進撃の巨人 画集 FLYと35巻『悪童』感想と考察 リヴァイとクシェル、思い出のティーセット
『進撃の巨人 画集 FLY』がついに届きました。でけぇ。
予約したのは2023年の11月だったっけ? 当時はずいぶん先だなーと思ってたのに、時が過ぎるのは早い。
中身はこんなん。
最終回原稿のレプリカ、セロハンテープや裏の汚れまで再現されてます。諌山先生って、原稿の裏も結構描いてんのね……
でも正直言うと、実物大の重くてクソ分厚い原稿とかグッズとか、その後の扱いに困る……センスある人はうまく飾るんだろうけど。
ちなみに地下室の鍵、南京錠とセットになってて、開閉も可能だそうです。おお、こだわってる!
もちろん「その鍵は机の引き出しの鍵で、地下室の扉は兵長が蹴り壊してなかったっけ?」ってツッコミは私やさしーからしないよ!(してる)
そして主役である画集(の、裏表紙)。ごつい。
今や『モノ減らしましょう』とデジタル化されてく時代に逆行して、重くて分厚い。
でもやっぱ、スマホで見るのと印刷されたB4サイズじゃ迫力違うなぁ。読み終わった後は、壁に取り付けた棚に置いて飾ることにしたけど、結構重量があるから、落ちたりしないか心配……
さて、開封の儀はこの辺にして、オマケ漫画の感想でも。書き下ろしは数ページで、残りのページは全部アニメ最終話のネームでした。
そういえば画集のインタビューに嘘表紙の話があったけど、この表紙は漫画本編とオチがちゃんとつながってます。オチではサンドイッチがほぼ完食されてたけど、ガビちゃん、涙ぐんでたわりにリヴァイがしゃべってる間バクバク食ってたね……?
- 個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
- 35巻未読の人への配慮はしとりません
- なお、当考察は原作最終回以降エレン・イェーガーさんに死ぬほど厳しいです
リヴァイの紅茶好きときれい好きの理由
35巻でようやく明かされたリヴァイの謎ですが、もう完全に母ちゃんの影響だったようで。(つうてもカップの持ち方自体は質問コーナーで明かされてたけど)
リヴァイママことクシェル、高級そうなティーセットといい、優雅な仕草といい、地下に堕ちるまでは、迫害されつつも『育ちのいいお嬢さん』だったってことか……お兄ちゃんはすっかりグレてやくざ者になっちゃったけど。
世が世なら『本家のお嬢様』やってたはずの妹が、地下に堕ちてるわ風俗で生計立ててるわ客の子孕んでるわ……そらケニーお兄ちゃん、元凶の壁の王恨むわな。
でも、復讐より先に、無理やりにでも地下からクシェルを連れ出してやってればなぁ……迫害がなくなるまでは、地下のほうが安全だったのかもしれんけどさぁ。(『別の危険』の配慮までは難しかった……)
クシェルの悔いなき選択
クシェルはお兄ちゃんや息子さんと違って、どうやら『か弱い女性』のままお亡くなりになったようですが。
クシェルだってアッカーマンなんだから、能力覚醒の可能性は持っていたはずだけど、たぶんこの人、『我が身の危機』では覚醒せず、それこそ『我が子の危機』でもない限り覚醒しないタイプだったんじゃあ?
身の上考えると、正直、クシェルもこの世のすべてを憎んで他人や子供に八つ当たりとかしてもおかしくないと思うんだけど、35巻読んだ限りではただの聖母にしか見えない……いや、私だったら幼子に高価なカップなんてこえーから、ダ●ソーのメラミンカップ使わせるよ……
でもこの人、『宝物は大事にしまっとく』のではなく、『宝物は大事な人と一緒に使う』を選択してる。
使わずしまい込んでたら、リヴァイにとってこのティーセットは、なんの思い入れもない『ただの金目の品』にしかならず、恐ろしいことに今のリヴァイがいなかったんだよね。(かといって、もしクシェルが能力覚醒してたら、今度はリヴァイが能力覚醒する必要がなくなって、そっちもそっちでパラディ島は詰んでたという……)
物理的にはか弱い人だったのかもしれんけど、『ボロは着てても心は錦』で、別の方面では相当強い人だったと思われる。
そして地下しか知らないリヴァイが、『自分はものすごく汚い世界にいる』と気づけたのが、そんな母ちゃんの『優雅な姿』ということは、彼がきれい好きになったのは、『優雅な母ちゃん』が住むにふさわしい世界にしようとしていたんだろうか。
『紅茶が好き』というより、母ちゃんと過ごした『優雅なひとときの空間』が好きだったんだろうなぁ。
アッカーマンパワー覚醒のきっかけ
さて、そんな母ちゃんとの思い出のティーセットを取り返そうとトラブル勃発。
たしかに、おっさん達の『これは俺らが買い取ったものなんだからどうしようと俺らの勝手』という言い分は正しいんだけど、それだって『正当な価格で買い取った』とは思えないんだよな……相手の立場の弱さにつけ込んで、二束三文で買い取ったんじゃないの? その結果、クシェルは貧しいまま亡くなって。
それなのに『自分らの正しさ』を掲げて『自分らの行い(子供●す)を正当化する』って、なんというエレン・イェーガー。(悪口)
そしてしれっと『いつもみたいに細切れにして豚に食わす』なんてセリフが出てくるとか、死体処理に悪用される豚さんかわいそうすぎる……そしてその豚さんの出荷先は?
出荷先がどこだろうと『人を食わされた豚さんを人に食わせる』って巨人と人間の関係みたいですげぇ皮肉効いてる。(巨人を食った人は巨人になり、巨人になった人は人を食う)
リヴァイがジークを嫌いなワケ
この、後でリヴァイが初めて●すことになる人、巨人みたいな顔してるね……初期の頃のリヴァイは巨人を嫌ってたけど、このおっさん思い出すからじゃあ……?
ドンコドンコって、しいたけ……???
これまで、リヴァイは『命の危機(身を守るため)』で覚醒したんだろなと思っていたけど、『クソみてぇな世界に抗うため』に、自らの意思で覚醒したと判明。
一方、ミカサはエレン(他人)の『戦え(命令)』で覚醒した。ミカサも十分強かったけど、リヴァイがそれより強かったのは、『自分の意思の力』の差だったんだろうか?(ミカサは最後の最後でエレン拒んで自らの意思で首とりに行ったけど)
それにしても、リヴァイは能力覚醒したとたん、素手で相手の顔面引きちぎってたわけだけど。
んー、十歳くらいでそんだけの馬鹿力あったってことは、普段はかなり手加減してたんだなぁ……固定された状態でリヴァイにガチ蹴りされてたら、歯ぁ1本どころか首飛んどったってわけだから……
そして最後の一人の眼鏡のおっさん。『ケニーの隠し子』疑惑はこのおっさんが元凶か……まあ、たしかにふつーは『もしや血縁者!? →親子』と思うわな。身長がこの先どうなるかなんてこの時点では知るよしもないし……
こんなセリフ出てくるってことは、ケニーの強さを見たことあるってことだよね? なのに仲間の暴挙をちゃんと止めないって、本当にマヌケだったんだなぁ……
このおっさん見てて、真っ先にクサヴァーさん思い出した。
クソなことしときながら、『君を救えるのは俺だけだ!』とか、『自分は正義のおじさんだよ☆』アピールしてくるとことか。まあ、自分が助かりたいだけの小者なのは丸わかりなんだけど。
そりゃあこんなおっさん達をぎょーさん見てきたリヴァイは、『俺の目的は人助けです!』なんて、まるで『正義の味方』みたいなこと言いながら人●しまくってるジークなんて大っ嫌いになるよね。ジークは大物ぶってるだけで、根本はこのおっさんと同類の小者。
『悪童』になったリヴァイ
ところで、35巻のタイトルは『悪童』だったわけですが。
いやたしかに、一度売ったものを盗んで取り返そうとしたり、人を●したリヴァイは『悪童』だったかもしれんけど。
正直、登場した大人達(クシェル以外)のほうがよっぽど『悪党』だったよなぁ……
ケニーも、なんも言わんといなくなるから、リヴァイが十年以上モヤモヤ抱えっぱなしになっちゃうし。(野生動物的な親離れのつもりだったのかもしれんけど)
一方、リヴァイは 正 当 防 衛 だし、ティーセットだって『高価な品だから』ではなく『母ちゃんとの思い出だから』取り戻そうとしたのであって、他の荷物には目もくれなかったよね?
『君を救いたいんだ!』と言ってくれた正義のおじさんにも、『心配せんでええで』と、やさしい言葉を返してあげるし。
ゴミも、ちゃんとお片付けしてえらい!
正義のおじさん「せやな」
リヴァイとエレン、どっちが悪童?
この35巻でわかったのは、リヴァイって『いい子』だったんだなぁ、って……
リヴァイがエレンの世話役買って出たの、『とにかく巨人をぶっ●したい』エレンが、『この世界に逆らいたい』がために人を●した幼少の自分に似てると思ったからなのかな……エレンも9歳で人●してるし。
でもまったく似てないんだよねこの2人。
少なくともリヴァイは人●すのに他人使ったりなんてしないよ?(エレンは人●すのにミカサ使った)
ティーセットだって、ケニーに頼んで取り返すことも出来ただろうに、無謀を承知で自力でなんとかしようとするし。『自分の身勝手に他人を巻き込まない』って、それもう『いい子』じゃん……
ケニーのことだって、眼鏡のおっさんに言われるまでは『母ちゃんの知り合い』と信じてたんだよなぁ。素直……!
つまりリヴァイは、元々『いい子』だった。
『いい子』だったんだけど、母ちゃんを死に追いやった『クソみてぇな世界』に唾吐きかけるために、『いい子』の自分を捨てて『悪童』になった。
『何も捨てることができない人は何も変えられない』はアルミンの言葉だけど、リヴァイが『いい子』のままであれば、手を血で汚すことはなかったし、ケニーも去らなかったかもしれない。
だけど『母との思い出のティーセット』は戻らないし、なにか新しいものを得ることもなかった。ヘタすりゃどこかで命を失ってすらいたかもしれない。
『いい子』である自分を捨て『悪童』になったことで、『力』を得て、『母との思い出のティーセット』を自力で取り戻し、ケニーには去られたけどその後は自分の力で新しい仲間を手に入れ、世界まで救ってしまった。
方やエレンは、生まれた時から『悪童』だった。
『悪童』だったから、初対面のミカサに『逃げろ』じゃなく『戦え』なんて言って人●しさせたし、気に入らないヤツを背後からぶん殴ることも出来たし、カルラママにも暴言吐き放題。
カルラママの死後、『悪童』の自分を捨てて『いい子』になろうとしたけど、結局猫かぶってただけで、『悪童』の自分を捨てられなかった。
なんにも捨てられなかったんで、『悪童』のまんま『自分の身勝手』に仲間やユミルちゃんを巻き込んで●しまくり、世界踏みつぶしまくり、母ちゃんまで●し、なんにも得られずなんにも変えられずすべてを失った。
うーん、リヴァイはエレンに昔の自分を重ねたのかもしれんけど、元々『いい子』だったリヴァイに、生まれた時から生粋の『悪童』だったエレンの手綱を完全に握るのは無理だわそりゃ……
リヴァイとガビ、新たな仲間の関係
オチを見るに、リヴァイ的には『自分が●されそうになった体験』よりも『形見のティーカップが壊れた』のほうがよっぽどトラウマだった模様。ま、まあ、壊れたのはカップ一つで、受け皿ともう一客は無事だから……(しかしそれも今はパラディ島に置き去り……)
それにしても、このトラウマ話を聞き出したのがガビって、地味にすごいことでは?
ぶっちゃけ『カップの持ち方がこうなっちゃった理由』って、オチの『母ちゃんの形見のティーカップが壊れたトラウマ』の部分だけで、それまでの『ティーセット取り戻すまでの過程』はあんま関係ないと思うんですが……
オチだけ語りゃいいのに、ガビちゃんが涙ぐんでるってことは、母ちゃんのことやら能力覚醒やらケニーに去られたことまで話したってこと? その辺まで話したとなると、ガビちゃん達、相当信頼されてんなぁ……104期達、知らないんじゃないの?(『持ち方笑う』なんて、アルミン達には絶対出来ん……)
『対等な仲間』と呼ぶには、104期達とはすっかり上下関係が出来ちゃってるからね……だから最後の『対等な関係』のハンジさんを失ったのがかわいそうすぎる……
でも、ガビとファルコにとっては、『頼もしい おっさ お兄さん』程度の認識?
年齢差はあれど、104期よりよっぽど、上下のないフラットな関係が築けてんじゃないの? ガビのリヴァイの呼び方が『兵長』なのは、もはやあだ名かな……
とりあえずガビちゃんは、悪いことしたと思うんなら、いつか兵長にティーセットでもプレゼントしてあげればいいんだよ。ヒィズル式の茶器なら最初から取っ手もないから兵長のトラウマにもやさしい。
そしてそのまま茶の湯でも極めりゃいいと思う。ほら、千利休みたいな。
キヨミ「目指すには不吉すぎやしませんかねその人……(※最期切腹)」
それでは今回はこの辺で。おもろかったら下にあるイイネボタンを押していただけると元気と勇気とやる気が湧いてきます(*´ω`*)ノ
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