はずの自分を拾い上げ、衣食住だけでなく『知識』や『宇宙へのあこがれ』を与えてくれた人でしょ? しかも大学にまで行かせようとしてくれた。
そんなポトツキさんに、すでに一回、ひどい親不孝やっちゃったんだから、これ以上はやっちゃダメ。
つまり『知性』がちゃんと機能し、『好奇心』を抑えていた。
そう考えると、ラファウの『知性の神様』はポトツキさんだった?
ところがラファウの『知性』は、ポトツキさんという『神様』を失ったことで狂いだした。彼の『知性』は、ますます『ご主人様(好奇心)』に依存し、のめり込んだってことなんだろうか?
だとすると、『孤独』だったのかも。孤独は人をかたくなにする。
『知人』はたくさんいたのかもしれないけど、『奴隷』に堕ちたことで、対等に、すべてを打ち明けられる『友達』はいなかったのかもしれない。『奴隷』は『ご主人様』にすべてを捧げ、『ご主人様』のためだけに生きねばならないから。
そのころからラファウは『無敵の人』となり、その被害者になったのがアルベルトパパってこと?
好奇心の神様
さて、ラファウの『知性』にとっての『神様』がポトツキさんだったとすると、ラファウの『好奇心』にとっての『神様』って誰なんだろう?
『星が好きなの?』と問うたアルベルトに、ラファウは『好きってもんじゃない。愛してる』と返した。つまりラファウの『好奇心』の神様は『宇宙』だった。

アニメ チ。-地球の運動について- 第24話 タウマゼインを
ラファウが『好奇心の暴走』に『自覚』があったんなら、もう誰にも止めらんないんだよね……
本来、暴走する『好奇心』を止めることが出来るのは『知性』なんだよ。
ところが、『知性』と『好奇心』の立場が逆転しちゃってるのがラファウ。
彼の『知性』は『イカれた好奇心様』の奴隷として、一緒に『ヒャッハーーー!』しちゃう『サイコーにサイコ』な『知性』をしていた。
まさに奴隷エンジョイ勢……!
だけど、どこか孤独。
ご主人様が愛した神様
さて、ラファウがアルベルトを殺さなかった謎に話を戻し。
好奇心の怪獣・ラファウの『神様』って、『宇宙』だった。
ラファウ、『アルベルトが集会の途中で帰って来る』こと、予想してたんじゃないの?
アルベルトが突然帰ってくるとしたら、それは『天体観測のため』に他ならない。
父親から『価値がない』と言われ、本人も『何の役に立つのかわからない』と言いながらも、『知りたい』という『好奇心』からずっと続けていた観測。
彼は、ラファウと同じ『神様』を愛していた。そこに意味なんて必要ない。
もし帰ってこなければ、アルベルトは父親の『教え』も、ラファウの『途中で帰るなんて悲しいことしないでくれ』という『言いつけ』も守る『良い子』になった。
そしてこれまでの『観測記録』はそこで終了し、父親が言った通りの『何の役にも立たないもの』に成り下がった。
彼の『神様』への愛は、その程度だったということになる。
だけどアルベルトは帰ってきた。
目先の『楽しさ』よりも、ラファウの『しっかり最後までいてくれよ』という『言いつけ』よりも、『神様』を選んだ。
それは、『良い子になって大学に行く』よりも、『悪い子になって石箱を守る』という選択を取った、かつてのラファウと同じ。
彼の『神様』への愛は本物だった。
『天使』になったアルベルト
アルベルトが途中で帰ったことによって、父からは『何の役に立つのかわからない』と言われていた観測記録が、『学術的価値』はなくとも『アルベルトの人生』においては、天と地がひっくり返る重大な『意味』を持つものとなってしまった。
そして同時に、アルベルトは『無意味なことすんな』と言った父を『勘違い野郎』にする『悪い子』にもなってしまった。『この天体観測、意味あったじゃねーか!』と。
……ラファウは、アルベルトが『観測のために帰ってくる』ことも織り込み済みでやったんだろうか……だから帰ってきたアルベルトに、驚きもしないであんなに冷静だった。
ラファウはアルベルトに言ったんだよね。『なにがあろうと、君の好奇心を否定しない』と。
『奴隷』に『暴走するご主人様』は止められない。止められる存在があるとすれば、それは『ご主人様』が崇める『神様』しかいない。
アルベルトを殺さなかったこと、『好奇心の奴隷』としては一見矛盾している。
だけど彼の好奇心は、熱心な『宇宙の信仰者』でもあった。
アルベルトが『神様(宇宙)』への『好奇心』のために帰ってくるならば、さながらアルベルトは神様が遣わした『天使』。
『宇宙の信仰者』として、アルベルトの帰宅を『神様の思し召し』として見たのなら、つまりラファウにとって、アルベルトを殺しもしないであっさり捕まることは『まったく矛盾していない』ことになる。
アルベルトを遣わした神様が、『もうやめなさい』と言っているから。
人をあやめてしまったラファウは、たしかに『好奇心の奴隷』だったのかもしれない。
だけどアルベルトを殺さなかった彼は『奴隷』なんかじゃない。身も心も、愛する神様に捧げた『信仰者』だった。
ラファウの『親心』
ラファウ、『好奇心』という怪物によって、『人の心』失ってること自覚してたのかな……誰かに止めて欲しかったんだろうか。
だから『信仰(宇宙)』に救いを求めた?
アルベルトパパって、ポトツキさんそっくりなんだよ。ポトツキさんも、かつては『自分の好奇心』のために捕まった過去がある。だからラファウには、大学進学を人質にしてまで『天文やめろ。神学にしなさい』と必死だったわけでしょ?

アニメ チ。-地球の運動について- 第2話 今から、地球を動かす
人には『歴史』がある。『過去の体験』が『今の行動』に繋がっているのなら、アルベルトパパが異様に『好奇心』を恐れるのも、ポトツキさんみたいに自分の『好奇心』によって痛い目に遭った『過去』があったからじゃないの?
だから息子に『好奇心を捨てろ』と教えた。やり方はどうあれ、我が子への『親心』だったのは間違いない。
そんなアルベルトパパを殺害するって、ポトツキさんを殺すも同然じゃん……
もしかすると、こんな事件が起こらなければ、いつかアルベルトパパを殺害するのが、『ラファウの教育』によって『好奇心の奴隷』に育ったアルベルトになってた可能性もあるのか……?
はたまた、アルベルトが『好奇心』のために自分の命を捧げて死ぬか……まるで、フベルトさんの『命を賭けることにこそ直観を信じる』という『教え』によって、『自分の命』を捧げたラファウのように。
そういう意味では、先にアルベルトパパをやっちまったのも、あっさり捕まって消えることにしたのも、ラファウのアルベルトへの『親心』と言えんこともない……???(歪んでる)
なんにせよ、ラファウにとって『暴走する自分の好奇心』を止めてくれたのが、自分が『知』を授けたアルベルトの『好奇心』ということになる。
かつて、『好奇心の奴隷』として1度死んだはずの少年が、大人になり、最期は教え子のおかげで『神様の殉教者』として消えた。
それで終わるなら、ラファウも『本望』だろうか。
それでは今回はこの辺で。最終回考察、まだ続きます。
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アニメ『チ。-地球の運動について-』第25話 最終回『?』感想と考察その3 アルベルトの進む道は? 全方面幸せになる方法
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アニメ『チ。-地球の運動について-』第25話 最終回 『?』 感想と考察その1 好奇心の奴隷VS知性の奴隷 ラファウの正体