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オーウェルの『動物農場』で考察する進撃の巨人 フロックはどの動物?【豚編】

動物農場で進撃の巨人考察

『進撃の巨人』が、4月9日発売の『別冊少年マガジン5月号』で完結するとハッキリ発表されたようで……
わかっちゃいたけど、やっぱ終わるんだなぁ……2月号で136話、3月号137話、4月号で138話、5月号で139話か……
あれ? 単行本には4話ずつ収録だけど、1話飛び出ない?(33巻は131話~134話収録。34巻は135話~138話収録)

収録予定

単行本収録予定一覧


最終巻が34巻になるんなら、5話収録するってこと? 最終回の139話は短めとか?
最終巻だけ分厚くなるのかな……
どっちにせよ、進撃終わったらこのサイトもいよいよピンチだな……

さて、今回はいつもと気分を変えて『ジョージ・オーウェルの『動物農場』から読み解く進撃の巨人考察』というのをやってみたいと思います。
YouTubeのコメント欄で教えてもらった本なんですが、調べてみたら興味深い内容だったんで図書館で借りてきました。コメントくださった方、ありがとうございました!(こっち見とるか知らんけど)

ちなみに複数の出版社から日本語版が出てるんですが、自分が読んだのは2013年に出たちくま文庫版。半分『動物農場』で、もう半分は訳した作家さんの談話や伝記になってます。出版社によって、多少の表記の違いがあるかもしれません。

一番新しいのは2017年にハヤカワ文庫から出たものなんですが、予約待ちが出るほど人気なようで、読めるのがだいぶ先になりそうだったんであきらめた。

登場動物が進撃の誰に当てはまるのか考えると、新たな発見があるかもしれません。あと、書いてたら長くなったんで、『豚さん編』と『お馬さん編』の前後編に分けました。(それでもまだちょっと長くなったけど……)

個人の感想です。『あー、この人はこう解釈したんだなー』程度に読んでってください。
ネタバレは進撃の巨人コミック33巻までとなっています。(後編は少し135話が混じってます)

『動物農場』雑なあらすじ

動物農場では色んな動物が出てくるんですが、基本的に覚えておけばいいのは豚4頭、馬3頭、ロバ1頭、『その他』として犬や羊といったところでしょうか。
みんな大好き☆いらすとやさんから画像をお借りして、図にするとこんな感じ。

動物農場

『すべての動物は平等』であるはずなのに、話が進むにつれて『支配者』階級の豚さんグループ、『家畜』側のお馬さんグループと、大きくふたつに分れていきます。(豚と犬以外の動物は基本家畜側)
そして上の画像には入ってないですが『どっちにも属さない』野生動物もいます。

  1. メージャーじいさんが『人間は悪! 人間を排除すればみんな自由で幸せ!(要約)』という思想を訴える
  2. メージャーじいさんの死後、その思想を若い豚が中心に『動物主義(アニマリズム)』として農場の動物達に広める
  3. 農場で反乱が起き、人間の追い出しに成功。知能が高い豚が指揮を執るように
  4. しかし、風車建設をきっかけに、スノーボウルとナポレオンが対立
  5. 最終的にナポレオンがスノーボウルの追い出しに成功。反対してたはずの風車建設に乗り出し、ナポレオンに抗議する他の動物たちは、口が達者なスクィーラーが丸め込み、スノーボウルを悪役に仕立てる
  6. メージャーじいさんが最初に訴えた思想は、どんどんナポレオンに都合がいいよう書き換えられていき、果てには『動物が動物を殺すことは禁止』までもが書き換えられ、豚にとって不都合な動物が豚の命令によって粛清される
  7. 農場で一番働いていた馬のボクサーが、老いと長年の無理が祟って働けなくなると、豚は『病院に行こうね』と騙してお肉にする(なお、お肉はウィスキー代となった)
  8. 動物達は毎日腹ぺこで働き、一方で豚はどんどん肥えて、最後は二本足、手に鞭を持つようになり、農場の主として他の農場の人間達と仲良くパーティーをする

というのがだいたいのストーリー。王政編を思い出すなぁ。
フロックらイェーガー派が、うまいこと島の実権握ってたらたどりそうな未来予想図でもある。
それぞれの動物達が、『進撃の誰か』に似ているんですよね。まあ、『進撃の巨人』に限らず、どんなお話だろうと『いるいるこういうヤツー』って当てはまるんだと思う。

もっと詳しいあらすじはWikipediaに書かれているので、そっち見ていただくことをオススメします。

動物農場あらすじ(Wikipedia)

ストーリーを一言で言うと、これ『豚が人間を肯定するお話』ですね。一番の勝ち組は、早々に別の人間のトコにトンズラこいた白馬のモリー。

面白いのが『一番最初に人間を否定したのが豚』であり、最後に『人間を肯定したのも豚』ってことでしょうか。
『進撃の巨人』も、『駆逐してやる!』と『巨人』を強く否定していたのがエレンだったはずなのに、今や身も心もすっかり『巨人』に成り果てて人を駆逐しちゃうんだもんなぁ……

なお、作中で豚は数頭出てくるんですが、主要な豚は、メージャーじいさんとスノーボウル、ナポレオン、スクィーラーの4頭。そして豚に育てられた犬ですね。前編では、これらの動物について考察します。

動物農場

豚さん組 ざっくりとした関係図

それでは、『動物農場』の動物達を『進撃の巨人』の登場人物に置き換えると誰になるか、比較しながら考察していきましょう。

思想家・メージャーじいさん

一番最初に『人間は悪だ!』と訴え、動物たちをその思想に染めるきっかけとなった張本人。
そして当の本人は、思想を訴えた数日後に寿命でさっさとお亡くなりになるのである意味勝ち組。

進撃で言うところの初代壁の王がこれじゃないかと思う。
メージャーじいさんは、家畜の暮らしを嘆き、『全部人間が悪い!』という思想を語るんですが、初代壁の王も、エルディア人の残虐な歴史に心を痛め『全部エルディア人(巨人)が悪い!』と、独自の思想を現実のものにするため、壁を作ったわけですから。

進撃の巨人121話[ 諫山創 ]

進撃の巨人121話[ 諫山創 ]


ちなみにメージャーじいさんは『思想』を語っただけでさっさとお亡くなりになったんだけど、壁の王は『動物農場』で言う『人間を追い出す』とこまでやって、後は王政に任せて、自分は引っ込んだことになります。

『動物農場』では人間がいなくなったことで、毎日搾乳してもらわないと乳房炎になってしまう乳牛がいきなり困り、そこで豚が人間の代わりに前足で搾乳し、絞ったミルクは自分達でこっそり飲んだ。
これはまさにサネスさんの『すぐ代わりを演じ始める』という『順番の呪い』ですね。壁の王がいなくなったことで、王政が『代わり』を演じ始め、裕福な暮らしを手に入れた。

進撃の巨人56話[ 諫山創 ]

進撃の巨人56話[ 諫山創 ]


牛の乳しぼりをきっかけに、豚が『いなくなった人間の代わり(農場の経営)』をどんどん演じ始めた。

最終的にメージャーじいさんが語った思想は豚の都合のいいように書き換えられ、『人間は悪!』と言ってたはずの豚達が、すっかり人間になってしまった。つまりメージャーじいさんの否定。

豚のメージャーじいさんの思想を、一番肯定し、広めたのは豚。
しかし豚のメージャーじいさんの思想を、一番否定したのも豚。

しかもその頃には、メージャーじいさんを知ってる動物達はほとんどお亡くなり。
数少ないメージャーじいさんの思想を生で聞いてた動物達は『思ってたんと違う……』で物語が終わる。

親から子へ『思想の押しつけ』をした壁の王とイェーガー一家

メージャーじいさんは『思想を語った』だけで、その後のことは他の豚が勝手にやったんだけど、初代壁の王のタチの悪さは思想の押し付けまで行ったことですよね。
『私の思想は正しい! だからあなたもそうしなさい!』って『押しつけ』は、『相手が元々持っている思想の否定』になる。だから反発される。
ウーリもフリーダも、元々は壁の王の思想を否定するために巨人継承したわけだし。
もしかして『不戦の契り』を作ったのは、初代壁の王は子が反発することがわかってたから、先手を打ったってことなんでしょうか?

ところが、その『不戦の契り』があだとなり、王政がどんどん私腹を肥やし始めても、逆に何にも出来なくなってしまった。
どこかで差別は起こるし、都合の悪い子は次々出てくる、王政は民に重税課して私腹肥やすだけと、全然楽園にならない。
さらには『調査兵団』なんてものが登場。これはもう存在そのものが壁の王の否定。しかも立体機動装置なんてものまで完成しちゃうし。
こっちもこっちで『思ってたんと違う……』ってのは、ウーリ談。

進撃の巨人69話[ 諫山創 ]

進撃の巨人69話[ 諫山創 ]

あと、イェーガー一家も壁の王と同じかも。『思想』を押しつけ、染め上げようとしたところが。

進撃の巨人87話[ 諫山創 ]

進撃の巨人87話[ 諫山創 ]


かつてグリシャが『子を親の思想に染めようとする罪深さ』を手記で語ってたけど、じいちゃんはグリシャへ、グリシャはジークへ、ジークはエレンへと、自分の思想を押しつけ、染め上げようとした。(なお、エレンもヒストリアとフロックに自分の思想を語った。フロックは自ら染まったけどヒストリアはどうなんだろ)

進撃の巨人120話[ 諫山創 ]

進撃の巨人120話[ 諫山創 ]


結局、グリシャと同じ『思想の押しつけ』をエレンにしている時点で、ジークは『グリシャがしたことを肯定してる』という皮肉。
そしてその思想は『存在の否定』から始まる。

メージャーじいさんと壁の王の敗因

メージャーじいさんの思想は、最終的に同じ豚によって否定されました。でもって壁の王、グリシャやジークもうまくいかなかった。
それって、そもそも最初の『思想』が『存在の否定から始まってる』ことが原因では?

メージャー爺さんは『人間の存在』を否定した。
壁の王やジークは『自分達の存在』を否定した。
グリシャは『マーレの存在』を否定した。
世界は『島の悪魔の存在』を否定した。
エレンは『世界の存在』を否定した。
『存在を否定』したから『存在を否定』された。なお『どっちが先』かは関係ない模様。

人は簡単に『他の存在を否定』するけど、それをすることによって逆に『自分が否定される』ことまではなぜか考えないようで。

進撃の巨人127話[ 諫山創 ]

進撃の巨人127話[ 諫山創 ]


『マーレを否定』していたグリシャは、ジークに『否定』されて気がついた。
進撃の巨人87話[ 諫山創 ]

進撃の巨人87話[ 諫山創 ]


『自分の存在』を否定していたジークは、グリシャに自分の存在を『肯定』されて気が付いた。
進撃の巨人121話[ 諫山創 ]

進撃の巨人121話[ 諫山創 ]


『島の悪魔』を否定していた世界は、島の悪魔に踏み潰されて気が付いた。
進撃の巨人134話[ 諫山創 ]

進撃の巨人134話[ 諫山創 ]


気づいた時にはだいたい手遅れなんだよなぁ……

特別じゃなくても他者から認められなくても、存在を肯定したカルラママは偉大。

進撃の巨人71話[ 諫山創 ]

進撃の巨人71話[ 諫山創 ]

敗者・スノーボウル

口は達者で創意工夫も出来るオール・イン・ワンな豚。
農場を取り返しに来た人間相手に勇敢に戦ったり、労働を楽にするために風車を建てようと発案するも、ナポレオンが育てた犬に襲われ、農場を強制的に追い出される。
農場から追い出された後、農場で悪いことが起こるとなんでもかんでもスノーボウルのせいにされるが、当のスノーボウル本豚は失踪後、一回も出てきたことはない。

スノーボウルの敗因は、本豚が口達者で器用だったせいで、一人でやろうとしたのが逆によくなかったのかな?
ナポレオンは自分の弱点を補うため、口のうまいスクィーラーを味方にし、さらに先を見据えて、『成人教育』よりも『子供(子犬)』のほうを育ててたりと先見の明があった。
自分の弱点を知っているから、補うためには1人じゃ無理と判断し、さらには自分が有利になるよう、先に足下を固めたナポレオンのほうがかしこかった。

しかもこれまで『全部人間が悪い!』と言ってたはずの豚が、スノーボウルがいなくなった後から、悪いことが起こると『これはスノーボウルの仕業だ!』と、『同じ豚のせい』にしだすんですよね。

↓豚による豚の否定。

進撃の巨人100話[ 諫山創 ]

進撃の巨人100話[ 諫山創 ]


『責任の転嫁先』が変わっただけで、『誰かのせい』にして戦意高揚させる手法はみんな同じ。

進撃でこれに当てはまるのは、イェーガー派にやられた兵団かな?
兵団は、有能な人達は大勢いたけど、民衆の不満に対して満足いく回答をせず、自分らだけで秘密裏に行おうとしていたら、水面下で準備を整えたスクィーラー・フロックに懐柔された新兵達に足下をすくわれた。

進撃の巨人113話[ 諫山創 ]

進撃の巨人113話[ 諫山創 ]


『このまま兵団に従っていたらやられるぞ!』と『悪者にされた』ってのも、まんまスノーボウルですね。
現実だろうと創作だろうと、勝ったヤツが正しくて、負けたヤツが悪者にされてく図式は変わらんなぁ……

マクロとミクロ、どちらも同じ

マクロ目線で見ると『パラディ島』もスノーボウルと言える。壁の王が敗北して、島に引きこもったのは、犬に追いかけられて農場から逃げ出したスノーボウルと同じ。
それ以来、まったく世界に関与したことがないどころかその場にすらいないにもかかわらず、世界に『悪魔の島が悪いのです!』と矛先をそらされ続けたのもスノーボウルと同じ。

進撃の巨人123話[ 諫山創 ]

進撃の巨人123話[ 諫山創 ]

そしてミクロ目線で見ると、『世界』が『パラディ島』にしていることを、フロック達は『兵団』相手にやっていた。キヨミ様はそれがわかっていたから『世間が狭くなっただけ』『殺し合いは続く』と予言した。

進撃の巨人128話[ 諫山創 ]

進撃の巨人128話[ 諫山創 ]

『動物農場』ではナポレオンが勝った結果、動物達は奴隷になってくんだけど、じゃあ、スノーボウルが勝ったほうがいい未来だったのか? というと、そうとも言い切れないんですよね。
一見、スノーボウルは『哀れな敗者』に見えるんだけど、豚が『リンゴもミルクも独占する』宣言した時、その時だけはスノーボウルもナポレオンと一緒に賛同してんだもん……対立はしたけど、同じ豚。

もし、ハンジさんが『いっそここで暮らそうか』をマジで実戦しちゃってたら(スノーボウルルート)、アルミンやジャン達も、いきさつはどうあれフロックと一緒に『島の外滅ぼそうを肯定』することになってた。つまりフロックと同類。
そしたら、アルミン達には『スノーボウル一直線』の未来が待っていた。こっちもこっちでフロックと対立する未来しか見えねぇ……!
アルミンがフロックにそう簡単に敗れるかって謎はあるけど、『支持基盤を盤石にしてから潰しにかかる』って点ではフロックのほうが上手に見えるし……犬もいるしな。

人間になった勝者ナポレオン

弁は立たないが我が道を行く。
口が達者なスクィーラーと組んで、母犬から取り上げた子犬を『都合の良い子』に育てたり、もっともらしい理由をつけてリンゴやミルクを自分達のものにしたり、対立するスノーボウルを追い出したり、スノーボウル発案の風車計画を横取りしたり、とにかく『自分の知恵』は『自分がおいしい思いをするため』だけに使い、『動物主義』を自分の都合のいいようにどんどん書き換え、最終的には農場の主になった。

メージャーじいさんが壁の王なら、ナポレオンは王政だろうな。あと、初代エルディア王、そして地鳴らしがうまいこといった場合の未来のフロックもこうなりそう。『おいしいとこだけいただきだ!』ってのは、エルディア人を戦場に送ってたマーレもそうですね。

ナポレオンは最終的に『人間を肯定』しちゃってますが、王政やマーレも同じで、ある意味『巨人を肯定』してるんですよね。自分達にとってはいてくれるほうが『都合がいい』から。
そういう意味じゃあエルディア人の滅亡を望む『壁の王』を『否定』しているとも言える。

進撃の巨人61話[ 諫山創 ]

進撃の巨人61話[ 諫山創 ]

そしてナポレオンは、人間を肯定すると同時に、自分が動物だってことを忘れた。だから人間にされたことを、平気で動物達にやり始めた。この辺はフロックもマーレも同じ。

ポジションだけで言うと、エレンもナポレオンなんだけど、どうにもナポレオンには見えないんですよね……だってナポレオンは、自分の欲望のためにやってるわけだし。
エレンに関しては後編で。

ナポレオンが否定したもの

最終的に人間を『肯定』したナポレオンですが、しかし『自分に不利益な存在』は徹底的に否定した。

ナポレオンは何か悪いことが起こると、自分に矛先が向かないよう、とっくに農場からいなくなったスノーボウルに責任転嫁し、『都合の悪い子』は同じ豚でも容赦なく粛清。働けなくなり、利益を生み出さなくなったボクサーをお肉にもした。
そしてメージャーじいさんの『思想』も、『不都合』が出てくるたびに書き換えた。

初代エルディア王もナポレオンと同じようなことしてましたね。『豚を逃がす』という『不利益』を与えたユミルちゃんをあっさり追放し、『巨人の力』という『利益』をもたらす存在に生まれ変わったと知った途端連れ戻した。
そして働けなくなったらお肉にした。

進撃の巨人122話[ 諫山創 ]

進撃の巨人122話[ 諫山創 ]

マーレは『成人』ではなく『子供』の教育に力を入れたことで、収容区のエルディア人を『都合のいい子(犬)』に育て上げた。

進撃の巨人91話[ 諫山創 ]

進撃の巨人91話[ 諫山創 ]

王政も、記憶改竄が出来ない(自分達に都合が悪い)アッカーマンや東洋の一族を迫害し、壁や世界の秘密を知ろうとする者を粛清。調査兵団も解体しようと圧力をかけた。
それにしても100年前、ユミルの血を引かないエルディア貴族が壁の中を選んだのは、巨人の支配はずっと続くと信じてたからですかね?

ちなみに、『動物農場』では『(豚だけが)めでたしめでたし』で終わったけど、『本当にそれがずっと続くか』となると怪しいんですよね。
なぜかというと、革命の歌『イギリスの家畜たちよ』を、豚が禁止した後もみんなこっそり歌ってたから。
そしてクローバーも、メージャーじいさんの思想を若い馬に伝えていた。
もし『動物農園』に続編があったとすれば、進撃で言うところの『エルディア復権派』みたいなのが出てきて、ナポレオンが追い出される話になるんだろうなぁ。順番は続くよどこまでも。

『口』で偉くなったスクィーラー

口が達者で、ナポレオンが有利になるよう、他の動物を丸め込むのがうまい。
さらに、自分らに都合のいい言葉を羊たちに教え込み、それをひたすら唱えさせたり、他の動物が読み書き出来ないことを利用して、以前と言ってること変わってても『記憶違い』『同士ナポレオンを疑うのか』と暗に『お前がおかしい』と言いくるめる。
一見、ナンバー1の従順な腰ぎんちゃくだが、見方を変えると自分は矢面に立たず、手の上で転がしているともとれる。

進撃で言うところのフロックとイェレナがこれでしょうね。エレン(ジーク)をナポレオンポジションに置いて、『自分は信頼ある同士だ!』と訴えてるところが。
フロック、なんだかんだで口達者で、煽り力高くて新兵や訓練兵どんどん丸め込んでったし。イェレナも義勇兵をまとめるために、裏切りそうなヤツは容赦なく粛正したし。

進撃の巨人113話[ 諫山創 ]

進撃の巨人113話[ 諫山創 ]


『口が達者』って、それだけですげぇ武器ですよね……その部分に関しては、エルヴィンもそうだった。

ハンジさんがマガトさんと手を組んでくれなきゃ、イェレナはあのままフロックに排除されて終了だったろうなぁ……逆にジークが勝ってたら、イェレナはフロックを排除していた。
もし地鳴らしがとんとん拍子にうまいこと行って、その後、寿命でエレンがいなくなったら『順番』でフロックがナポレオンに進化するんだろうと思う。イェレナはジークに心酔してたけど、フロックはエレンというより『悪魔』に心酔してそうだし。(というか、地鳴らし発動後はすでにナポレオンでもあるけど)

イェレナはこれからどうなるんだろ。ファルコ巨人化しちゃったけど、船が無事ならそのまま船の上か、沈んだんならキヨミん達と一緒に救命ボートの上、はたまた陸まで運んでもらったとかだと思うんだけど。(でも陸の上だと壁巨人くんが……)
フロックとイェレナが対の存在であるなら、『勝ってこれから指導者』になるポジションだったフロックが死んだわけだから、『負けてみじめに死ぬ運命』だったはずのイェレナが最後まで生き残るとかありえそう。

ナポレオンに育てられた犬達

生まれてすぐ、ナポレオンによって母犬から引き離され、隔離された場所で育てられる。
そして大きくなった犬達は、ナポレオンの忠実な番犬として周辺の警護をしたり、ナポレオンの命令とあらば他の動物を粛正する役を担うようになる。

第一中央憲兵や、フロックに勧誘されてイェーガー派になった新兵達がまさにコレでしょう。

この犬達自身はセリフもなく、ただただ吠えたり威嚇したりと、動物達に恐怖を与えるだけで、自分の意見も考えもなんにも言わない、いわゆるモブなんですよね。とにかく豚の言いなり。
そして豚達は犬に専用ビスケットを与えてかわいがったりと、明らかに他の動物との待遇差がある。まんま人間と犬の関係。

さて、『自分で考えず豚の言いなりになってる』存在でありながら、どうして豚は犬を『奴隷』にしなかったのかというと、おっかない牙があるから。
作中でも、他の動物を粛正のためにかみ殺してるんですよね……

進撃の巨人86話[ 諫山創 ]

進撃の巨人86話[ 諫山創 ]

もしこいつらを雑に扱って、その牙を自分らに向けられたらひとたまりもない。逆に言うと、手なづけて、その牙を『都合の悪い子』に向けさせると、これほど便利なものはない。まさに中央憲兵。

進撃の巨人55話[ 諫山創 ]

進撃の巨人55話[ 諫山創 ]


そしてイェーガー派も、いずれ『忠実な犬』になっていく存在だったんでしょうね。

* * *

さて、前編はここまで。
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後編はお馬さん達、家畜側の考察です。

オーウェルの『動物農場』で考察する進撃の巨人 自由の翼なハンジさん【馬編】

↓前回の考察はコチラ

進撃の巨人135話 アルミンは何を捨てる?アルミンとアニのこれから【考察動画】

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