アニメ『チ。-地球の運動について-』第2話 今から、地球を動かす 感想と考察 フベルトの命を賭けた大博打
アニメ『チ。-地球の運動について-』の感想と考察。今回は、第2話『今から、地球を動かす』となります。
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 完全に初見となります。心優しい原作勢は、あたたかく見守ってあげましょう
フベルトのやり残したこと
ラファウがチクったら火あぶり確定な状況下で、無事、賭けに勝ったフベルトさんだけど、フベルトさんの『やり残したこと』って、やっぱ『後継者がいないこと』だったんだろーなぁ……目も悪くなって、肉体的にも限界だったようだし。
今、解明されてることは、『たった一人の天才』が解き明かしたのではなく、『たくさんの天才達』の長いバトンリレーの末に解き明かされたもんだと思うんよ。
少なくとも、彼は『アンカー』ではなかった。
そこに天才・ラファウ登場でしょ?
そりゃあ『バレたら火あぶり』な研究を、まだ子供のラファウに託そうだなんて『悪魔の所業』かもしれないけど、『天文への情熱を持った1人の有望な研究者として見込んだ』という観点では、ラファウを自分と対等に見ている。
『神が作ったものはすべて美しい』と信じるフベルトさんにとって、この美しい巡り合わせはまさに『神のお導き』。その『導き』を拒むのは、むしろ不敬であると同時に、『自分の直感』を裏切ることになる。
フベルトの不器用なやさしさ
フベルトさんのすごいとこって、自分の大事な研究の命運をとことんラファウに委ねたってことだよね。
フベルトさんはあくまで『自分の仮説』や意見を『語った』だけで、それを聞いたラファウが『どう思うか』は、ラファウの自由意思に委ねた。『否定』されると怒り狂って訂正を強要する教会とは違う。
実際、『地動説』を聞いたラファウは最初は否定したけど、後で『正しいかも……』と思ったのは、ラファウ自身が考え、ペンを走らせた結果。
次の日もラファウは来てくれると信じてはいたんだろうけど、ホントに来てくれた時は、腹ん中でポールダンスするくらい喜んでただろうね……(何故ポール)
そして彼が追い求めたのは『正しさ』ではなく『美しさ』というシンプルなものだった。その点に関しては、ある意味『爪を剥がされて困るのは激痛』というシンプルな答えを求めたノヴァクと通じるもんがある。
なんにせよ『命がけの研究』を託すには、フベルトさんが善人キャンペーンでラファウを手なずけた末に『研究引き継いで☆』じゃダメなんだよ……だってフベルトさん、『ラファウの命の責任』取れないじゃん。
やさしい子の『善意』や『罪悪感』につけ込んで選択を強要なんてしちゃ、いつかラファウは『自分がこんなことしなきゃいけないのはあのおっさんのせいだ!』と、フベルトさんが命を賭けた研究を憎むようになる。
だからこそ、ラファウが選ばなきゃいけない。『選ばなかった』としても、なるべく『罪悪感』も『責任』も発生しないよう逃げ道を用意してくれるフベルトさん、やさしい!
こりゃあ絶対、ラファウをかばって死ぬヤツやと思ってたら2話でかーーーーーーい!
しかもシャバに出て一週間後にナレ死というあっけなさ……!
ノヴァク、脱力系いいかげんキャラっぽいフリして仕事熱心……!(失礼)
フベルトの一世一代の大博打
ラファウ、教えられたわけでもないのに、わずかなヒントで研究書を見つけてしまった。フベルトさんの手紙は別にラファウ宛てじゃなかったけど、ラファウが見つけてくれると信じてペンダントを託したんじゃないかなぁ……
フベルトさんは、初めてラファウに会った時こう言ったんだよね。『私はキミに利益を与えない』って。
ラファウの『利益』を考えれば、『神学』に行かせるべき。だけどフベルトさんは、『利益』どころか『命』まで危険にさらす『天文』に行くことを願った。
そして『これで研究が続けられる』『誰に何を言われても研究を捨てるつもりはない』とも言っていた。
なのに手紙には、『燃やしてくれ』と書いてある……
これもまた『賭け』なのかね? もしくは『神に委ねた』というべきか。
この研究書を見つけるのが、『いい子』か『悪い子』か。
『悪い子』を待ったフベルト
フベルトさんの研究が生きながらえるには、『教会の教え』に背く『悪い子』に見つけてもらわなきゃいけないんですよね。
『頼みを素直に聞いてくれるいい子』に見つかり、研究書が燃やされた瞬間、『賭け』に負け、神にも否定されたフベルトさんは本当に死んだことになる。
だけど『頼みを聞いてくれない悪い子』が見つけてくれたら、『彼の研究』は神の祝福を受けて生きながらえる。
たとえ肉体が死んだとしても、『研究』が生きてる限り、フベルトさんは永久に不滅です!(どこの巨人軍や)
それにしても、こんな誰が来るかわからんとこに、ドーンと置いとくとか、なかなかの賭博ジャンキー……
これもう、絶対ラファウに見つけて欲しかったんじゃん。ホントに見つけてくれた瞬間、賭けに勝った天国のフベルトさんはヒャッハーしながらブレイクダンスしてていい。
これで、フベルトさんの研究は生きながらえたか……
焼くんかーーーーーーーーい!
で、いきなり思いとどまって慌てて消すし。あっぶね! あっぶねーなお前!
これは……あとで重要な箇所が燃えてて読めないとかそういうオチになるヤツ来ますかね……?
『命を賭けることにこそ直感を信じる』というフベルトさんの言葉に従ったということは、『天文に命を賭ける』覚悟を決めたということか……
フベルトさん、期間が長かろうか短かろうが、ラファウにとって、人生に与えた影響はデカい人だった……
そしてなぜか、天文学の本が大量にあるラファウんち。ラファウが天文学に興味持ったの、そのせいなんじゃあ……?
ポトツキさん、さてはあなた隠れ天文スキー?
フベルトさんとの関係も謎だし、フベルトさんの引き受けをラファウに頼んだの、フベルトさんに会わせるためだったってのは考えすぎか?
勤勉ラファウと怠惰な羊たち
『悪いこと』や『やっちゃいけない』と言われてることが魅力的なのは、いつの時代も変わらんもんで。
なんか、食べ物もそうだよね。『体に悪いもの』はおいしい。
フグだって『食べたら死ぬ』のに、『食えるよう挑み続けたイカれたヤツがいた』ってことだよね……?
ラファウは『人より優れた頭脳』を持ってたおかげで、『人より上手に生きている』と思ってたようだけど、本当に『上手に生きてる』のって、コハンスキくんみたいな子なんだよね。
そもそも『12歳で大学に行く』って、それ自体が『普通とは違う困難なこと』じゃん。自頭がいいのはもちろんだけど、ものすごく『勤勉』だったんだと思う……
もちろん大学に行くことで『地位と名誉』を手に入れる足掛かりになるかもしれないけど、手に入るのは『豊かな暮らし』だけじゃない。『重い責任』もついてくるわけでして。
ぶっちゃけ、そこまでせんでも『幸せに生きること』は可能じゃん。
むしろコハンスキくん達のように、教えられたことを素直に信じ、仮に『おかしさ』を訴える人がいても『怠惰』にスルーし、『みんなと同じ』ように敷かれたレールに乗ってそこそこ幸せな人生を過ごす。これこそが本当に『上手に生きてる人』だと思う。
だけど『そういう人達』は、何も変えることは出来ない。『飼育されてる羊』だから。
時代を変えた悪魔たち
『飼育されてる羊』って、エサを探しに行く必要もなく、外敵の脅威もご主人様がなんとかしてくれるから楽だよね。
この環境って、むしろ『勤勉』なほうが損だと思う。ゴロゴロしながら『神様ありがとー。あいしてるー』って愛想振りまいてりゃごはんもらえるのに、『勤勉』であるが故に、それに満足出来ないんだから。
『怠惰な羊』からすりゃあ、バカだと思う。
だけど、『何かを変える力』を持っている。
『怠惰な羊』が何も変えられないのは、その命をご主人様に丸投げしてるから。
だからエサが減らされようが小屋が狭くなろうが放牧時間が減ろうが、彼らはその状況で生きることしか出来ない。せめてもの抵抗は、『マズいお肉』になって自らの価値を下げることくらい?(結局食べられてんじゃん)
ポトツキさんやノヴァクみたいな、神父さんやら異端審問官は『人間』なんだけど、この人達も何も変えることは出来ない。『羊』の世話をするよう命じられた『ご主人様の奴隷』だから。
彼らは、『従順な羊』はかわいがるけど、『困った羊』には鞭を振るい、しつけ、それでも言うこと聞かない『悪い子』は処分する。
だけど、どんなに一生懸命働いても、所詮は『奴隷』だから、ご主人様の気分ひとつでクビにされることもある。
そんな中で、フベルトさんはまさに『自由な羊』であり『自由な奴隷』だった。どんなに過酷な環境を強いられようとも思考を続け、たとえ奴隷であっても自分が信じるものは自分で選んだ。
神様を愛していたから、神様が創った美しい世界を知ろうとした。
自分の直観を信じていたから、ラファウをかばって火に飛び込むことを選んだ。
そしてフベルトさんから『地動説』を聞いたラファウが、『その世界』に引き込まれたのは、『それ』を理解出来る『優れた頭脳』と、好きなことを探求する『勤勉さ』を持っていたから。
根が勤勉な彼は、みんなと同じ『怠惰な羊』にはなれなかった。その結果、『チョロくない世界』に自ら足を踏み入れてしまった。
ではラファウやフベルトさんみたいなのは、本当に『愚か者』なのかと言うと、むしろ人類の存続に必要不可欠な『かしこい人』だと思う。
こういう人達こそが、時代を動かしたり、人類を宇宙にまで飛ばしたことは間違いないし。まあ、羊の世話係の奴隷からすれば、迷惑な悪魔なんだけど。
いつの世も、時代を変えたのは『自由』を手にした悪魔だと思う。
それでは今回はこの辺で。
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