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進撃の巨人 エレンとフロック、結びつけたのはイェレナか?すれ違う2人考察!(137話時点)

進撃の巨人アイキャッチ

今回はエレンとフロックに関するご質問が来たので、その考察をば。それはそうと今回の考察アイキャッチ、フロックが背後霊みたいになったけどまあいっか。(いいんか)
いつも気が付くと長くなるんで、今後は長くなりそうだったら単独で記事あげようかと思います。

  • エレンとフロックの関係性はどう見えていますか?
  • 共に『恐怖』と『不安』に突き動かされ『希望』と『絶望』で盛大にすれ違ってる関係に見えます

NNさん、感想と質問ありがとうございます!(*´ω`*)
『なぜエレンがフロックのことを選んだのかピンとこない』とのことですが、たしかにこの2人、絡みが少ないんですよね……
だからもう、状況的なものから想像を働かせて考察していきましょう。
なお、個人的な見解なので『この人はそー解釈したんだなー』程度に見てってください。(毎回そうだけど)

エレンとフロックおさらい

まずはエレンとフロックの関係のおさらいから。(過去の考察と所々かぶってるかも)
この2人といえば、シガンシナ決戦のお注射事件ですよね。
フロックはそれ以前も顔見せ程度に登場してたけど、どっちかというとジャンと絡んでたし。
エレンとは『顔を合わせたら挨拶くらいはするけどそこまで親しくないクラスメイト』って感じ。
で、この二人が作中でまともに絡んだのがお注射事件と勲章の受章式。

フロックからしてみれば、例の特攻で、一番びびってた自分だけが生き残ってしまうという『なんで? どーして?』状態。
そんな中で見つけたエルヴィンに『これが俺の使命だ!』と意味を見出すのはまあ、当然っちゃあ当然で、この時のエルヴィンは、フロックにとっては『自分が生き残った意味』という『希望』だったんですよ。

進撃の巨人84話[ 諫山創 ]

進撃の巨人84話[ 諫山創 ]


ところが、エレンとミカサは『余計なことしやがって!』と言わんばかりに抵抗するし、ジャンとコニーは敵対はしないけど味方もしてくれない。兵長も『エルヴィンに使う』と言っときながら、アルミンに注射を使っちゃう。
フロック的には、調査兵団の勧誘時といい、エルヴィンに兵長といい、大人にだまされたあげく、生き残ったことまで全否定されたようなもんで、すごく傷ついたと思う。(まあ『受け取り方』の問題であって、みんなだますつもりはなかったと思うし、1人だけでも生き残ってくれたことは嬉しかったと思うけどね……)
そりゃーフロック、兵長はもちろん、他のメンバーとも距離置いちゃうよね……

一方で、勲章の授賞式の時のエレン視点。
フロックは、言ってることは正しいけど、正しいだけで他者の気持ちには寄り添ってない。(この時のフロックにそこまでの余裕見せろってのは酷だけど)

進撃の巨人90話[ 諫山創 ]

進撃の巨人90話[ 諫山創 ]


エレンからすれば、エルヴィンやフロックに対して後ろめたさもあったし、フロックが言ってることも正しいってわかる。でもそれはそれとしてアルミンの前で言うべきことじゃないって点では腹立ててもいいと思う。
しかも、一番それを言うべき相手は兵長なんだよなぁ……『みんなそう思ってる』というのを後ろ盾に、立場の弱い相手を選んでる卑怯さも感じる。(もし生き残ったのがマルロだったら、自分が納得出来るまで兵長にひたすら噛みついたかなぁ……)

うーん、これらのシーンだけでも、この2人の好感度が上がる要素が見当たらない……
ミカサちゃんじゃなくても『あなた達、いつからそんな関係に!?』って、読者もビックリだよ!(『俺とエレンは協力関係』のカミングアウトも『ハッタリじゃねーか』と疑っちゃう程度には仲良し要素なかったもんな……)

2人の共通点は『孤独』と『絶望』

そんな具合に仲良くなる要素が見当たらないエレンとフロックだったんですが、勲章の授賞式の後から共通点が出てきたと思われます。『孤独』と『絶望』です。
いや、回りに人はいたけど、自ら孤独になりにいったというか。

エレンはグリシャの記憶で、外の世界でエルディア人がどんな差別を受けているかを見て、さらに未来の記憶で自分がこれからすることを知って色々絶望した。
でも仲間達は、外の世界を知り、義勇兵と交友を深めて希望を抱いている。一緒にいるけど、心はなんか離れてく感じ。

進撃の巨人106話[ 諫山創 ]

進撃の巨人106話[ 諫山創 ]


一方でフロック。こちらは、生き残った新兵は自分だけ、一応ジャン達同期はいたけど、そちらはすでに色んな経験を詰んでて自分とはなんか違う世界に行っちゃった感じだし、お注射の一件で深い溝が出来た。
後から入ってきた補充の兵も、シガンシナの戦いは話でしか知らないから、やっぱり気持ちを共有できるような人はいなかっただろうし。ハンジ団長も、兵長とエレンに近いポジションの人だから、心を開くのは無理だったでしょうね。
たぶん調査兵団の中でも孤立してそう。そこに目をつけたのがイェレナかな?

2人を結び付けたのはやっぱイェレナ?

イェレナは、直接エレンに会える立場じゃないし、無理に会おうとしてしくじったらすべての計画はご破算。だからエレンと会うにはどうしても『仲介者』が必要だった。
しかもその『仲介者』は、密会はもちろん万が一内容を聞かれても『絶対バラさない人』じゃなきゃダメだから、ハンジ団長やリヴァイ兵長といった、兵団上層部に近いアルミン達はまず無理。

そんなイェレナ的に、フロックは『ちょうどいいヤツ』だったんじゃないでしょうか。調査兵団の中でエレンと面識があり、なおかつ孤立しがちで、ハンジ団長とも兵長とも距離がある(重要)。
マルコのことすら知ってたイェレナだから、当然シガンシナの一件もリサーチ済みだろうし。そんな生きることに嫌気がさしそうな絶望体験したフロックなら、不安を煽れば協力してくれそう、なんなら『安楽死計画』にも協力してくれるとさえ思ったんでは。(その『絶望体験』させてくれた張本人がジークだけど、イェレナ、口がうまいからなぁ……)

進撃の巨人110話[ 諫山創 ]

進撃の巨人110話[ 諫山創 ]


フロック的にも、イェレナの頼みはなにか『自分が求められている』ように感じて魅力的に思えたのか、もしくは、色々絶望してやる気なくしてた中で『目的は知らんけど、まあいいか』程度の気持ちで引き受けたのか……この辺は不明ですが、なんにせよイェレナの頼みに応じた。
そして密会で、安楽死計画と例のお髭ワインのことを聞いてしまった。
進撃の巨人130話[ 諫山創 ]

進撃の巨人130話[ 諫山創 ]


でも絶望を抱えて生きていたフロックは、その話を聞いてすぐ『兵団にチクろうぜ!』とならなかった。この辺はイェレナの読み通り。
人って、『希望』がないとやる気起こさないからなぁ。ジークも『安楽死計画』が『希望』だったからがんばれたけど、それが潰えたからやる気なくして、お砂遊びでおヒマつぶししてたわけだし。
もしかするとエレンが『世界を滅ぼす』なんて『希望』を見せてくれなきゃ、『安楽死計画』も別に阻止しなかったかも……この子、絶望と一緒に無力感も抱いてそうだし。

一方でエレン。
イェレナとの密会で安楽死計画やら兵団のヒストリアにジーク食わす計画、そして例のお髭ワインのことと色々知ったわけですが、これをハンジさん達にチクったらどうなるかというと、まあ、まずは義勇兵拘束でしょうな。(お髭ワイン関係はこの辺でも考察してます)

でも結局、『地鳴らし』以外に島を守る方法はないって事実は変わらないんですよね。
兵団や仲間達が『外の世界との共存』を望む以上、やっぱヒストリアに巨人継承してもらう以外道はないだろうし、自分の始祖も誰かが継承することになる。
104期は真っ先に『自分が継承する』と言ってくれたんですよね……それってつまり、犠牲になるのはヒストリアだけでなく、104期やハンジさん達も、今じゃなくてもいつか巨人継承の犠牲になる可能性は大いにあるってわけでして。(『巨人継承』の犠牲にはならんかったけど『別の犠牲』になる人続出したのは皮肉……)

それを阻止するには、もう『世界に滅びてもらうしかない』と思い詰めちゃったかなぁ……そのためには、絶対に大人達(イェレナ含む)にバレちゃいけない。だってアルミンやミカサ、ハンジさん達はエレンが悪魔になることなんて絶対に望まない。

進撃の巨人112話[ 諫山創 ]

進撃の巨人112話[ 諫山創 ]

エレンかわいさに「だったら俺が悪魔になったらぁ」という過激派系保護者もいてだな……

フロックと違って、エレンは『仲間や大人達を信じていた』からこそ、黙って自分だけでやろうとしたのかも。(ホンマ、エレン回りは『いい大人』がそろいすぎや……)
でも1人でやろうにも、自分の不在中にイェレナが何しでかすかわからないんですよね。すでにワインばらまきなんてやらかしとるし……
となると『イェレナに手を貸すフリして見張ってくれる協力者』がどうしても必要。その時、そこにいた『ちょうどいい子』がフロックだったのかも?

エレン的に、フロックが悪魔を求めているってことはお注射の一件で知ってるし、ジークの手先であるはずのイェレナ連れて来たり、話を盗み聞きしたにも関わらず『兵団にチクろうぜ!』と言わない。『こいつなら兵団にバラさない』という意味での『信頼』を抱いたのか……?
フロックも、イェレナに反発したり、『兵団にチクろうぜ!』とならないエレンが、自分と同じく『大人を信じていない(大人に失望している)』ように見えたの?

『信じていた』から大人達に黙っていたエレンと、『信じていない』から大人達に黙っていたフロック。
そして同じ『絶望』を抱えていた者同士のはずが、皮肉なことに、エレンの決意にフロックが『希望』を見出しちゃった瞬間、『同じ』ではなくなった。
ということはこの2人、割と最初っからすれ違っていたのかも……

そしてイェレナにとっても、フロックは自分とエレンを結びつけるための『仲介者』でしかなかったはずが、同時にイェレナこそがエレンとフロックを結びつける『仲介者』になっていたというのもまた皮肉。

詐欺師のエルヴィンと正直者のフロック『心臓を捧げよ』の違い

ここからは、ちょっと違う視点からエレンとフロックを考察します。比較対象としてわかりやすいのがエルヴィン。
エルヴィンとフロックが使ってた共通の言葉といえば、『心臓を捧げよ』ですね。
同じ言葉のはずなのに、言ってる人によって全然違うものに聞こえるんですよ……

エルヴィンの『心臓を捧げよ』は、たとえ『嘘』でも『希望は本当にあるんだ』と思わせることで、人の中にある勇気や希望を奮い立たせた。
でもフロックの『心臓を捧げよ』って、人の中にある『恐怖』や『不安』を煽って、死に物狂いに戦わせるために使ってるんですよね。

進撃の巨人129話[ 諫山創 ]

進撃の巨人129話[ 諫山創 ]


例えるなら、同じ教材売りつけるにも、エルヴィンは、

「あなたのお子さん、医者になって人を救うのが夢ですよね。そこでこの教材。難関校に合格した生徒の半数が使用し、将来の夢を叶えています。将来の投資と思ってぜひ!」

なのに対し、フロックは、

「あなたのお子さん、このままでは医者どころか就職も危ういですよ。そこでこの教材。使わなかった子の半数は志望校に行けませんでした。お子さんを大きな負債にしないためにもぜひ!」

ってところでしょうか。この2人ならきっとトップ営業マンになれる!(消費者庁に通報だ!)
なんか島民やフロックの『心臓を捧げよ』にモヤるのって、その辺に理由があるんだろうなぁ……

エルヴィンは自分のことを『詐欺師』なんて言ってたけど、その『嘘』で、人を『勇気』と『希望』で動かしたんですよ……

進撃の巨人80話[ 諫山創 ]

進撃の巨人80話[ 諫山創 ]


そして『目に見えない希望』を『本当にあるんだ』と自分自身すらだましぬいて心臓を捧げた。それってもう『嘘』じゃなくて『真実』ですやん団長……(『嘘』というより『あるかないかわからないもの』と言ったほうが正しいか? そういう意味ではエルヴィンは別に嘘はついてないんだよなぁ)

でも、正直者で嘘をつかないフロックは、『目に見える本当のこと』を並べ立てて『不安』と『恐怖』で人を動かした。(なお、自分の目に見えていないものは『ないもの』として処理)
当のフロックも『俺が生き残った意味ってなに?』という『不安』と『恐怖』に突き動かされてた。
それってつまり、シガンシナ戦の特攻の時みたいに、『恐怖しかなかった』状態であって、『希望』のため戦ってるとはどうにも思えないんですよね。

進撃の巨人84話[ 諫山創 ]

進撃の巨人84話[ 諫山創 ]


たしかにいまわの際にエレンを『希望』だと言ったけど、当のエレンは『絶望』したから地鳴らしを起こしたわけでして……(『あの景色』がエレンの希望っちゃあ希望だったかもしれんけど、現実逃避に見えんのよね……)

エルヴィン団長時代は、ここが島だってことも壁の外に人類がいることすら知らなかったから『嘘を真実にする』ことが出来たけど、ハンジ団長の代では色々わかっちゃって『嘘を真実にする(あるかどうかわからない希望を信じ抜く)』ことが困難になっちゃったからなぁ。
だからある意味『正直者』のフロックのほうが支持されちゃった感じがする。多数の意見に流されるのが人間。(かつて『俺は正直者なんだ』と言ってたジャンがフロックの気持ちわかるのはなんかわかる気がする。強くなったよジャン……)

そしてエレンもフロックと同じ感じがする。グリシャの記憶でどんな迫害を受けていたか見ていたから、『島が滅ぼされる』という『恐怖』と『不安』がずっとあった。しかも未来の記憶まで見ちゃうし。
どんどん『希望を失った』ことで、エレンはフロックを『理解』できるようになったのかも。

エレン、フロックみたいなこと言ってるんですよね。『言ってることは正しいけれど、正しいだけで他者の気持ちに寄り添えていない』フロックと同じ感じがする。思いやりのある人は『支持出来ない』からと言って『否定までする』ことはしないんやで……(フロックはアルミンが生き返ったことを『否定』したけど、ハンジさんはアルミンに注射を使ったことを『支持はしなかった』けど『否定』もしなかった)

進撃の巨人106話[ 諫山創 ]

進撃の巨人106話[ 諫山創 ]


なんかエレン、悪い意味で『大人』になってしまったというか……サンタさんを待ち望む子に『サンタさんは×××××なんだよ』と『オレは大人だから知ってるんだぞ』的に言っちゃうクラスメイト的な……(『楽しみだねー』と子供に合わせるのが大人)
雰囲気変わってきたエレンに、フロックも『あれ? こいつ、俺と同じ意見じゃね?』と心が軟化したのか?

嘘つきのエレンは『希望なんてどこにもないんだ』と絶望して、自分自身をだましてなりたくもない悪魔になった。(『自分をだまして悪魔になった』って、エルヴィンと同じやん……)
正直者のフロックは、悪魔になると決意したエレンに希望を見出し素直に信じ抜いた。
フロックは『悪魔』の対象がエルヴィンからエレンに変わっただけで、良くも悪くも『巨人を滅ぼせるのは悪魔』の頃から変わってないのかも。

なんかこの2人、『このままじゃ島を滅ぼされちゃう!』『このままじゃ俺が生き残った意味がなくなっちゃう!』っていう『恐怖と不安』に突き動かされたって点では一致してそうだけど、フロックは地鳴らしに希望を、エレンは地鳴らしに絶望を抱いて行動してたって点では、盛大にすれ違ってたような気がします。エルヴィンとその仲間達は『希望と勇気』を抱き、同じ方角を目指して心臓を捧げたのに。

* * *

というわけで、エレンとフロックの関係考察でした。ご質問、ありがとうございました!
それでは今回はこの辺で。おもろかったら下にあるイイネボタンを押していただけると元気と勇気とやる気が湧いてきます(*´ω`*)ノ

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