機動戦士ガンダム水星の魔女 感想と考察 親の心子知らず 踊るミオリネとデリング総裁の思惑
機動戦士ガンダム水星の魔女感想と考察、今回はミオリネとデリング総裁。
謎の多いミオリネパパですが、それぞれの親子関係と比較をしながら、彼の真意を考察します。
- 個人の感想と考察です。
- 12話までのネタバレ全開です。
- ガンダム知識はにわかなので『熱いガンダム談』は期待せんでください。
それぞれの親子関係
作中、『親子』は数組出ていたけど、それぞれ『子供に対する姿勢』が違った。
グエルパパは息子に何も知らせていなかった。『知らせない』ことで『大人の事情』に子供を巻き込まないようにした。
シャディクパパは息子を計画にガッツリ加担させていたわけだけど、本当にやるのか本人の意思はちゃんと確認していたし、『行動の理由』の説明もしていた模様。『信頼』していたから。
ミオリネパパはその中間。グエルパパのように『何も知らせない』ことで『大人の事情』から遠ざけようとしているようでもあり、シャディクパパのように本人の成長を待って『大人の事情』に巻き込もうとしているようにも見える。
スレッタママだけなんだよ。娘をガンダムに乗せて『大人の事情』にがっつり巻き込んでおきながら、『何も教えない』のは。
そして『娘の成長』も、促すどころか妨害してる。この人からは、どうにも『子供を子供のままにしておきたい親の身勝手』が見えるんだよなぁ……
『娘を信頼していた』のであれば、ガンダムがどういうものであり、なぜスレッタが乗らねばいけないのか、なぜ学校に行かせることにしたのかを、シャディクくんのとこのようにしっかり教えなかったのはなぜ？
グエルくんとこのように『子供を守るため』と言うのであれば、そもそも『大人の事情』に子供を巻き込んじゃダメでしょう。
『子供の成長のため』と言う割には、ミオリネさんのとこみたいに子供自身に考えさせず、自分の都合のいい方角へと誘導し、『子供のまま』でいさせようとしてません……？
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第12話
この人、やさしそうな雰囲気でごまかされてるけど、『言ってること』と『やってること』が矛盾してる。本物のダブスタ母ちゃん。
プロスペラはエアリアルがガンダムであることを黙っていた理由を『あなた達を守るためだったの☆』なんて言ってたけど、それ、ご自分のためでは？
シャディクパパとスレッタママの違い
『大人の事情』に子供を巻き込んだ人として、シャディクくんのパパことサリウス・ゼネリ氏がいる。
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第3話
しかし、シャディクパパが息子を『大人の事情』に荷担させたのは、『父親としての責任』以上に『ガンダムを世に出してはいけない』という『社会への責任』に重きを置いたからでは？（ガンダムに恨みでもあんのかな？ 実子を亡くしたとか）
わかりやすい言い方をすると『いいこと』をしているつもりなんじゃない？ やり方はともかく。
だからそれを知っている息子は、率先して父に協力した。（まあ、シャディクくん個人としてもなんか企んでそうな気もするけど……）
ぶっちゃけ戦争起こすのはこのタイプだと思うわ。だって昔っから『大義は我にあり！』つーて戦争起こすでしょ？（逆に『大義』がなきゃ戦争なんて起こせない）
『悪党』は『自分が悪い』とわかっているから警察に捕まりゃ終わるけど（グエルパパタイプ）、『大義』を掲げて戦争起こして無関係な人超巻き込んで、終わった後も問題山積みで長々と人々を苦しめるのが『正義の味方』だと思うの。しかも自覚がないからタチ悪い。
話を戻して。
スレッタママは、娘になにも知らせないまま学校に送り込んだ。
知らせなかった結果、スレッタは入学早々独房にぶち込まれるわ魔女裁判かけられるわ、そらもー散々な目に遭った。
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2話
プロスペラの目的が『いいこと』であるなら、学校に送り込む前にすべてを洗いざらい説明すべきだったと思うのよ……『何も知らなかった』からこそ、スレッタは『やりたいことリスト』を作って無邪気に『学校生活』を楽しみにしてたのに、しょっぱなから不安の連続で泣いちゃったんやで……
しかし、そうしなかったということは、プロスペラの『目的』は、『お母さんそんなことやめて！』って娘に拒まれるようなことってことになる……
だからどうしてもスレッタの協力が必要なプロスペラは『知らせなかった』というより『黙らざるを得なかった』んでは？
デリング総裁には、ガンダムに対してなにか『責任』があって、その『責任』を果たすために娘の成長を促し、関わらせようとしているように見えるけど、プロスペラからは今のところ『身勝手』しか見えてこないのよね……
公式サイトの小説では、プロスペラの目的は『復讐』『仇討ち』のようだけど、果たしてそれだけなのかどうか……『母親としての責任』以上に『果たしたい責任』があるんですかね……
悪手か最善か、デリング総裁の目的
さて、ここからはミオリネパパことデリング総裁について。
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2話
デリング氏の行動は『子供の目線』からだと一見『身勝手で矛盾だらけ』に見える。
たしかに『言葉通りの意味で』考えると一貫性がない。『ホルダーと結婚しろ』と言っときながら、2話では『退学しろ。結婚相手はこっちで選ぶ』なんて言い出したり。
でもそれ以前に『結婚相手を父親が決める』と言ってること事態が奇妙な話。
だって反抗期まっただ中の娘が『わかりましたそうします』なんて言うはずがないこと、父ちゃんならわかるでしょ。おかげで娘は彼の命令と逆の行動を取りまくっている。
大企業の総裁にまでなった人が、たかが小娘1人動かすのにそんな悪手を打つかね？
つまり彼の本当の目的は『言ってることと逆のところにある』ってことになる……
じゃあ『ホルダーとの結婚』は『ミオリネが逃げることまで織り込み済み』で言い出したことなんじゃないの？
つまりデリング総裁は『娘が学園から逃げてもいい』と思っていた。
ところが2話になると、今度は逆に『娘を学園に留める必要』が出て来たから『退学しろ』と言い出したということになる……
1話と2話の間に起こったことといえば、スレッタ（エアリアル）登場しかないよなぁ……
この時のスレッタは魔女裁判にかけられて、スレッタは退学、エアリアルは廃棄の危機だった。それを救ったのは『ダブスタクソ親父』に腹を立てていたミオリネ。
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2話
……の、ように見えるんだけど、でもこれ、すでにプロスペラが先手を打ってて、ミオリネが登場しようがしなかろうが、3話のグエルくんとスレッタの決闘は行われてたはずなんですよ。『あなたが私に頼むのです』とプロスペラに脅されていたグエルパパの『進言』によって。
ぶっちゃけ、父ちゃん的にはそのまま地球に逃げてくれてもよかったんじゃないの？ 『まだまだ私は子供です』とミオリネ自身が証明してくれたわけだから、それこそグエルパパがやったように、子供を『大人の事情と無関係のポジション』に追いやる形になっただけ。（むしろ『私の結婚相手はホルダーですね！ わかりました！』って言われたほうが困ったんじゃあ……）
しかしミオリネは戻ってきた。逃げることばかり考えてた子供が、自分に挑んできた。
『説明しないこと』の意味
デリング総裁のもうひとつの謎が『娘になんの説明もしなかった』こと。
これのヒントになるのが、シャディクくんとこのゼネリ親子の関係。
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第3話
この親子は、見たところガンダムや過去の出来事に関する情報を共有している。
共有しているから、シャディクくんは父を信頼して協力し、父も息子を信頼して任せているわけで。
しかしデリング総裁は、なぜ『ホルダーと結婚しろ』だの『学校やめろ』なんて言い出したのか、ミオリネにまったく説明をしなかった。
これ、説明『しなかった』んじゃなくて、説明『出来なかった』んじゃないの？
総裁の目的が『大人の事情にお前を巻き込みたくないから逃げなさい』だったとすれば、そのまんま『説明』してしまったが最後、ミオリネもまたシャディクくん同様、逃げるどころか『大人の事情』にがっつり首突っ込んでくるに違いないと思ったから『黙らざるを得なかった』んじゃないの？ ミオリネ、いい子だから。
『大人の事情』っつーと、『ガンダム事業』しかないよなぁ……
しかしなんの説明をせんでも、ミオリネ自身が会社を興してガンダム事業をおっ始めてしまった。
果たしてこれって『偶然』なの？
だってこんなことになったそもそもの『きっかけ』は『ミオリネの結婚相手を決闘で決める』なんて言い出したせいでしょ？
父ちゃんがなんもせんでも、ふつーに学園生活謳歌させてやりゃあ、ミオリネは地球に逃げようなんてする必要はなかったし、そもそもスレッタと出会うことさえなかった。第一『娘に無関心』なら『結婚』に関しても無関心でしょ。
娘が会社作ってガンダム復活させてること自体、父ちゃんがなんかした結果なんだし……
となると、ミオリネパパのやってたことって『親の身勝手』というより、全部娘を試すための『試練』だったんじゃないかってことになると思うんよ……彼の『言葉通り』に解釈すると矛盾だらけで意味不明なんだけど、『試練』として考えると『進むか逃げるか選ばせることで娘を成長させよう』という『意味』が見えてくる。
そんな『試練』を与える必要がなぜあったのかというと『ガンダム事業にミオリネを関わらせよう』という考えがあったんじゃない？
でも、そのことに『迷い』があった。
デリング総裁の迷い
グエルくんは『自分は子供だ』という自覚のある『大人な子供』だった。
シャディクくんは『もう大人』だった。
ミオリネは『自分は大人だ』とわめき散らす『子供』だった。
ミオリネって、7話でプロスペラに『今の暮らしは全部パパのおかげ』と指摘されるまで自覚がなかった。
自覚がなかったから『クソ親父の言いなりになるもんか！』と逆らっておきながら、父親の『恩恵だけ』はいただくという筋の通らない生活を何とも思わなかった。
『立場』をわきまえてるぶん、グエルくんのほうがよっぽど『大人』だよ……
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第3話
ミオリネの親への態度って『甘え』だよね。『私が多少好き放題したって親は許してくれる』という『甘え』。
父ちゃんを『ダブスタクソ親父』なんて言っときながら、ミオミオこそが『ダブスタクソ娘』だった。
それに気づきもせず他人に当たり散らしたり、トイレにこもってゲームで憂さ晴らししたりするミオリネは、まだまだ『子供』。
そんな『子供』を『大人の事情』に巻き込むのは、やはり不安だと思う……
かといって、完全に突き放すことも出来ない『理由』もあったんじゃない？ なんか、亡くなったお母さんのことが関係してそうなんだよなぁ……
『家族の問題』が絡んでいるのに、それに参加させないのは『お前は家族じゃない』って言ってるみたいじゃん？
『子供』だから巻き込みたくない。しかし『家族』だからないがしろにも出来ない。
ならばミオリネ自身に決めてもらう。すべてはそのための『試練』だったんじゃないの？
ってことは、ミオパパ的に『ホルダーとの結婚』なんてぶっちゃけどうでも良かったんやろか……（婿になろうとがんばったスレッタの立場……）
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第1話
プロスペラの陰の協力者の正体
ところでグエルパパとプロスペラ、3話で気になる会話してたけど。
あれって『グエルパパの（デリング総裁の）暗殺計画をプロスペラはなぜか知っていて、プロスペラはそれを脅しに使って決闘するよう進言しろと持ち掛けた』ってことだよね？
その『暗殺計画』の情報提供者、プロスペラは『企業秘密』なんて言っていたけど、デリング総裁その人じゃないの？
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第3話
グエルパパってわかりやすいからなぁ……11話で総裁『グエルくんが行方不明』って把握してたけど、あれって『あ、コイツそろそろ計画実行すんな（だから息子どっかに逃がしたな）』って予想してた？
要所要所で『プロスペラだけでエアリアル作れるわけがねー』とか話してるし、少なくとも、プロスペラには『陰の協力者』がいる。
『すでに登場している』とすれば、デリング総裁が一番怪しいんですが……だってそうじゃなきゃ、とっくにエアリアル廃棄されてそうだよ？
大人同士の会話でも『デリング総裁がガンダム事業復活を望んでる』みたいな会話してたし。
じゃあ最初っから、プロスペラとデリング総裁はグルで、そのお膳立て通りに事が進んでるって可能性もある？ 総裁、プロスペラの昔の名前知ってるようだし。
ということは、ミオリネは最初っから『パパのガンダム事業の隠れ蓑』になるよう、パパの手のひらの上で踊ってただけ。
グエルパパも、デリング総裁の手のひらの上で『（都合の）いい人』にされてただけってことかな……グエルパパ、あなたの野望、やっぱ身の丈に合わなかったと思うの……
ミオリネパパの『逃げたらひとつ、進めばふたつ』
こっからは7話の会社設立のために父親に融資を頼んだあのシーンについて。以前の考察ではミオリネ視点だったけど、今回は父ちゃん視点。
7話はミオリネが大人の姿を見せたけど、でもあの時、デリング総裁は頭を下げたミオリネの横を素通りすることも出来たはずなんですよね。ミオリネは、これまでさんざん身勝手してたわけだし、会社設立だって、その場で考えてその場で決めたようなもんだし。
だけど、そうすると今度は『身勝手のターン』が自分に来る。
それは『子供を子供のままでいさせようとする親の身勝手』。
シャディクくんのパパは『社会的責任』を重んじているようだから、『ミオリネが会社を作る』ことをデリング総裁が阻止しなかったことをいぶかしんでいたけど『父親としての責任』という観点で見ると不思議じゃないんだよなぁ……だって親には、子供を大人へと育てる『責任』があるから。
そのためには、時にブレーキをかけたり、時には成長を促すため試練を課すこともある。
直前にプロスペラの挑発があったとは言え、ミオリネは試練攻略のために大嫌いな父親に頭を下げた。
デリング総裁にしてみりゃあ、意地っ張りの娘が頭下げて来た以上、これを無視することは『子の成長の否定』であり『私はお前を信頼しない』と言ってるも同然だからね……ミオリネにしてみりゃあ『父親は私を信頼してないし愛してもいない』という絶望のどん底に叩き落されるわけですよ……
たしかに『大人の事情』に巻き込むことで『ミオリネの命』を危険にさらすかもしれないけど、『ミオリネの心』に深い傷を与えて一生暗い顔させるのと、どっちが親子共々納得の生き方が出来るかを考えると、危険を承知で共に問題に挑むってのは、まさに『逃げたらひとつ、進めばふたつ』になる。
……まあ、まさか別のとこでフレッシュトマトしちゃって『ミオリネの 命を守って 心を壊す』魔女が登場しちゃうとは父ちゃんも想像しとらんかったやろけど……（パパの思いやり台無し）
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第12話
『試練』を与えて成長を待ったということは、時が来たらすべてを話し、『ガンダムの呪い』に一緒に立ち向かって欲しかったってこと？
もしかすると、かつてはそのパートナーのポジションにいたのがミオリネの母ちゃんだったんやろか……
早くに亡くなったようだけど、ガンダムが原因？ だから事業凍結？
年月が過ぎ、その事業を復活させてほしい者が現れた。それがプロスペラ？
しかし事業を復活させるにも『きっかけ』が必要。それに使ったのがスレッタとエアリアルだったってこと？（プロスペラがミオリネの母ちゃんと友人かなんかの可能性もある？）
事業を復活させるにあたって、問題なのがミオリネ。
『ガンダムの呪い』から遠ざけるべきか関わらせるべきか、本人に決めてもらおうと考えた結果が『ホルダーとの結婚』。これは『結婚』が一番都合がよかっただけで、娘が逃げるよう仕向けられるなら、実際はなんでもよかったんじゃない？
ミオリネが『嫌なこと』から逃げるだけの子供であるのなら、『ガンダムの呪い』には自分だけで立ち向かう。
ミオリネが留まって試練に挑むのであれば、その成長を見守り、時が来ればすべてを話すつもりでいた？
ミオリネは『父ちゃんの思い通りになるか！』と反発していたようだけど、実際は父ちゃんの手のひらの上で踊っていたってことですやん……『娘のワガママに手を焼く父ちゃん』なんておらんかった……
デリング総裁は、『ガンダムの運命』をミオリネに託していたのかなぁ……
デリング総裁とプロスペラの違い
『我が子を自分の手のひらの上で転がす』という点では、デリング総裁もプロスペラと同じに見える。
ただ、デリング総裁がプロスペラと決定的に違うのは『課された試練に対しどう振る舞うかは完全に本人に委ねている』ということ。
『地球に逃げる』というのも『会社を興す』というのも、あくまで『ミオリネの意志』で決めたこと。さすがの父ちゃんも『どう対処するか』まではわからない。
もしかすると『父親や助けてくれそうな誰かに泣きつく』ことも想定していたかもしれないけど、ミオリネは誰にも泣きつかず、自らの手で未来を切り開こうとした。
機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2話
でもスレッタは『どうしようどうしよう』ばかりでお母さんに泣きつき、プロスペラは自分の望む方角に人を誘導した。
色んな親子出てきたけど、『子供を子供のままでいさせようとする親』はプロスペラだけだったなぁ……なにかそうしなければならない理由でもあるのか、天然でやらかしてるのか……
グエルパパは、最後は『身勝手』ではなく『父親としての責任』を選んでお亡くなりになったけど、もしプロスペラにも『母親としての責任』があるのであれば、最後、『身勝手の代償』に取り立てられそうになってるスレッタの代わりに死にそう……デリング総裁はどうだろ。
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それでは今回はこの辺で。
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