烏は主を選ばない あせびと雪哉 出自比較 それは愛かエゴなのか【感想と考察】
『烏は主を選ばない』感想と考察。今回は原作やコミック版で語られた、あせびと雪哉の出自についてです。
あせびと雪哉の出自の対比、雪哉ママはなぜ無茶を承知で雪哉を産んだのか、果たしてあせびは『かわいそうな子』なのか、好き放題に考察しています。
- 個人的な感想と考察です。考えるだけなら自由だ!
- 現時点で原作は2巻までしか読んでいません。予想や考察はすべて2巻時点の情報を元にしたものなので、心優しい原作勢の方はあたたかく見守ってあげましょう
あせびと雪哉の出自
『周囲の自分に対する扱い』で、あせびと対比になっていたのが長束さまだったけど、出自に関しては、あせびは雪哉と対比になってるね。
男からの『繋がり』を拒むために平然とあせびを産んだのが浮雲。夫との『繋がり』が欲しくて無理して雪哉を産んだのが雪哉ママ。
血の繋がる母に愛されなかったのがあせび。血の繋がらない母に愛されたのが雪哉。
名前も、雪哉は親兄弟と同じ『雪』の字をもらったけど、あせびは名前すらもらえなかった。『繋がり』を求められなかったから。
そして高貴な血筋だったから求められ、家族のために『ぼんくら』やってたのが雪哉だけど、身分の低い血筋で家族からは求められず、自分のために『無知な子』やってたのがあせび。
雪哉は『ぼんくら』をやることで自分が損をしてでも家族の幸せを守ったけど、あせびは『無知な子』やることで、自分だけが幸せになり周囲を不幸にしまくった。
それは愛かエゴか
雪哉ママはアニメでは語られず、コミック版では雪哉視点で語られていますが、たしかに病弱なのに無理して雪哉を産んだのは『親のエゴ』だったかもしれない。
だけど雪哉ママは、愛する人との『繋がり』が欲しくて雪哉を産んだと思うんだよね……
本当ならこのまま何も残すことなく死ぬはずだった自分が、いきさつはどうあれ好きな人と夫婦になり、おかげで体調も良くなってきたわけじゃん?
なのに自分の知らん間に愛する夫が別の女(梓)と結婚しとるわ、子供(雪馬)産まれとるわ……自分が病で寝ている間、夫は他の女と子供作ってキャッキャしてたってことでしょ? そら殺意沸くわ。
でも彼女が怒り狂ったのは、『側室を作ったこと』じゃなくて、『自分をないがしろにされたこと』だと思うよ……彼女を怒らせたのは梓ではなくダメ夫。
跡継ぎ問題なんて本人もわかっていただろうし、せめて事前に話し合ってくれりゃあまた違っただろうに。けど、それすらなかったって、もう夫婦じゃないよそれ。
全部事後報告だなんて、『北本家との繋がりはもう出来たんであんたはとっくに用なしです。新しい妻と子供も出来たんで、いい加減退場してください』って言われてるようなもんじゃん。もしかすると、『北家の後ろ盾欲しさに夫は自分と結婚した』ってこと、知らなかった……?
結局、夫は『北本家の血』と結婚したのであって、『自分との繋がり』なんてどうでも良かったんだと思うと、孤独の海に突き落とされた気分だったろうな……まー、雪哉そっくり。
しかも、長生きすればするほど、周囲からは『まだ生きてんの?』『まだ死なないの?』と困られるって、悲しすぎるやろこの人。
愛する人から『存在を忘れ去られて生きる』くらいなら、たとえ親のエゴでも『自分の存在の証明』を残して死のう。それで産まれたのが雪哉じゃないの?
『化けて出てやる~!』って呪いながら死んでもよかったのに、それでもダンナのことが好きだったんだろうか……とりあえず全方面に『いい顔』して、女房子供に代償を押し付けた雪哉パパは、グーパンで殴られていい。
肝心の雪ちゃんがまだまだおこちゃまで、実母の苦悩を思いやれないのが悲しいところだけど。
『自分のせいで寿命を縮めた』と、自分を責めてるのかもしれんけど、その逃避のためにかあちゃん悪者にしちゃダメよ雪ちゃん。
方やあせびは、『男避け』のために生まれたと思われる。
今上陛下の寵愛から逃れるために、適当な男との子をポンっと産んだんだとすれば、完全に『男からの繋がりを拒むため』だよね……これこそが真の『親のエゴ』。
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あせびは『かわいそうな子』だったのか?
雪哉と比較してみると、あせびって『かわいそうな子』なのかもしれない。
だけど、母親から継承した『特性:サイコパス』を存分に発揮し、『かわいそうポイント』をことごとく自分の武器として有効活用してるから、まったく悲愴感がない……いや、すげぇよあんた。(白目)
それが出来てるから、あせび本人は『自分が不幸』と思っていない。なぜなら、うこぎといった周囲の『やさしい人』が、あせびの不幸な出自を隠してくれているから。
それってむしろ『幸せな子』なのでは?
しかし、幸せなのは本人だけだった。
自分が『幸せ』でいるために、人の『やさしさ』を食い物にした。
結果として、あせびの不幸な出自を隠したうこぎの『やさしさ』が、桜花宮で事件を起こす『口実』として悪用されたという……
あせびの大好物
果たしてあせびは、本当に『自分の出自』のことを聞くために嘉助を呼び出したんだろうか?
『隠さなきゃいけない出自』なんてロクなもんじゃない。知ってしまえば『不幸』になるかもしれないから。
あせびって、こういう『不幸』をうまいこと回避しながら生きて来たんじゃない?
コミック版では、結局母親のことはうこぎから聞き出していたけど、でもうこぎなら、絶対配慮してくれるし実際そうだった。
『不幸な出自を隠した』ことで、あせびを利用したのが東家当主だったけど、『やさしさ』からあせびの不幸な出自を隠したのがうこぎ。
そういった『やさしさ』が、あせびの『大好物』だった。
では、嘉助なら?
アニメ版の嘉助見て改めて思ったけど、嘉助って、あんまり頭よろしくなさそうだし(失礼)、あせびに聞かれたら、知ってることをそのまんましゃべりそうな気がする……良くも悪くも『素直』そうだし。
『嘘をつかない正直者』と言えば聞こえはいいけど、言わんでもいいことまで『正直』に答えるデリカシーのない人って感じ?
それって、あせびにとって『不都合』なんじゃないの?
あせびが嘉助を呼んだワケ
あせびって、むしろ嘉助には『消えてもらいたい』と思ってたんじゃないかな……『二の姫さまとは相思相愛』と勘違いしてる節があったし。
いくら呼ばれたからって、声もかけずに『姫さまの寝所に入る』はねーわ!
コミック版では、割とがっつり双葉を襲ってるし、真赭の薄にも触れようとするし……いくらあせびと勘違いしてたとしても、まずは声をかけて、相手の反応待ってからじゃないの……? いきなり襲いかかる?
そのせいで双葉は引きこもりになったんだけど?(白珠とホントに相思相愛だった一巳ですら、そんなことしないぞ……)
『自分はそれが許される』と思ってたってことだよね?
もしかしてあせび的には『ペットで遊んでた』だけのつもりが、いい加減、嘉助の勘違いがウザくなって、始末してもらうために双葉襲わせたんじゃぁ……???
そして嘉助は、仕事もあんまり出来る人ではなかったみたい。
アニメ版での若宮さまの証言によると、いきなり行方不明になったにも関わらず『仕事が辛くて逃げた』と思われてたらしい……つまり、誰からも心配されなかった。
『いなくなっても困らない人』だったから、あせびは嘉助を選んだというわけですかね? いや、本来は『死ななきゃいけないほど悪い人ではない』と思ってるよ? うん。(弱すぎるフォロー)
じゃあ嘉助に関しては、完全に呼び出す『口実』に母親を使っただけで、最初から真赭の薄を潰し、ついでに嘉助にも消えてもらうことが目的だったんやないかな……(残酷な現実)
まあ、嘉助の抹殺には成功したけど、肝心の真赭潰しは未遂で終わって、あせび的には最後まで『仕事の出来ないヤツ』だったってことか……(白目)
もし嘉助が人の姿のまま●されて関係を問われたとしても、死人に嘴なしで『付きまとわれて怖かったんですぅ~! まさかここまで追って来るなんてぇ~!』って泣きながら証言したんだろーなと思う……(悪魔やん)
あせびって、『自分の幸せ』のために、これまで徹底して『他人のやさしさ』を食い物にしてたけど、果たして若宮さまの『やさしさ』は呑み込めたのかね?
あせびにとっての『やさしい人』って、『自分を甘やかしてくれる都合のいい人』のことだもんな……
若宮さまの『冷たいやさしさ』は、食べてもおなか壊すかもしれない。
それでは今回はこの辺で。
次回はあせびと白珠の男対決です。なんかあせびばっかりになってるな……
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