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進撃の巨人 ロストガールズ 感想と考察その3 『長い夢』を見てたミカサとエレン 『現実』を生きてたアルミン

進撃の巨人アイキャッチ

進撃の巨人LOST GIRLSミカサ編の感想と考察その3。今回は原作138話『長い夢』との比較や、アルミンの役割とミカサやエレン達との違い、LOST GIRLSにおけるミカサとエレンの関係について考察していきます。

ほとんどコミック版の考察となっております。

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個人的な感想を交えた考察です。考えるだけなら自由だ!
アニメ版、コミック版、原作を交えて考察してます。原作最終回までのネタバレしてますので、ネタバレが困る人はお引き取りください。
なお、当考察は原作最終回以降エレン・イェーガーさんに死ぬほど厳しいので『エレンすてき☆ カッコいい!』と思っていたい方は、悪いこと言わんので引き返されることをおススメします。

『長い夢』のミカサとエレン

LOST GIRLSの世界は『ミカサに都合のいい世界』。そして現実の世界は『エレンに都合のいい世界』だったけど、原作にも『ミカサに都合のいい世界』があった。それが138話の『長い夢』。

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

とりあえず『ロン毛は好みじゃなかった』模様。

LOST GIRLSではどんなに障害が発生しても、エレンは『自由を求めること』を絶対やめなかった。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

ところが原作138話のエレンは、『ミカサの願い』を受け入れ、何事にも抗わない『大人になったエレン』だった。

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

まあ、ホントの『大人』は無責任に逃げたりしないけど……

そして『オレのことは忘れてくれ』なんて言った。まるでミカサへの思いやりのように。

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

でもこのエレンって『ミカサにとって都合のいいエレン』ではあったけど、もはや『エレンじゃない』よね。

だって139話のエレン(本物)は『一生オレだけを想っててほしい!』なんて抜かしたんよ……まさに身勝手の極み。

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

結局エレンはそーいうヤツだよ……他人に厳しく自分に激甘なアホの子なんや……
だから何も変えられなかったし誰も救えなかった。
でもそれがエレン。

LOST GIRLSでは、エレンは自由を求めてお亡くなりになったけど、それこそが『ミカサが好きになったエレン』だった。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

だからエレンは止められないし、止めちゃいけなかった。
止めちゃうとそれは『エレンの否定』であり、そんなエレンを好きになった『自分の否定』でもあるから。

『責任』のミカサ、『無責任』のエレン

138話の夢の世界は『ミカサがエレンに『逃げよう』とワガママ言って駆け落ちした設定』だったけど、それって逆を言うと、ミカサは『夢の世界にでも行かなきゃそんな無責任なこと出来ない子だった』ってことを意味してるんだよね……

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

ちなみに、現実の世界で『それ』をやろうとして玉砕したのがヒストリア。

なぜならヒモ男は、『オレを甘やかしてくれるワガママ言わない女』を選ぶからね……
ああ、だからヒストリアは対象外だったわけかぁー。ふーん。

さて、そんな『夢の世界』にでも行かなきゃ無責任になれなかったミカサだけど、LOST GIRLSでも138話でも、最後は『現実』に立ち向かったんですよね。『エレンと共に生きるため』に。
そもそもミカサの『現実逃避』は、現実が余りに辛すぎて追い詰められた末のもの。

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

進撃の巨人138話[ 諫山創 ]

現実では『エレンと共に穏やかに生きる』という夢が叶いそうになかったもんだから、『夢』を『空想の世界』で叶えようとしたのがLOST GIRLSや138話なんじゃないの?
ところが、夢の世界でも『エレンを忘れること』を迫られた。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

まるでその夢を見せている『誰か』が、『この男の存在、否定したほうがあんた幸せやで』と言ってるみたい。私もそうだと思うけど。(非情)

普通なら『どっちの世界でも死んでる赤の他人のエレン』より『たとえ夢でも実の両親生きてる世界』選びそうなもんなんだけど、ミカサは『エレンを忘れて幸福に生きられる世界』よりも『どんなに辛くてもエレンを忘れず生きられる世界』を選んだ。たとえ『思い出の中の人』としてであったとしても『エレンと共に生きたかった』から。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

夢は『空想の世界』で叶えるものじゃないと気づいたから、ミカサは『夢』を叶えるために『現実の世界』を生きた。

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

果たしてそれが『責任感』から来るものだったのかは不明だけど、結果として、LOST GIRLSでも原作でも『他者を愛する心』が『責任を果たすこと』に繋がった。

『エレンへのけじめ』をつけた後も、それで終わりにせず、今度は『自分の命の責任』を果たすために、ちゃんと大人になって幸せに生きた。
それがミカサに『逃げなさい!』『生き延びるのよ!』と言って自らは犠牲となった、ミカサママとカルラママ、2人の母親達に対する『責任』であり、子供のまま逝かせてしまったエレンへの『責任』でもあったから。

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

墓守までしちゃうとか、もう死後まで責任持たんでええやろ……それがミカサの『幸せ』っちゃあ『幸せ』なんだろうけど……
それを許すジャンの器の大きさが芋煮会フェスティバルの三代目鍋太郎なら、エレンは割れたおちょこかな?(嫌味)

少なくともジャンは、女の子泣かせないし『会えなくてさびしいです』なんてお手紙来たらすっ飛んでくるし、ミカサが来るなら全力でエスコートして楽しんでもらおうとするからな……本当のいい男は、女にワガママを言わせてくれる。

ミカサには悪いが、エレンは絶対、結婚相手としてはアカンヤツや。(断言)

現実を生きるアルミン

138話では自力で現実に戻ったミカサだったけど、LOST GIRLSではアルミン登場で現実に戻った。
LOST GIRLSのアルミンの『役割』って、ミカサを『現実』へ引き戻すための鍵だよね。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

『夢』を大事にしてたアルミンが『現実』を突きつけてくるってのは、なんとも皮肉な気もするけど……

なにしろアルミンが見ていた『夢』は『現実の世界』で叶えなきゃ『意味のないもの』だったから。
だって『夢の世界』で『海』を見たって、それってつまり『夢』だよね? って話なわけで。

そういう意味では、たしかに彼は『夢を見ていた』けれど、『夢を叶える』ために誰よりも『現実を生きていた』と言える。
本来なら『妄想だけ』で終了しなきゃいけない『夢』を、現実でやっちゃったアホの子がエレンだったけど……

進撃の巨人30巻[ 諫山創 ]

進撃の巨人30巻[ 諫山創 ]

ダメだ エレン はやまるな!!

たとえるなら『宇宙飛行士になる!』と言って、周囲からバカにされようともコツコツ努力を重ねてホントになっちゃうのがアルミンなら、特に努力もせず、ある日突然異世界転生して『オレスゲー!』を夢見るのがエレンかな……

進撃の最終巻予告[ 諫山創 ]

進撃の最終巻予告[ 諫山創 ]

↑予告としては嘘だったけどエレンは間違いなく本物だった件

あなた、訓練兵団上位卒業したり『夢のために努力出来る子』だったんじゃなかったの? ねぇ……(母ちゃんの死で『変わった』ものの、『未来の記憶』のせいで元に戻った模様……)
それともまさか、1話からずっと『夢の世界』にいるつもりでやらかしてたの? 『夢の世界』と思ってたから『あなたにとって都合のいい世界』になってたの? ねぇ……

進撃の巨人1話[ 諫山創 ]

進撃の巨人1話[ 諫山創 ]

『長い夢見てた気がする』ゆーて『都合の良いドリームランド』が始まったのがミカサ、夢が終わって『都合の良い現実』が始まったのがエレン。

ミカサは『ゾンビが出てくる世界観』が『悪い夢であって欲しい』と思うタイプだけど、エレンは『ゾンビが出てくる世界観』が『現実であって欲しい』と思うタイプなんだよ……
元々相容れないと思うんですがこの2人。

アルミンの役割

LOST GIRLSでエレンがミカサんちに来なくなったのは、アルミンと外に行くための乗り物を作ってたせいだった。
そしてその『乗り物』のせいでエレンはお亡くなりになった。

現実の世界でも、エレンはアルミンの身代わりに巨人に食われた。

進撃の巨人 LOST GIRLS Lost in the cruel world

進撃の巨人 LOST GIRLS Lost in the cruel world

現実だろうとドリームランドだろうと、どっちの世界でもエレンはアルミンをかばってお亡くなりに。そしてミカサに『エレンの死』を知らせたのもアルミン。

進撃の巨人 LOST GIRLS Lost in the cruel world

進撃の巨人 LOST GIRLS Lost in the cruel world

ある意味、アルミンって『ミカサからエレンを奪った子』だった。

しかし同時に『ミカサにエレンを与えた子』でもあった。

2人と違ったアルミン

『何を犠牲にしてでもそれを手に入れたい』という『自分の欲望』のために行動してたのがエレンとミカサだったけど、2人と違ったのがアルミン。

アルミンって別に『自由』を求めてなかったよね?
だってアルミンは、最初っから『自由』だったから。

『自由』だったから『夢』を見た。

進撃の巨人73話[ 諫山創 ]

進撃の巨人73話[ 諫山創 ]

エレンが『自由』を求めたのは『自分の自由を奪われた』と思ってたから。
だから自分も『他人の自由』を奪った。

進撃の巨人73話[ 諫山創 ]

進撃の巨人73話[ 諫山創 ]

LOST GIRLSのミカサがエレンを止めなかったのは、それが『エレンの自由を奪うこと』だと思っていたから。
大好きなエレンから『奪うこと』が出来なくて、守ることを放棄した。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

しかしアルミンが『夢』を見たのは、最初っから『自由』だったから。
だから誰かから何も奪う必要もなく、むしろ与え続けた。

エレンは『自由』になって『何がしたい』じゃなくて、『自由そのものが目的』と化していた。
だから原作でもLOST GIRLSでも、手段はどうあれ『自由になるという目的を果たした』んで退場した。
アルミンをかばったり生かそうとしたのは、自分と違ってアルミンの目的は『自由のその先』にあったから、『行かせてあげよう』としてたんかね……エレンのそういうところ、嫌いじゃないけど。

進撃の巨人84話[ 諫山創 ]

進撃の巨人84話[ 諫山創 ]

ミカサも『エレンの側にいる』ことだけが目的であって、『それ以外は手段』と化していた。

だからLOST GIRLSでは、たとえ両親が生きていても、エレンの顔すら思い出せない世界では意味がないんで現実に戻り、138話も『エレンを忘れず生きる』ための『手段』としてエレンを●し、エレンの死後もずっとそばにいた。

一方、アルミンには『夢』があって、『自由』は『夢』を叶える『手段のひとつ』に過ぎなかった。
たとえ思っていたものと違ったとしても、『自由』だから『知らない壁の向こう側』を目指し続けることが出来た。

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

彼の『夢』は、生きてる限り終わることなく続いた。

『手段を目的化』してる時点で、やっぱエレンは前回のおっさんと同じやわ。
口では『しつけです!(目的)』なんて言っといて、本当の目的は『生意気なガキボコりたかっただけ(手段)』。
エレンも、まるで『みんなの幸せのため(目的)』のふりして、実際にやったのは『ただの人殺●し(手段)』だったんだから。

進撃の巨人46話[ 諫山創 ]

進撃の巨人46話[ 諫山創 ]

『与える』アルミン

ミカサやエレンは『自分の欲望』のために『奪う子』だったけど、アルミンは惜しみなく『知識』や『勇気』を『与える子』だった。

コミック版で、グリシャがミカサんちにエレンを連れてった理由を語ってるんだけど、エレンが『いつも何かに腹を立てている』原因となったのは、アルミンを介して『外の世界の存在』を知ったから。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

それ以前のエレンは、ボーっと生きてたわけで。

進撃の巨人73話[ 諫山創 ]

進撃の巨人73話[ 諫山創 ]

つまり、エレンが『外の世界』を知らないままだったら、グリシャはミカサんちにエレンを連れて行く必要がなかったってことだよね?
仮に連れて行ったとしても、ミカサがぼんやりしてるエレンを好きになることはなかったかもしれない。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

そもそもミカサがエレンを好きになった理由、原作エレンは『オレがお前を助けたからか?』なんて聞いてたけど、LOST GIRLSじゃあ誘拐事件が起きなくても好きになってたよね?

第一、こんな人めった刺しにしてるヤベーヤツに恐怖じゃなく恋愛感情抱くって、難易度高いやろ……

進撃の巨人109話[ 諫山創 ]

進撃の巨人109話[ 諫山創 ]

マフラー巻いてくれたやさしさ?
LOST GIRLSでは、マフラー巻く前から好意あったよ?

進撃の巨人 LOST GIRLS Lost in the cruel world

進撃の巨人 LOST GIRLS Lost in the cruel world

ミカサだって最初っからエレンが好きだったわけじゃなく、むしろ知らん子が来てガッカリしてるくらいだった。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

好意を持つきっかけは、森に行ってから。
ミカサは森の奥に行くことを怖がったけど、それは『無知』が原因だった。
しかし泣き出すミカサに慌てたエレンが『こんな森たいしたことない』と教えたことで、ミカサの恐怖は消えた。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

まあ、実際は3人もの大人食い●す野犬出る超危険地帯だったけど……
いやいやいや、父ちゃん母ちゃんの言いつけ守ってたミカサが圧倒的に正しいやろ!

しかも『エレンの知識』の大半はアルミンからの受け売り情報や……!

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

エレンはアルミンから得た『知識』で『外の世界に行きたい』と思うようになり、ミカサもエレンを介してアルミンの『知識』を得ることで恐怖を感じなくなっていった。そういう意味じゃあ、エレンとミカサに『自由』と『勇気』を与えたのはアルミン。

元々臆病な女の子だったミカサは、色々教えてくれるエレンのことを『自分に勇気を与えてくれる存在』と思って好意を抱いていったんだろうか?
だからエレンのためなら、鏡男を刺すことも出来たし、巨人と戦うことも、現実の世界に帰ることも出来た。エレンがいたから。

進撃の巨人6話[ 諫山創 ]

進撃の巨人6話[ 諫山創 ]

アルミンが『ミカサが好きになったエレン』を作った。

豚を逃がしたミカサと逃げた豚のエレン

原作が終わってからLOST GIRLSを見て思ったのは、ミカサとエレンって、豚を逃がしたユミルちゃんと逃げた豚さんの関係だった。

進撃の巨人135話[ 諫山創 ]

進撃の巨人135話[ 諫山創 ]

『食べられる運命にある豚さんを自由にしてあげる=いいこと』と思って、家畜の豚さんを逃がしたのがユミルちゃんだった。
『不自由なエレンを自由にさせてあげる=いいこと』と思って、エレンの好き勝手を許したのがミカサだった。

その後、ユミルちゃんは王様に『おまえは自由だ』と言われて集落追い出されたけど、それってまさに『ユミルちゃんが豚さんにしたこと』だった。

ユミルちゃんの考察はコチラでも

アニメ進撃の巨人 The Final Season 80話『二千年前の君から』感想と考察 始祖ユミルと初代エルディア王 豚を逃がした罪と罰【ファイナルシーズン】

大人達は『逃げた家畜の未来』を知っているから、『家畜の命』を守るため、柵の中に入れて『責任』を持って面倒見ていたわけでして。

ところが『無知な子供』だったユミルちゃんやエレンはそれが理解出来ず、『柵の中に閉じ込めるのはひどいことだ』と思っていた。
そして家畜に対しても『自分の未来を知らない哀れな存在』として見ていた。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

エレンはそのひどさ、哀れさを、無知なミカサに語った。

『無知な子供』から『大人のひどさ』『家畜の哀れさ』を聞かされた無知なミカサは、『エレンを止めることはかわいそうなことなんだ』と思って逃がしてしまった。
その瞬間、エレンはミカサに『哀れな家畜』にされ、ミカサは『家畜の奴隷』になった。

嗤う豚のエレン

エレンってまさに『羊』を嗤う『豚』だったよね。
『羊』か『豚』かの違いだけで、どっちも家畜と理解してなかった。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

だから柵の中で暮らす羊達をバカにすることができた。『自分も家畜だ』と理解してなかったから。
むしろ『誰かが自分の身の回りの世話を焼いてくれる』のは『自分が王様だからだ』と勘違いすらしていた。
『飼い主』が『家畜』や『ペット』の世話をするのは当たり前であり、『家畜』や『ペット』であるからこそ世話をしてただけなんだけどね。

進撃の巨人112話[ 諫山創 ]

進撃の巨人112話[ 諫山創 ]

過去の発言がひとつ残らずブーメランになってんの、高度なヒモーガーギャグかな?(嫌味)

『安全な柵の中』だから自由に夢を見ることが出来ていたのに、『柵の外』という『現実の世界』に飛び出そうとしたもんだから、彼は『安全な柵の中から脱走した家畜の末路』をたどった。

そしてそんなエレンの『勘違い』を増長させてしまったのがミカサだった。
エレンを止めることが出来ていれば『ペットの飼い主』だったけど、止めるどころか『脱走の手助け』をしてしまったので、ミカサは家畜の奴隷になった。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

その後『逃げた家畜の末路』を知って『世界は残酷だ』と勘違いした。世界はあるがまま存在してただけ。
『残酷なことをしたのは自分』と理解してなかったから世界のせいに出来た。

そしてエレン本人は自分のことを『えらい王様』と思ってたようだけど、『何の責任も取らなかった』時点で彼は家畜の豚。(辛辣)
なぜなら『家畜が犯した罪の責任』を取るのは『犯人』や『飼い主』だから。

だから『人間』のユミルちゃんは『豚が逃げたこと』の『責任』を問われ、その『罪』を背負った。ミカサも同じ。

やっぱエレンにとって『自由』の反対語は『不自由』ではなく『責任』なんだわ。
『家畜』にだって『家畜の責任(お肉になって誰かの命を繋ぐ)』があるのにそれを放棄し、あの世に逃走することで『自由』になり、残された『責任』は他人が背負うことになったんだから。

だから原作エレンは子供の姿になっちゃった。『大人』には、問答無用で『責任』が発生するから。

人間になることを拒んだエレン

なんかやらかしても『責任』を問われない子供って、ある意味『人間未満』だよね。
なのに大人達からは『守らねばならない存在』として認識される。

進撃の巨人134話[ 諫山創 ]

進撃の巨人134話[ 諫山創 ]

すなわち『特別な存在』。

『人間=大人』として考えると『子供の期間』って『人間になるための修行の期間』なんだろうと思う。

でもエレンは『人間(大人)になる=特別な存在でなくなる=責任が発生する=不自由になる』と思ってたのか知らんけど、まるで『人間になること』を拒んだ子供みたいだよね……だから姿が特別な存在の頃まで退化した。
『大人』ならまずやらんことをやっちゃったもんだから、周囲はむしろ『すげぇ人』のように錯覚した。だって周囲の人達はエレンを『大人』と思っていたから。

ところが実際のエレンは『人間(大人)』になることを拒んだ『人間未満の幼稚な子供』だった。
『人間じゃなかった』から、LOST GIRLSでは『家畜』になり、原作では『たまたま人と格好が似てただけ』の『有害な獣』と化した。

進撃の巨人130話[ 諫山創 ]

進撃の巨人130話[ 諫山創 ]

エレンは『人間(大人)』じゃなかったから、『罪』も『責任』も『人間(大人)』が背負った。

進撃の巨人134話[ 諫山創 ]

進撃の巨人134話[ 諫山創 ]

そういう見方で見てみると、『調査兵団の戦い』はまさに『巨人の家畜になることを強要された人類が自立した人間になるための戦い』だったよね……そりゃー『人間になること』を拒むエレンと激突することになるわ。

無知と知らなかったエレン、無知と知ってたアルミン

ミカサもユミルちゃんも、そしてエレンも、『結果として』罪なことをやらかしたけど、ではこの子らは『悪』だったか? というと、別に『悪』ではない。ただ『無知』だった。
『無知』って『悪』じゃないんですよ。しかし『罪』を生む。

『自分が無知』であることさえ知らない無知者が『罪』を生む。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

ミカサもユミルちゃんも『自分が無知である』とさえ知らなかったから『罪』を犯した。『知ったつもりでやったこと』が『残酷なこと』だとは知らなかったから。

進撃の巨人The Final Season 80話 二千年前の君から

進撃の巨人The Final Season 80話 二千年前の君から

そしてエレンも『無知』だった。自分が『無知だ』と知らなかったから、知りもしない『自由』を知ってるように語り、それを否定する者を否定し、否定しないミカサを『理解者』という名の『都合のいい子』にした。
しかしそれは『現実』ではなく『ただの夢』だった。『自由』を語るエレンは『夢の世界の住人』だった。
『夢の世界の住人』は、『現実の世界』で生きることが出来なかった。

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

進撃の巨人 LOST GIRLS 2巻 [ 諫山創 / 瀬古浩司 / 不二涼介]

おまけに彼は自分が『自由だ』と知らなかったから『オレは不自由』と勘違いした。
『自分が自由だ』と知らなかったから、わざわざ『不自由』になりに行った。

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

結局エレンだけが、『仲間達とは違う世界』に生きていた。だから『一緒の世界』で生きることが出来なかった。

そして見方を変えると、エレンは『かわいそうな家畜を逃がしてあげようとした家畜の奴隷』でもある。そのために起こしたのがフルパワー地鳴らし。
壁が消え、『外の敵』もいなくなれば家畜達は自由になると勘違いした。

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

進撃の巨人 最終話[ 諫山創 ]

結局、エレンがなんかしようがしなかろうが、自由なヤツらは勝手に自由になり、家畜達はいつまで経っても家畜のままだった。

一方アルミンは、自分が『無知』だと知っていた。アルミンにとって『壁の外へ行く』とは、知らないことを知るための手段に過ぎなかった。

進撃の巨人90話[ 諫山創 ]

進撃の巨人90話[ 諫山創 ]

アルミンは『夢の世界』ではなく『現実の世界』を生きていた。だから『知らないことを知ること』に喜び、一方『夢の世界』で生きていたエレンは『知ったつもりでいたことが違った』んでガッカリした。『夢が破れた』から。

進撃の巨人131話[ 諫山創 ]

進撃の巨人131話[ 諫山創 ]

『知ったかぶり』から中途半端な『知識』を与えられ、『無知な奴隷』となったのがミカサ。
『自分が無知』と『知っていた』から自由だったのがアルミン。
自分が『無知だ』と知らなかったから自由になり不自由にもなったのがエレン。

今、改めて読んでみると、ミカサだけでなくエレンの本質とかもよく描かれていたのがコミック版の『LOST GIRLS』でした。
結局エレンは原作でも外伝でも『家畜の豚』と気づかないまま逝った感あったけど、ある意味本人は幸せだったのかもな……どっちも周囲大迷惑だったけど。

進撃の巨人112話[ 諫山創 ]

進撃の巨人112話[ 諫山創 ]

ここまで来るともはや芸術。(感心)

* * *

それでは今回はこの辺で。おもろかったら下にあるイイネボタンを押していただけると元気と勇気とやる気が湧いてきます(*´ω`*)ノ

次の記事はコチラ

進撃の巨人 感想と考察 幻想に逃げたエレンと幻想に立ち向かったライナー

前回の考察はコチラ

進撃の巨人 ロストガールズ 感想と考察その2 凡人エレンと特別なミカサ 大きな力と相応の報いって何だ

進撃の巨人考察一覧はコチラ

  • 金眼銀眼 より:

    今日は、読書感想の4を読んで、改めてこの回にコメントをしたくなりました。アルミンは経験した事を自分の中に取り込んで、自分が何を感じたのか、それに対してどう思い、何を考えたのかを整理して自分の言葉にして相手に伝える事が出来る人物と描かれていると感じています。対してエレンはどうか、初めて海に到達した時、お父さんの記憶をなぞっただけで、自分が感じたのは海の向こうは敵だらけで全部やっつけたら自由になれるのかという、不自由な自分を上書きしただけ。エルヴィンが父の疑問の答え合わせを欲し、その後が無かったように、父親の記憶通りという答え合わせをしただけで満足し、父の記憶という呪縛(不自由)から脱しようとは思わないのが思考停止なエレンと感じます。経験を自分の中に取り込み、どうしたら良いのか考え、選択して行動したのが人間力のジャンやコニー、サシャの人間力トリオ。エレンを仲間として基点に戻って欲しいと迎えに行くのに対し、イェーガー派は褒美で釣られる共犯者という事が、責任を回避する姿勢で納得します。アルミンは確かに、ミカサやエレンよりも恵まれた体格や体力、武力は持たないかもしれませんが、エレンと同じ知性巨人の力を手にし、弁舌という武器に信念という胆力で、正しくあろうとする方策を探し行動できる大人になりつつあります。そんなアルミンに対し、エレンは地鳴らし遂行を相談出来ない、相談したら地鳴らしで世界を踏み潰す事を反対され、エレン自身が説得されてしまうと感じていたのではないかと推測しています。大人は責任を持ち、行動する立場で不自由とエレンは感じていたのでは?でも責任を持ち、その中で自由になれる、自由を裁量できるのが大人です。思考を放棄した、無知を自覚し知ろうとしない者の現れが、子供エレンの姿なんだと感じています。
    逢坂先生の「同志少女よ、敵を撃て」の敵とは何かを考えると、セラフィマにとっては女性を害する者であり、自国でも敵国でも無く、そのような行為に及ぶ者が敵に該当するでしょう。ラストに至る流れを見るとセラフィマの行動は、幼馴染を「敵」ではなく良い人の立場にし、ハンスの望みを叶え、自分の基点に立ち戻れ、戦後に生き抜く縁(よすが)を得た、正解を引き当てたものになりました。自分と世界を知り、考え、逃げずに選択した結果だと感じます。自分にとっての不都合に目をつぶらず、受け入れ、考え選び行動する。書き出すととても単純ですが、感じから感情や思いを取り除き、事態をありのまま見る事がなかなかに難しいことと感じています。ハンジさんがネジ職人の心境にあるとの事から、彼女が虐殺を否定できたのは、人命尊重の範囲が壁の内外関係無く、生命そのものに及んでいるからだと感じています。フロックから見ると理想主義で現実を見ていない団長となるのでしょうが、生命に軽重は無いという立場から見るとフロックの行為は、自分の首を絞め、世界を狭めることに繋がるとしか見えないでしょう。不都合を無くすために追放する、隠す行為は、問題解決には結びつかず、わだかまりや遺恨を残す事になると感じますから。
    最近はルーシー・アドリントン作の「アウシュヴィッツのお針子」を読んでいるところです。ユダヤ人裁縫師が主人公で、ノンフィクション。選択と行動で読み解いています。暑い中、ご自愛ください。

    • とわこ より:

      コメントありがとうございます!
      連日厳しい暑さですが、お体大丈夫でしょうか?

      エレンのアホさ加減は、自分のオールを他人に押し付けて自分の船を漕がせておきながら、『オレには自由がない』だの誰かのせいにしてわめいてるトコですね……
      ミカサに『オレはお前のなんだ』だの聞いといて『自分はミカサの何のつもりか』なんて考えてなさそうだし、まるで『何者かに自由を奪われてる』ような被害者ヅラしといて、その記憶送ったのも記憶通りにすると決めたのもエレン本人。
      『決断』してるようで『思考』を放棄しただけ。

      『進撃』にせよ『同志少女』にせよ、考察してて思うのは、『思考停止した者に未来を見ることなど出来ないのだ』ということ。

      考えることを止めなかった者達は『ずっと先の未来』を見ていた。
      考えることを止めた者達は『すぐそこにあるもの』しか見なかった。

      『未来の記憶』を見ていたエレンこそが『未来が見えていない』というのはなんとも皮肉なことですが、彼の行動は『目先の問題』を先送りにしただけの行為に過ぎず、何も解決していない。それどころか『さらにその先』は『大事』と言ったはずのアルミン達に丸投げ。

      どうせ『丸投げ』すんなら最初っからなんもすんなーーーーーーーー!

      結局エレンやフロックは『百年先の子供達』ではなく『今の自分達』さえよければそれでよかった。まさに『目先の快楽』に飛びつく子供でした。
      『今』しか見えず、自分が『無知』と知らない『子供』だったから、『子供の将来』を案じて叱る大人を否定することが出来る。
      『壁の王』は百年保たせたけど、果たして彼らでは何年保たせられたのやら。
      これでは、やり方はどうあれ国の発展を望んだ初代エルディア王のほうがよっぽどマシですね……

      『同志少女』でも、考え続けた者は戦後も悩み苦しみながらも、それでも誰かのために何かをし続けたけど、思考停止した者は、戦時中も戦後も目先の快楽に逃げてしまった。
      一見、セラフィマやイリーナは『損』をし、ハンスやミハイルのような人のほうが『得』をしてるように見えるけど、最終的に何も残らず『大損』をしたのは思考を放棄した者達。
      『本当に自由な人』とは、どんなに苦しい状況下でも『思考』という名の『自由』を放棄しなかった者なのだろうと思います。

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