進撃の巨人138話『長い夢』感想と考察 始祖ユミルの巨人作りの理由とリヴァイの「了解だミカサ」の意味考察!
進撃の巨人138話『長い夢』感想と考察。
今回はユミルちゃんが巨人を作り続けた理由、ジークや壁の王を振った理由。それとリヴァイ兵長の『了解だ。ミカサ』にどういう意味があるのかについてです。大人は辛いよ。
思ったことを好き勝手に書いてるので、そりゃねーわなのもあるでしょうが、あたたかく見守ってください。考えるだけなら自由だろ?
2021年3月の138話時点の内容です。ネタバレ配慮してないんでご注意を。
エレンの目的と138話の夢の意味
138話の結末からして、ライナーの読み通り、やっぱりエレンは止めてもらいたかったんだろうなぁ……
地鳴らしが成功して外の人類滅亡したところで、シャイニングムカデくんにはなんの影響もないわけだし。
結局『目先の問題』解決しただけで、『巨人になれる人種』ってことに変わりはないわけで。
かといって138話の夢の世界みたいに、地鳴らしを起こさないようミカサと駆け落ちした場合、エレンだけは重荷から逃げることは出来るかもしれないけど、エレンの望む『自由』ってそんなんじゃあないよね。
つまり人類が巨人から解放されるには、ムカデくんの宿主であるエレンを死に物狂いで殺しに来てくれる『誰か』が絶対に必要だった。そのための『地鳴らし』ってことかな。
まあ、エレン本人がシャイニングムカデくんの存在知ってたとは思えんけど……でも、感覚的に『何かに操られている』気分はあったのかも。(ここまでのことしなきゃその状況に持って行けないって、ムカデくんすごすぎるやろ……)
あの状況下で『エレンを止める』と決断出来たハンジ団長って、つくづく偉大な人だったな……そりゃ結果論かもしれないけど、『正しい選択』ではなく『悔いなき選択』をしたおかげで、エルディア2000年の歴史において初めてムカデくんにここまで迫れたわけだし。
あの時点のアルミン達には、まだそんな決断出来る勇気はなかったもんなぁ……ピクシス司令ですらどう決断したことやら。(でもピクシスおじいちゃんは『負けるのが大嫌い』だから、『巨人に負けた』ことになるフルパワー地鳴らしを黙って見過ごすことは出来ないかも)
エレンが逃げなかったワケ
そもそも『諦めたっていいことない』と言ってたのがエレン。
それを証明してくれたのが138話のジャンとコニー。これから巨人になるってのに、まったく悔いのない晴れやかな顔してる。
『誇りに死ぬことはない』『いいじゃないか屈したって』と言って逃げることを推奨してたフロックとは真逆。
フロックはつくづく調査兵団に向いてなかった。屈することなく『誇り』に死ねるのが調査兵団。
だからグリシャには調査兵団が『特別な集団』に見えたんだろうか? グリシャはマーレの拷問に屈してぜんぶ吐いちゃったし。
エレンとミカサも『穏やかな暮らし』をしている設定のはずなのに、穏やかではあっても後悔だらけで全然幸せそうに見えないんですよ……
夢から覚めて、残酷な現実の世界で会えた時のほうが、二人ともよっぽど幸せそうに見えるんだよなぁ。
結局、エレンは地鳴らしすることから逃げなかったし、調査兵団はエレンから逃げなかった。ミカサも夢の世界に逃げなかった。
エレンの行動は、ある意味兵長の『悔いが残らない方を自分で選べ』という言いつけをきちんと守った結果っちゃあ結果なのかな……(兵長的には責任重大でそら止めにいかなアカンわな……)
エレン本人はヒーローにはなれなかったけど、調査兵団は最初から最後まで『エレンのヒーロー』だったよね。島を敵に回そうが仲間を犠牲にしようが、後悔の残らないほうを自分で選んで、エレンの元に駆けつけてくれたんだもんな……
そしてエレンの親友であるアルミンがその調査兵団の団長になり、かつて勝負にならなかったはずのエレンとの真っ向勝負に挑んだってのは熱い。
ジークと壁の王がユミルちゃんにフラれたワケ
この前も考察しましたが、ユミルちゃんの目的が『解放されたい』なら、なんで壁の王とジークがフラれたのかって謎が出てきます。エレン案は一見して『巨人からの解放』に繋がらないし。
この王様達の計画で共通してるのは、どちらも『逃げ』の選択であると同時にユミルちゃんの存在を否定してるんですよ……
壁の王とジーク、どっちの計画もユミルちゃん的には『自分の子孫が1人も残らない結末』が待っている。
ユミルちゃんが巨人を作った理由、ジークは『王に従ってた』と思っていたようだけど、そもそも『従ってた』ってのが間違いで、シンプルに『娘達を愛していたから』じゃないの?
ジークが理解できなかったのは、ユミルちゃんの『愛』が見返りを求めない『無償の愛』だったから。
ジークにとっての『愛』って『有償のもの』だったんですよ。
『理想の息子じゃないと愛してもらえない』という悲しい子供時代だったもんなぁ。その結果、『俺の条件をクリアしろ。そうすれば愛してやる』という悲しい大人になってしまった。(そしてこのタイプはなぜか『相手の条件を自分がクリアすること』は考えない……)
エレンにユミルちゃんの気持ちがわかったのは、エレンが『無償の愛』を受けて育った子だからかな。
ミカサの愛も一時は疑ったけど、それが『無償のもの』と教えたのがジークってのは皮肉。
ユミルちゃんにとって娘達は、『無条件に自分を愛し、求めてくれる存在』だっただろうし、ユミルちゃんの孤独を埋めてくれたのかもしれない。
その一方で、娘達の父親であるエルディア王は『条件をクリアしなきゃ愛さない人』だった。
しかも条件をクリアしてもまた次の条件を出すばかりで、その求めに応じなきゃ自分の居場所はない。王にとってユミルちゃんは『愛すべきただの奴隷』でしかなかった。
そんな王様は、娘達に母親と『同じ力』を求めた。
一度は死んで楽になろうとしたユミルちゃんだったけど、いきさつはどうあれ娘達と『座標』で繋がってしまった。
それによって、たとえ我が子であろうと、王にとって『奴隷』が生んだ子は『奴隷』でしかないと確信。このままじゃ、娘達はこれからどんな目に遭うかわからない。
『普通』だったらどうしようもないんだけど、幸か不幸かユミルちゃんは『どうにかできてしまう力』を持っていた。
だから娘達を守るために、ユミルちゃんは巨人を作ったんでは? それがいつしか、娘達のそのまた子供、その孫……と終わることなく続いたってだけで。
『ユミルの民』って『巨人の力』がなきゃ生きていくことすら許されない、『めっちゃ弱い存在』だったしなぁ。
子供の姿をしてるもんだからだまされるけど、ユミルちゃんは『母ちゃん』なんだよね……(でも『寿命は13年』『きっかけがあれば望んでなくても巨人になっちゃう』『無垢だと親子であろうと食べます』というオプション機能は厳しすぎるよママン……ムカデくんの影響?)
でも時代の流れで、子供達を守るための『巨人の力』が、『子供達を危機に陥らせた』ってのは皮肉。
もし巨人を作ってた理由が『母の愛』だとすれば、ユミルちゃん的に壁の王やジークの計画は、『どうして生んだりした!』『お前さえ生まれてこなければこんなことには!』と、自分の子孫に自分の存在も、愛する子孫の存在も否定されたようなもんってことになるよなぁ……
壁の王に従ったり、一旦、ジークの命令に従おうとしたのも『巨人から解放されたい』というより『私、もういらないのね……(後ろ向きな意味)』ってことだったのか?
しかしそこにエレン登場。存在の意味を見失い、『母』ではなく『奴隷』として誰かの命令に従うだけだったユミルちゃんは、ここで初めて『お前は奴隷じゃない!』『お前が選べ!』と我が子孫に存在を肯定(生んでくれてありがとう)され、初めて『戦う』という選択肢を得た。
『ユミルちゃんを肯定した』ってことは、ユミルちゃんが作った『巨人も肯定した』ってことになる。だから巨人の力を使っての地鳴らし発動ってことなのか?(大陸の人否定するのはええん? って気はするけど……)
じゃーユミルちゃんのあの涙は、『自分自身と自分が愛する者達の存在を肯定された喜び』と『あ、私が戦っていいんだ』の涙だったのかなぁ……ん? つーことは『巨人作りから解放されたい』じゃなくて『子供達を守るためにエレンに協力した』ってことなの?
そら、人の気持ちわかった気になってるジークはフラれるわ……
ユミルちゃんの親心
壁の王やジークのやり方は『逃げ』だったけど、エレンのやり方は『戦う』道だった。
かといって、本気で世界滅亡を望んでいるかっていると、その辺はエレンと同じで、ユミルちゃんも『止めて欲しい』ってのはあったのかも。
自分の子を守るためとはいえ、『よそ様の子を殺す』なんて、子を持つ親として平気なわけないと思うんですよね。ラムジーくんのこと、どんな気持ちで見てたんだろ……
こないだ考察した通り、エレンとユミルちゃんの行動にムカデくんの生存本能が関係していたんなら、『地鳴らし』を起こすことで、『エレンが信じてるヒーロー』が現れることにユミルちゃんも賭けたってことだろうか。(別の言い方をすると、自分の子孫を試した?)
『世界』と『ヒロイン』の危機には『ヒーロー』が必要なんだよ! そうだろライナー!
ライナー「ちがっ……俺はヒーローなんかじゃ……!」
仮にヒーローが現れなかったり、アルミン達の返り討ちに成功したとしても、存在を肯定されたユミルちゃんはもう怖いものなし。
これまで『株式会社シャイニング☆ムカデ』で社長自ら奴隷のように現場で働き続けたユミル社長だったけど、娘? のシャイニングムカデ子ちゃんに跡取りとなるお婿さんがやってきたことで心に余裕が生まれ、以前より前向きに巨人作りに励めるということですね!
よかった……!
ユミル「お母ちゃん、これからもがんばるからね☆」
シャイニングムカデ子ちゃん「私はエレンとずっと一緒だよ☆(ずっと=4年)」
エレン「助けてミカサ……」
じゃあ135話の豚さん見てるユミルちゃんは、シンプルに『不自由な家畜を哀れに思ってた』ってことなのかなぁ……自分と重ね合わせて、『お前だけでも自由におなり』って逃がしちゃったの?
ユミルちゃんは『優しい子』だったのだろうけど、その『優しさ』って、クリスタだった頃のヒストリアや、巨人になる前の104期ユミルと同じ『自分を犠牲にした優しさ』だったからなぁ……それが悲劇の始まりというか。
いや、なんにせよユミルちゃんが『人類家畜化計画』とか、そんなヤベー思想の持ち主ではなさそうでよかったよ……ユミルちゃんは『自分の幸せ』以上に『他人の幸せ』を喜べる子だった。
こんな素敵な笑顔が出来る子が、世界滅亡を望んでるわけがないんですよ。まさに我が子を救ってくれるヒーローが現れるのを待ち焦がれたネオ母ちゃん。それがユミルちゃん。
ユミル「あなたこの前『ネオなラスボスちゃうか』って……」
もし巨人作った理由が『子を心配するあまり世話を焼き続けてきた』だとすると、138話の笑顔は、ついに我が子が巨人を超えるつよい子に成長し『子供達にもう自分の力は必要ない』『巨人から卒業よ!』って意味も含まれてたんだろうか。そう考えると『子を慈しむ母の顔』にも見えるかな。
しかし子離れに2000年かかったって、過保護すぎやしません……?
『閉じ込められててかわいそうだから逃がしたろ』は子供の発想だけど、『危ないから外に出ちゃいけません!』って子供を力ずくでも閉じ込めようとするのはまさに母ちゃんなんだよなぁ。
過保護が過ぎるあまり、
ユミル「もう巨人から独立してやっていけると言うのなら、私を超えてみせろ。話はそれからだ」→全員返り討ち
母ちゃんとシャイニングムカデくんが強すぎて、超えてくれる子が育たんかったんやろか……? なんだかんだで、巨人離れ出来そうになかったし。
巨人大戦だって、ユミルちゃんからすれば『ちょっとハデな兄弟ゲンカ』で『もー。巨人は作ってあげるから、あんた達だけでなんとかしなさい!』だったの……?
ミカサ「生活費だけ渡すタイプの放任主義……?」
アルミン「これ、もう毒親になってない?」
立派に成長して巣立って欲しいけど、いつまでも手元にいても欲しい複雑な親心。
大人は辛いよ
話は変わってここからはリヴァイ兵長。ユミルちゃんもだけど、兵長も親心が垣間見える138話でした。
かつて『異常事態に陥った場合、誰よりも迅速に対応出来る』と言ってたけど、最後まで『その言葉に偽りなし』でしたね……
兵長の雷槍はアルミンの最後の1本かな。137話でアルミンが1本使用。もう1本は巨人アルミンには必要ないから、誰かに渡しといたんだろうなぁ。
さて、今回のリヴァイ兵長は、もう心がバキバキに折れて戦意喪失してるミカサにかなり焦ってましたね。自分はこんなズタボロの状態だし、ジャンとコニー達がここに来てまさかの巨人化。ライナー達、マーレの戦士隊はムカデくんに手いっぱい。
兵長だって、逃げられるもんなら逃げ出したいくらいだとは思うんですが、背負ってるものが大きすぎてそんなわけにもいかない。逆にミカサがこんな状態だからこそ、自分を奮い立たせていたというか。アルミン達もまだ戦ってるわけだし。
兵長は『大人』だから、『弱ってる自分』を子供には見せられないってのが辛いよなぁ……
リヴァイの『了解だ。ミカサ』
マガトさん、ハンジさんがいなくなり、メンバーの中で『大人』って兵長一人だけになっちゃったんですよね……ピークちゃんも一見しっかりした子だったけど、父親の前で『子供』に戻っちゃったし。
誰かの肩借りなきゃしんどい体にもかかわらずまだ戦う兵長、もはやこの人も超人を超えたネオな超人になっとる……
そんな中で、なにがあったか突然ミカサちゃん覚醒。
『エレンを殺そう』で少女の顔になってた子が、『誰かの説得』ではなく自らの意思で『私がやる』と覚悟を決めた。
リヴァイの『了解だ。ミカサ』って、師匠がこれまで子供扱いしてた弟子を『お前はもう俺を超えている』と認めた瞬間なんだよなぁ……なにこの少年漫画。
『ついに自分を超える者が現れた』って、めっちゃ強かったせいで毎度生き残り、肩の荷ばかりがどんどん重くなってた兵長的には、『やっと安心することが出来て自由になった』ってことですやん。エルヴィンにはハンジさんが、ハンジさんにはアルミンという『後任』がいたけど、リヴァイにはいなかったもんなぁ。
ハンジさんが選んだアルミンは、エレンとガチンコ勝負出来るまでに成長してもう大丈夫だけど、自分には相変わらず後任がいない。だからまだ荷を降ろすことが出来ない。
しかしここに来て、ついにミカサが現れた。
ミカサとアルミンは、エレンだけでなくリヴァイも自由にした。
とはいえ、兵長はまだまだアルミン団長にこき使われないと。仮に第一線から退いたとしても、お掃除当番とか飯炊き係、マスコット枠とか求められるポジションは色々あるから大丈夫ですよ!
ハンジ「おっさんがかわいいスイーツ食べてるだけでバズる時代だ! 行ける行ける!」
リヴァイ「やらねぇからな」
アッカーマンの役目って……
かつて、リヴァイはエルヴィンを地獄から解放したけど、前回の137話では『王家の血』を引くジークを自由にし、138話じゃミカサが『始祖継承者』のエレンを自由にした。
ということは、アッカーマンって『血の呪い』からユミルの民を解放するために生まれてきた存在ってことなん?
壁の王が自死を望んだのって、やり方はどうあれ『巨人から解放されたい』ってのがあったってことなんですよ……もしかして過去にも似たようなこと考えた王様がいて、そのために作ったのがアッカーマン?
だって『始祖パワーが通じない』って、どう考えても『そのため用』ですやん。そうじゃなきゃ、今回のムカデくんのガス噴射でミカサとリヴァイだけでなく、エレンとユミルちゃんもある意味詰んでたわけですし。
もしくはそこまで考えてなくて、マジで偶然の産物だったのか……結果として、リヴァイとミカサがたまたまそーいうポジションになっちゃっただけ?
どっちにしても、結果としてこれで巨人から解放されるんだとしたら、100年前にアッカーマンを迫害した壁の王にとってはなんとも皮肉な話。
そしてそれをあやまちとして認め、頭を下げたウーリってすげぇ人だったな……もしあそこで迫害が終わってなければ、リヴァイもミカサもどうなってたことか。
壁の王、存在を否定するやり方はアカンかったけど、『世界とユミルの民を巨人から解放したい』って想いは本当だったと思う。
* * *
腹巻さん
コメントありがとうございます!
138話は残酷な結末のはずなのに、二人とも優しい顔してるのが救いでしたね……愛ですじゃよ。
これからも、ちょっとでも癒やせる考察が出来るようがんばります!(*´ω`*)ノ
それでは今回はこの辺で。おもろかったら下にあるイイネボタンを押していただけると元気と勇気とやる気が湧いてきます(*・ω・*)
↓前回の考察はコチラ
なんか、いい意味でこの考察読んでると背中がゾワゾワァ〜…ってして鳥肌立った。(いい意味で)