アニメ進撃の巨人70話『偽り者』感想と考察【ファイナルシーズン】
アニメ進撃の巨人ファイナルシーズン70話(11話)『偽り者』の感想と考察。
今回はタイトル通り、あっちこっちで自分を偽ってる人だらけの回でした。
原作漫画の大きなネタバレは枠で囲っていますが、そうじゃないところでもしれっと混じってることがあるので、アニメ派の方はその辺承知の上でお願いします。
ガビファルコ脱走で起こったミラクル
いきなり撲殺から始まった70話。(※まだ死んだと決まったわけじゃない)
『もう誰も信じられない』と言っておきながら、『あの島には悪魔が住んでるんだよ』という『大人達の教え』を信じてる偽り者がここにいるな……
『マーレを裏切ったのかジークを問いただしたい』のは、『ジークをまだ信じたい』ってことなんだよなぁ。この子を裏切ったジークは罪深い。
それにしてもここのガビ、言ってることメチャクチャだし、『過去になんかあったんかい』ってくらい強迫観念に駆られてる感じがする。マーレの洗脳教育が効いてるね!
なんかこの子がここまでわめき散らすのって、人一倍『見えない悪魔』に対する『恐怖心』が強いからなのかなぁ……『弱い犬ほどよく吠える』と言いますし。(もしやライナーママが色々びびらせること吹き込んでないやろな……)
知ってしまえば恐怖心なんて消えるのに、知ることそのものが怖くて、知らないままでいようとしてる感じでしょうか。
そういう意味ではこの子、まだまだ『弱い子』なんだよね。そんなガビを放っておけないファルコ、強い子すぎる……
カヤ登場で、ブラウスさんちへ。
しかしまあ、よりにもよって、自分が殺した人の実家に助けられるって、どんなミラクルだよこれ。
一家の、ものすごく可哀想なものを見る目……
そんだけすげぇ怯えてるのが、この場では逆に役だったっちゃあ役だったんだろうけど……
食事出してくれたり優しい言葉かけてくれるブラウス夫妻にめっちゃびびってるけど、これ『悪魔に怯えてる』んじゃなくて『優しさに怯えてる』んだよなぁ……
ガビがホントに怖いもの
マジで刺さってたらその後どうするつもりだったんだろうね。
そんだけ頭が回ってないって、これ、相当メンタルやられてる? イライラして、攻撃的になってるし。
なにしろガビ的には、ほんの数日前のレベリオ襲撃でウドとゾフィア、知ってる人が目の前で死にまくり、その後、殴られまくってとっ捕まって脱走したものの、そこは『残虐非道な』悪魔の島。恐怖心で食事もロクに喉を通らない。信じてたジークには裏切られるし、自分はこれからどうなるんだろう、もうお家に帰れないんだと怯えながら暮らしてるわけだし……そら、メンタルやられるよ……(だからといって、人を刺そうとするのはアカン……)
でも、そういう風に自分のメンタルを追い詰めてるのって、結局自分なんだよなぁ。『素直な目』でみりゃあ、看守さんといい、ブラウス一家といい、出会ったのは『親切な人』ばっかなのに、『恐怖心』に目を曇らされて、本来ガビが持ってる『素直さ』がどっか行っちゃってる。(『本来の自分』を見失わずにいるのがファルコ)
めちゃくちゃ怯えてるけど、その『恐怖心』って、『島の悪魔』に対してじゃないと思う。
ガビ的には、この島の住民は『残虐非道な悪魔』じゃなきゃいけないんですよ。でなきゃ『これまで信じてたもの』が全部壊れるってことになる。
そしてその『信じてたもの』は、全部『自分が信じていた大人達』から教えられてきたことでして。
この子、ジークのことですら『裏切りは本当なのか問い詰めたい(まだ信じてる)』と思ってるくらいだから、『これまでの自分と自分が信じてた大人達を全否定する』のはかなり怖いだろうし、その現実からも逃げたいだろうね……(農具で刺そうとした時、『やっぱ悪魔だ!』って逆に安心したような感じすらするからな……)
元々『マーレの教え』に疑いを持っていたファルコがいなきゃ、この子、すでにどっかで自爆してたろうな。ファルコ、お前はもうガビを救っている。(;ω;)
大人のカヤちゃんと気まずいガビちゃん
『マーレにひどいことされたから俺達もマーレにひどいことしていい!』と言わんばかりにマーレの民間人の建物を爆破する大人がいる一方で、『あなたはたまたまマーレに生まれただけ』と、一切責めることなく(そもそも『責める』理由すらないと思ってる)マーレから来た子に親切にしてる子供がいる。
ガビちゃん『あなた達の先祖はひどいことした』と、まるでカヤを『自分とは別の生き物』みたいに言ってるわけですが。(『世界』からみりゃあどっちも同じエルディア人なんですけどね)
ブラウスさんの言葉が『南方マーレの訛り』と早々気づいた時点で『自分の故郷(マーレ)にルーツを持つ者』と察したんですよね。
そもそも『文字』や『言葉』って『文化』だから、それが『同じ』時点で『別の生き物』なわけがないんやでガビちゃん……
『私はすべてを正しく認識している』と言わんばかりに散々罵っておきながら『その島の住民がどういう暮らしをしている』といったことは、考えたこともなかったんだろうなぁ。
『たまたま島で生まれただけ』の人達を『悪魔め! 皆殺しにしてやる!』と言ってた自分を、カヤは『あやまるのはおかしい』『マーレで生まれただけなのに』と助けてくれるんだから、そりゃあ気まずいよなぁ……
しかしカヤちゃん。『身を挺して助けてくれた』の後で『お姉ちゃんが生きていたら』なんて言うと、ガビとファルコ的に『おねえちゃんは巨人と戦ったその時に死んだ』って勘違いしちゃうよ。
カヤ的には、『おねえちゃんのためにもこの子達を助けてあげなきゃ』とガビ達に接することで、少しずつ明るさを取り戻していったというのに、その『おねえちゃん』を実はガビが……だもんな。後か先かの違いなだけで、間接的に救ってくれた恩人を●したようなもん……
この先堪能するフルコースが地獄になるのは当然やった……
『偽り者』のエレンとへーロスさん
たしかに『事実だけ』を見れば、フロックらの言ってることは正しいんだよなぁ……でも、手に入れた『勝利』って、『目先の』わかりやすい勝利であって、『さらにその先』に起こるであろう問題までは考えてなさそうに見える。(いや、ある意味『その先』を見据えてのこの行動だったんだけどね)
とはいえ、前回69話のコニーが『エレンの目的がジークと同じだったらどうすんだよ』と警戒してた通り『ジークの企み』と『エレンの真意』が判明しない以上、『エレンとジークを会わせるのは危険』というのも事実なんだよなぁ。
兵団にしてみれば、フロックのいう通り『エレンに島を救う意思がある』というのなら、『エレンが黙ってる理由』なんてないはずなんですよ。目的が時間稼ぎなら、そう言えばいいだけのことだし。
仮にエレンになんか企みがあるんだとすれば、芝居でもなんでもいいからなにかしら理由を説明して、協力的に振る舞えば、兵団もジークに会わせて地鳴らし実験の準備に入っていたかもしれない。そういう意味では『だんまり』決め込むのはマジで損しかない。
だから兵団も義勇兵を疑うしかないわけで。
エレンが『だんまり』してるって、なんか『俺を信じちゃダメです。疑ってください』と言ってるようなもんなんだよなぁ。ある意味、兵団はエレンの意図を汲んでちゃんと疑ってあげてるみたいや……エレン、いっそ誰かに食われたかったの?
そうだとすれば、エレン的には前回のハンジさんに対して『なんで上層部に報告せぇへんねん!』と思っちゃいそうだなぁ……(;ω;)
しかも皮肉なのが、エレンを『救世主だ!』と言って盲目的に信じてるのが『エレンをまったく知らん人』ばっかで、今、エレンを一番疑っているのはエレンをよく知ってる人。
しかも、そのエレンを『勝利をもたらした英雄』『未来の希望』として利用もしてるのが、ただいまエレンを絶賛疑い中の兵団という皮肉。
なんかエレン、マーレのへーロスさんみたいやな……『中身からっぽ』で『傷一つない』銅像を『英雄だ!』と称えていたマーレのパラディ版みたいな。このへーロスさんも『偽り者』だった。
『偽り者のへーロスさん』がエレンなら、『本物』の『英雄』はこの世にまだ現れていない。
諸悪の根源:謎資源
氷瀑石を使った世界初の飛行艇がやってきました。
そしてそのタイミングでシガンシナから住民強制退去って『これから地鳴らし実験始めるよ~』の合図ですね。
今では会長という立場のフレーゲルくんがせめてもの救いなんだけど、その想いに応えてあげられず、『偽り者』になるしかないのがハンジさん的にお辛いところでしょうね……どっちかっつーと、自分に正直に生きてきたはずの人なのに。(でも誰も責めず『すべて自分の責任』と言っちゃうのはハンジさんらしい……)
『自分らしく生きられない』って、今のエレンと同じですね……
さて、謎の資源『氷瀑石』ですが。そもそもこの『氷瀑石』なんだよなぁ。諸悪の根源って。
たしかに『巨人』も『諸悪の根源』ではあるんだけど、そもそもマーレが急に島に目をつけたのが、この『謎資源ゲット』のため。『世界を救う』は大いなる建前なんだよなぁ……(その『大いなる建前』を盲目的に信じ込んでるのがガビ)
逆に言えば、こんな資源さえなけりゃあ、島を襲撃することに『なーんのうまみもなかった』んですよ。だから『捕まえたエルディア人を巨人に変えて放り出す』という、まるでゴミ捨て場みたいな使い方しかしてこなかったわけで。
『始祖の巨人』だって、奪ったところで、その力を引き出せるのは『王家の血筋』だけだし、すでに『巨人の力は終わりだ』と言われてる時代だから、やっぱり『謎資源』以上のうまみは島にはない。
この氷瀑石のおかげで立体機動が生まれ、巨人と戦う力を手に入れたわけだけど、同時に世界中から狙われることにもなったという皮肉。壁の王的にも、この『氷瀑石』さえなければ、民をずーっと壁の中で飼育出来ただろうに。
氷瀑石のメリット
・立体機動の動力源
・ヒィズルと資源取引
氷瀑石のデメリット
・世界中から狙われる
世界からすりゃあ、住んでるのは悪魔の民族だし、人口も戦力もたいしたことないから、ヒィズルみたいに取引きなんて面倒なことするより、皆●しにして根こそぎ奪い去るほうがずっと手っ取り早いと思うよね……(しかもそれを一番やってたのがエルディア帝国)
そういう意味じゃあ、ヒィズルは島民をよっぽど人間扱いしてくれてる。地鳴らし巨人と将軍家の末裔(ミカサ)の存在もあるのかもしれんけど。
もうデメリットがメリットを上回るくらいなら、いっそこの謎資源爆破しちまえって思うな……
まあ、それでも世界が攻撃することを止めなかった場合、戦う力がなくなっちゃうし、ヒィズルにも逃げられちゃうから、それもそれで難しいけど……(『資源なくなりました』って証明すんのも難しいし)
この謎資源といい巨大樹の森といい、この島、やっぱ巨人パワーの何かがありそうなんだけど、明かされるんだろうか?
ミカサとルイーゼ
ところでルイーゼ、ミカサが懲罰房に入ったこと知ってるのって、ここに来るまでの雑談か何かで知ったの? それとも自分で勝手に調べて知ったの?
後者だとすると、ちょっとストーカー気質でこえぇな……『同じ房じゃなくて残念』ってどーゆーことよ!
このくらいの年頃の子って、エネルギーが有り余ってるし、根拠はないのに『自分は正しい』『なんでも出来る』と思ってるとこあるからな……ルイーゼからは『そういうお年頃感』がにじみ出てるよ!
なぜか『私はミカサさんの理解者です!』みたいな面構えだし……ミカサ的にこれはモヤる。
それが『いい方向』に向かうと『未来への希望』になるんだけど、『悪い方向』に向かうと現実でも起こった凄惨な事件起こすグループみたいになったりするから怖いんだよなぁ……
それを正しい方角に導くのが大人の役目なんだろうけど、その大人も『正しい方角』がわかんなくて、導きたくても導きようがない状況ってのが辛い。
ミカサ、はじめてのエレン
それにしても、ミカサの頭痛と一緒に、『はじめてのエレン』をこのタイミングで思い出したのってなんでだろう? 誰か記憶送ってない?
うーん『ルイーゼとのはじめまして』を思い出して、『はじめてつながり』で思い出したのか?
ミカサとルイーゼとの出会いと言えば、ミカサが巨人をぶった切った時ですね。で、ミカサとエレンとの出会いと言えば、エレンが人をめった刺しにしてる時……
いや、どっちも『自分の危機を救ってくれたヒーロー!』と言っていいはずなんだけどさぁ……『かっこよく化け物退治』して救ってくれたミカサはヒーローだけど、エレンのほうはなんつーか……うん……
現場を知らん人が『人さらいから助けてくれた』という部分だけ聞いたら『運命の出会い!』とか『お姫様を救った王子様!』とか言うかもしれんけど、ちがくね?
『救出』だったら『人さらいの隙をついて連れ出す』の方面で考えるだろうに、事前に凶器用意して、●す気満々で乗り込んできとるんやで……どう見ても『ヒーロー』じゃなくて『殺人鬼』やん……(自分やったら怖すぎて、一緒に暮らすとか無理っす……)
その事実を思い出したのって、『ルイーゼが見てるミカサ』が、『かつての自分が見ていたエレン』と同じに見えたからかなぁ……『あなたのおかげで力がなけりゃ何も守れないと悟りました!』なんて、まんま、エレンの『戦わなければ勝てない』の言葉に覚醒した時のミカサですやん。
兵団のほうは、『9歳にして人さらいを殺した』という事件を知って『こいつの人間性ヤベェ』と『問題の本質(生育環境に問題のない9歳の子が凶器用意して人を殺せることに問題がある)』をきちんと見抜いていた。
でもルイーゼがその話を聞いたら『9歳にして人さらいに立ち向かうなんてスゴイ! ヒーロー! それがわからない大人ってダメね☆(※裁判当時のミカサと同じ)』と『悪い意味で前向きに』エレンを解釈しちゃいそうなんだよねこの子……
ミカサも、エレンがマフラーを巻いてくれたことで『自分を助けるためにあんなことしてくれたんだ』と『良くも悪くも前向きに』エレンを解釈したんだよなぁ。(そうでもしなきゃ、一緒に暮らすとか無理……)
そしてルイーゼも、ミカサの敬礼を見て都合良くミカサを解釈した。あの時のミカサは、単にリアクションに困って、とりあえず敬礼しただけに見えるんだよ……
それに『勝者しか生きられない残酷な世界』っていうのも、『人さらいを殺した時のエレン』が教えてくれたことで、そしてそれを『盲目的に』信じていた。そして今、ミカサを都合よく解釈したルイーゼがそれを信じてる。
でもそれって『人類は壁の中だけで外には巨人しかいない』と思っていたからであって、今も本気でそう思っているとしたら『でも、仲良くなれたマーレ人もいる』なんてこと言わずにエレンを全肯定してもいいはず。
この世界が『勝者しか生きちゃダメな世界』なら『1人以下になるまで勝ち続けて初めて生きることが許される世界』ってことになり、『お前の父ちゃんと母ちゃんは弱かったから生きることが許されなかっただけ(訳:弱いのが悪い)』ってことになっちゃうよ!(『生き方を教えてくれてありがとう』『マフラーを巻いてくれてありがとう』がなんかすげぇ皮肉に思える……)
今のミカサは、壁の外の世界を知ったことと、レベリオ襲撃やサシャの一件で『エレンが教えてくれたこと(残酷な世界)』や『今まで自分がエレンだと思っていたエレン』に疑問を抱いてるんですよ……この辺はミカサだけでなく、アルミン達もそう。
『ミカサをロクに知らないはずのルイーゼが見てるミカサ』と『かつての自分が見ていたエレン』が『同じ』って、それもう『エレンのことまったくわかってない』ってことジャン。ずっと一緒に暮らしてたのに。
ルイーゼという、かつての『都合良くエレンを見ていた自分』をきっかけに、『人さらいめった刺しにしてるエレン』を思い出したのは、この記憶こそが『エレンを理解するための一歩』として重要な記憶ってことなんでしょうね。
そして『人さらい』を殺して『もう大丈夫だ。ミカサ』って、これから起こることの予兆でもあったね……
誤算製造器のガビとファルコ
その頃のマーレ。
みんなガビとファルコ助けたいで一致してるって、愛されてんなぁ。
ライナーもすごくもっともらしいこと言って攻撃急かしてるけど、これって『島への攻撃』よりも『一刻も早くガビとファルコを救出したい』が本音ですよね。これは偽り者……
逆に言うと『ガビとファルコが飛行船に乗り込む』なんてことしなきゃあ、マガトさんが言った『攻撃は半年以内』に、みんな普通に賛同してたと思う。エレンもそう思っていたから『しばらく攻撃はない』と飛行船で言ったわけでしょうし。
ホント、ガビとファルコって、あっちこっちの方面で最大級の『誤算』を生み出した存在だよなぁ……どんだけ愛されてんのこの子ら。
* * *
それでは今回はこの辺で。おもろかったら下にあるイイネボタンを押していただけると元気と勇気とやる気が湧いてきます(*´ω`*)ノ
↓次の考察はコチラ
↓前回の考察はコチラ
↓アニメ69話の考察はコチラ